カリフォルニア オフィスからのご挨拶

九州大学カリフォルニアオフィス 所長 松尾 正人

みなさんこんにちは。九州大学カリフォルニアオフィスからご挨拶を送ります。

 総長のご指示で今年の四月にロスガトス町にオフィスを開きました。まだ私の家をオフィスにしていますが、その内に大きなオフィスにしたいと思っています。ロスガトスは、強烈な米国のベンチャー活動の本拠地、シリコンバレーの中にある静寂な住宅地です。私はゼオンメディカルの顧問としてまだフルに活動していますので十分時間を使うことができませんが、ボランティアとして、お世話になった九大のためにできるだけの支援をしたいと思っています。

 活動としてまず米国同窓会を立ち上げました。

 Kyushu University Alumni Association,Inc.という名前で正式に州からの許可をもらった法人です。しかし、これではまだ不十分で、今後寄付活動をするについて税控除ができるようにするための手続きを、弁護士を使って行っています。これは実は、シリコンバレーで成功した卒業生の一人から大口寄付をしたいという申し出があり、それに対応するための措置なのです。十一月には認可が下りる予定です。今のところ見つかった同窓生四人ですが、先日集まって第一回同窓会を開き、気勢を上げました〈写真参照〉。ここに集まった方達はそれぞれにユニークな方なので、いずれ私のインタビューという形でご紹介したいと思います。

 米国では同窓会が寄付活動をするのが当たり前になっています。ちなみに、先日スタンフォードビジネススクールの教授とお話したら、年間予算の九十五百万ドルのうち卒業生からの寄付が四十五%を占めていると聞き驚きました。彼らの考え方は、授業料は実際の費用の半分でしかなく、残りは社会に出てから払うのだということなのだそうです。我々もささやかながらその面で貢献したいと思っています。

9月15日(水)、カリフォルニアで開催された第1回米国九大同窓会には下記の4人の方々が集まり、今後の活動などを話し合った。
(向かって左から)
徳重 徹さん:Chief Operating Officer, Business Cafe(H6 工)
Robert Huangさん:President & CEO, SYNNEX Corporation(S43 工)
松尾 正人さん(筆者):Technology Consultant for Zeon Medical Inc. 九州大学カリフォルニアオフィス所長(S36 工)
佐田 昌彦さん:福岡県事務所長(S60 法)

 先日、シリコンバレーに事務所を持つ大学の交流会を開きました。東大、大阪大、法政大に九大の四大学ですが、お互いに何を考えているか、何をしようとしているかを紹介し合いできることは協力しようという企画です。

 この中で法政大が一番古く、以前からTV会議ができるオフィスを持っており、現地の大学の授業を日本に流しているといいます。大阪大は最近オフィスを開き、それを記念して九月八、九、十日に、レセプションと二日間に亘る「大阪大学の二十一世紀COEフロンティア科学と技術」と題するセミナーをサンフランシスコで開きました。日本から学長はじめ十四人のCOE教授陣が来訪し、内容的にも素晴らしく豪華キャストでしたが、聴衆が少なかったのが残念でした。東大は現地在住のバイオ系コンサルタントの方がボランティアで活動しています。皆が抱えている問題は、日本側が米国オフィスをどうしようとしているかがよく見えないということで、まだ暗中模索のようです。米国大学と提携して講義を日本に流している法政大学も、実質上の成果というよりは宣伝材料に使っているような印象を受けました。

 当オフィスに対する総長のご期待は、米国大学との連携の強化、米国企業との産学連携の構築、事務職員の海外研修の援助、米国大学の情報収集、九大の広報、などですが、この中で特に米国大学の情報収集は重要な仕事と私は思っています。ご承知の通り、産学連携は米国が二十年先を走っています。また、産業界への人材供給というMBAやMOTの教育方法についてもかなり先を走っていると思います。特にシリコンバレーではスタンフォードやUCバークレーの関係者が作ったベンチャー会社の数の多いことは有名です。HPはもとより、シリコングラフィック、アップル、サンマイクロ、シスコ、ヤフーなど枚挙にいとまがありません。この背景や歴史を調べて、九大に何か寄与できることはないかを探りたいと思っています。

 最近GoogleのIPO(株式公開)が話題になったことはご承知かと思いますが、これにスタンフォード大学が三つの点で大きく関わっていることはご承知でしょうか。Googleの創業者の二人、Larry PageとSergey Brinはスタンフォードのコンピューターサイエンスの学生でした。Googleが使っているキイになる技術はスタンフォードで開発され、パテントは大学が所有しています。それを使わせる代償として得たGoogle株数は百六十万株を超えており、今回のIPOで株価がついたので日本円にすると時価総額は百六十億円を超えることになります。すでに十五億円程度が換金されたようです。これに加えて、二〇一一年まで毎年ロイヤルティが入ります。スタンフォードはGoogleのほかにも二社のベンチャー会社の株を有しておりその時価総額は二百億円を越えます。スタンフォードがロイヤルティとして得ている金額はGoogleを含めて二〇〇三年で総額四十五億円にもなるそうです。ため息の出るような金額ですが、九大にもこのような時代をもたらすべく産学連携活動を高めたいものです。

(まつお まさと 工学部応用化学科昭和三十六年卒)


九州大学英国会発足

九州大学ロンドンオフィス 所長 山田 直

ロンドンの中華レストランで開かれた
九州大学英国会の第1回会合
九州大学の皆さん、こんにちは。

 二〇〇四年九月二十一日、ロンドンにて九州大学英国会の第一回目の会合を開きました。九州大学での長い歴史の中でも、このような会合は初めての試みではないかと思われます。

 この九州大学英国会は、英国に在住の九州大学関係者の会としました。したがって、会員は卒業生、学生、現・旧教職員とし、会員相互の親陸及び助け合い、及び九州大学のプロファイルを向上させることを目的としています。現在、英国に留学中の学生を含め、十四名の方の連絡先が判明しています。今回の第一回会合は、ロンドンの中心地・ピカデリー・サーカスに近い中華レストランに八名が集まり、丸テーブルを囲み、和気あいあいに夕食を楽しみました。今回は第一回目の会合ということもあり、梶山総長よりの祝辞もいただき、皆さまにご披露しました。今後、会員数を増やし、年末又は年始に第二回目の会合を開くことを計画しています。

 私は英国在住、約三十年になりますが、二〇〇四年四月、梶山総長より九州大学ロンドン・オフィス所長の辞令をいただきました。今までも日本の国立大学法人化に備え、法人化の歴史の長い英国の大学の情報を九州大学にお送りしてきましたが、今後は九州大学のプロファイルを上げるため、九州大学英国会の活動及びPR活動にも力を入れていきたいと思いますので、皆様のご支援、宜しくお願いいたします。

二〇〇四年九月二十八日
(やまだ ただし 文部科学省科学技術政策研究所国際客員研究官)

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