婚しましたら家族一緒の食事は滅多にあ りません。まず主人がいつ帰ってくるの か、帰ってきてから食事をするのかどう かも分かりません。主人が「潰れる潰れ る」と言いますが、それがどういうこと かイメージが湧きません。しかしそんな 中小企業の経営者の家庭と私が育った家 庭の違いはむしろ新鮮で、面白い日々を 送らせていただきました (笑)。
 おいしい菓子づくり、健康によい菓子 づくりということでは、社長は傍らで見 ていてそこまでやるかというくらいこだ わります。塩は天然塩田、小豆は十勝の 契約農家が有機栽培したものなど素材へ のこだわり、工場に水の蛇口が四つある というのもその一例です。

恍次郎社長:小さい頃体が弱かったの で、健康に関しては色々学んだり、調べ たりするのです。水にこだわるのは、結 婚して妻の実家で食べたご飯が非常に旨 かった。同じ米を持って帰って福岡で食 べてもあの旨さが出ない。「これは水だ」 と気が付きました。おいしいもの、体に いいものでないとお客様に売ることがで きないでしょう。やれるだけのことをや って、画期的に安く、体にも良く、どこ となく旨いものを売る。その「どことな く」というところに、私たちは命をかけ ているわけです。
 現在会社には約三百名の人が働いてい ます。その人たちのことを考えても、倒 産という言葉にはゾッとします。しかし、 会社は潰れるものだという意識がない と、お菓子が売れないと原料も買えない というそういう意識がないと、会社がお 役所のようになってしまいますからね。

Q 九州大学応援菓「いも九」は、総売上の 一%を学生の課外活動費などにご寄附い

ただいています。「いも九」のきっかけ を教えてください。

恍次郎社長:受験生だった次男に、「四 人もいるのだから一人くらい九大に行け よ」と言いましたら、「お父さん、九大 生は 『いも九』と呼ばれようとよ」と言 う。「いも九はいい」と思いまして、そ れまであったスイートポテト・パイにそ う名付けました。寄附のことは、九州大 学や生協にご相談してからちょっと時間 がかかりましたが、実現したときには、 当時の杉岡総長に大変喜んでいただきま したよ。

Q 最後に、九州大学へ、また後輩たちへ、 メッセージをお願いします。

純子副社長:私は、今は就職してくる九 州大学卒の人たちとのつながりしかあり ませんが、最近は女性にこれをやりたい と積極的に言う人が増えているような感 じがします。学生時代は、せっかく自由 な、自分を見つめることができる時間が


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