今の学生はサークル活動が苦手?
Q
新入生の勧誘は大変だったのでは?
中村:(顔を見合わせて笑いながら)は
い、まあ。体育総務からも、「(新入生は)
全然聞く耳持たない」と言われましたが、
私たちは社会人の経験もあるし、やって
みれば何とかなるんじゃないかと思って
いました。事実三人は入ってくれた。
指山:十分間だけ話を聞いてくれ、と粘
りました。何度かご馳走したあげくに逃
げられたりもしましたが、無理な勧誘は
しないというのがモットーですから、そ
れは先行投資と割り切りまして(笑)。
中村:千枚ほどビラを作って配ったんで
すがそれさえ貰おうとしない子が多いの
には、世代の相違を感じました。
Q
応援団は人気がなくなっているんでしょ
うか。
指山:厳しい上下関係が敬遠されると言
われますよね。私は高校時代はブラスバ
ンドでしたから、入団するときはあの、
「押忍(オス)!」と言うのに抵抗がありました。
でも、一週間で慣れました(笑)。
中村:団員不足は全国的な問題です。以
前は七大学で二百人はいたんですが、今
は半分以下。今年七大戦をやる東北大学
の応援団も、来年以降の存続はかなり難
しいとか。
指山:親衛隊(注・三回生の男子が務め
る)や学ランが一般の学生に違和感を持
たれるのは分からないでもない。廃止す
べきかな、とも思います。でも団に入っ
て活動するようになると、そんなものが
逆にかっこよく思えて愛着を感じるんで
すよ。
中村:応援団に限らず、今の子はまずサ
ークルに入る気がない。団体に入って制
約を受けるのが面倒なんでしょう。それ
に不景気の影響も大きいのではないでし
ょうか。仕送りが減っているからバイト
に忙しい。応援団というのははっきり言
ってボランティア活動ですから、他人の
応援に汗水たらすのはどうも、という人
が増えてるんじゃないでしょうか。
Q
一年生と幹部だけで間がいないわけです
が、やりにくくありませんか。
指山:はい。以前は一年生は二年生を見
て上級生への礼儀を覚えたものですが、
今は幹部である私たちが直接、自分たち
への挨拶を教えないといけない。ちょっ
とやりにくいです。
中村:でもやらせます。でないと、楽し
みにしている七大戦に行って彼らが恥を
かく。他の大学の一年生も必ずやってい
ることですからね。今度の七大戦には、
親のような心境で臨みます。なにしろ連
れて行くのが十八歳の後輩たちでしょ
う。迷子になるんじゃないか、とかいろ
いろ心配で(笑)。
体力不要の体育会系サークルです
Q
医療短大での勉強は順調ですか。
中村:農学部よりはこちらの方が、みん
なはるかによく勉強しているのではない
でしょうか。出席率もいいし。四十人の
クラスの中に、我々のように学士を持っ
ている者が五人もいます。先生には、「さ
ぼっている学生がいたら君たちが引っ張
ってくれ」と期待されてますが……(笑)。
指山:私がこの道を選んだのは、好不況
に関係ない技術を習得したかったのと、
年令が高い人でも入学するという例を聞
いたからですが、中村先輩は、医療関係
の仕事なら直接人に貢献できるからい
い、と言ってました。そっちの動機の方
がかっこいいですよね(笑)。
では最後にもう一度、
応援団のアピールを。
指山:無理に勧誘はしませんから、とに
かく一度話を聞きに来てください。吹奏
部は楽器経験のない人でもOKです。楽
器は団に揃っています。トランペット、
トロンボーン、サックスにドラム。
中村:リーダー部の方にも、洋太鼓と和
太鼓が二つずつ。
指山:学ランもたくさんあります。チア
リーダーのユニフォームも結構残ってま
すし。
中村:二年生や三年生の途中入部も歓迎
します。私の場合は、就職にも役に立ち
ました。
指山:私の場合は設計の分野でしたか
ら、あまり関係なかったんですが、体育
会系の部活をやっていたということは評
価していただけました。
中村:実際にはバリバリの体育会系じゃ
ない人がほとんどなんですよ。体力がな
くてもできる体育会系です。
■インタビューを終えて
「もう腐れ縁です」と笑うお二人。社
会に出てそれぞれ別の環境で経験を重
ね、不思議な縁でまた同級生になったそ
の裏にはきっと、九州大学応援団の守護
神の見えざる手が働いたに違いありませ
ん。今こそ彼らが必要だ、と。
指山さんには、学部の四回生で副団長
を務めていた時の忘れられない事件があ
ります。団長が七大戦の直前に事故に遭
い、数日後に帰らぬ人となったのです。
「今回の復活は、彼のためというわけで
はないのです」と語る指山さん。でも、
「これで彼の実家に行きやすくなりまし
た」とも。
新生九大応援団へのエールと参加希望
を、ぜひホームページ(四頁参照。九州
大学ホームページからも検索できます)
へお寄せください。