山本 元司(やまもと もとじ)
工学研究院 知能機械システム部門 助教授
(以下、市内某所の練習場で)
Q
大会まで二カ月となりましたが、
今、どんなことに重点を
置いていらっしゃいますか。
A :
ロボットの動きをより良くするため
の、ソフトウエアの作り込みが主です。
想定した動作のプログラムを作り、それ
を実際のロボットで動かしてみて、考え
た通り動くか、試合の状況でも問題ない
か、そういうことをチェックして性能を
アップさせる作業です。
これまで、昨年の福岡でのジャパン・
オープン、シアトルでの世界大会、今年
は東京の科学未来館での大会といくつか
の試合を経験してきて、ロボットに関す
るデータを集め、また他チームの技術や
戦略の情報収集を積み重ねて来ました。
自分たちのロボットの利点欠点や、どの
チームがどんなふうに強いかも分かって
きました。
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Q
強いとおっしゃると、例えばどこでしょ
うか?
A :
日本では、大阪大学、慶応大学が強
い。この春の大会では慶応大学に完敗しました。世界では、シアトルの大会で優
勝したドイツのフライブルグ大学や、九
州工業大学と連合チームを作るドイツの
GMD(国立情報学研究所)チームが強
い。九工大とは近く練習試合ができれば
と思っています。
Q
九州大学のロボットは、ボールを蹴ると
いうか弾いてゴールを目指しています
が、例えばヘディングなど、ボールを飛
ばしてゴールするようなチームはないの
でしょうか。
A :
ルール上、ロボットにはかなり細か
い制限があり、基本的には全て我々と同
じ様なやり方でゴールを目指します。た
だ、カバーをかぶった外観は似ています
が、中の仕掛けはいろいろです。我々の
ロボットは、エアシリンダーでキックし
ますが、モーターや電気的な仕掛けでキ
ックするロボットもあります。また、
我々のロボットはほとんど全て手作りで
すが、既成の製品に手を加えて作ってい
るチームもあります。
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Q
サッカーするロボットというのは、相当
複雑な動きができないといけないのでし
ょう。作るのは、とんでもなく大変では
ありませんか?
A :
ロボットの動きの基本は、ボールを
見つけて、つかまえてドリブルし、シュ
ートする。それとポジション取りです。
味方同士で常に通信しあっていて味方が
どこにいるのかを把握し、敵がどこにい
るのかを認識する。味方同士で協調して
動くこともあります。キーパーの動きの
善し悪しは、勝敗に大きな影響がありま
すから、できるだけ迅速に反応するよう
に作らなければなりません。
ご覧のように皆苦労していますが、コ
ンピューターで物を動かすというのは、
基本的に面白いのです。頭で考えたこと
をプログラムにして、実際の動作として
実現するのは、とても面白いことだと思
います。
市内の練習場で語る山本先生
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