九州大学九重研修所「山の家」改修

山の家完成イメージ図

 九州大学九重研修所「山の家」は、九州大学の学生・教職員のための研修施設として、昭和十二年七月に建設され、当時の荒川文六総長が『孟子』から引用して「三楽臺(さんらくだい)」と命名されました。
 以後、今日まで六十七年を経過し、多くの方々にご利用いただきましたが、老朽化が著しいため、昨年十一月から抜本的な改修工事を行うことになりました。
 これにより、学生及び教職員が山野を思いのまま逍遙して足腰を鍛え、大らかな気分を涵養できる山の家として、将来的に利用できる施設にリニューアルされます。
 改修に当たっては、建設当時の趣を残し、山小屋のイメージを損なうことなく、内部は利用者の快適性を保つことなどに配慮しています。
 なお、建物の一部には、九州大学福岡演習林から提供された木材をシンボル的な柱等に使用することにしています。
 工事には約十一ヶ月を要しますので、ご不便をおかけしますが、平成十七年十月からの利用再開にご期待ください。
 山の家についての詳細は、下記のサイトをご参照ください。

(学務部学生生活課)

改修前の山の家
「三楽臺」の表札


http://www.gk.ofc.kyushu-u.ac.jp


開会式の司会は中野副学長 来賓として期待を述べる石川文部科学省高等教育局長 開会式で挨拶する梶山九州大学総長

アジアの大学の質保証をテーマにアジア学長会議を主催

 平成十六年十一月二十七日(土)〜二十八日(日)、アジアの十の国と地域から二十六大学が参加した第五回アジア学長会議が、「国際化時代におけるアジアの大学の質保証〜新たな方向性と明日への挑戦〜」をテーマに九州大学の主催で開催され ました。

 二十七日に行われた開会式で、梶山千里総長は「この会議で討議を行うことが、お互いの個性を認めつつアジアの大学としての共通性を認識し、アジアの大学全体の質をさらに高めることにつながることを期待している」と述べました。また、石川明文部科学省高等教育局長は来賓挨拶の中で「今回のテーマは高等教育のグローバル化に対応した時宜を得たもの。文部科学省のみならず国内外の関係者が注目しており、今後の取り組みの良き指針を示してほしい」と期待を述べました。

 この日は、早稲田大学の白井克彦総長や立命館大学の長田豊臣総長を含む参加大学による自らの国際戦略についての発表や、「共同カリキュラム」に関するセッションが行われました。また、大学間相互のブランチオフィスや会議運営のための運営連絡会の設置などを謳った「アジア学長会議憲章」が採択されました。
 また、午前中には、日本国内から招待された高校生による「アジア高校生会議」、各参加大学などから招へいされた大学生による「アジア大学生会議」も併せて開催され、未来のアジアを担う若者による活発な議論が交わされました。
 この日最も盛り上がったのは、各国から参加した約百五十名の高校生・大学生と学長たちとの対話集会でした。「アジアの世紀」を担う若い世代のエネルギーや、ディスカッションを通じて見えた学長たちの姿勢に心打たれるひとときでした。
 対話集会終了後は、九州大学生の企画による大学生・高校生の「合同交流会」が行われ、ゲームやフリートークなどを通じてお互いの親交を深めました。
 翌二十八日は、「三極構造におけるアジア」をテーマにしたセッションで日本学術振興会(JSPS)の小野元之理事長がJSPSの活動概要などに関する基調講演を行い、続いて、「若手研究者養成プログラム」に関する九州大学案の提示や事例紹介がありました。
 また、開催期間を通じて、九州大学のアジアに関する研究活動や参加大学の活動を紹介したポスターを展示したスペースが設けられ、各大学関係者の交流の場ともなっていました。

歓迎懇親会では参加大学間の交流が活発に行われた 会議ではオリジナルキャップも披露された マヒドン大学のポーンチャイ学長を出迎える梶山九州大学総長 事前ミーティングで会議の進行を説明する柳原副学長
オープニングセッションの模様 斬新な切り口の意見交換が行われた高校生会議 国際戦略について説明する立命館大学の長田総長

 閉会式では、柳原正治理事が全体を総括し、梶山総長が次のように挨拶して二日間にわたる会議をしめくくりました。
 「今回の会議を通じて、欧米の二極に対する我々の進む道筋が明らかになってきた。その一つがアジアの大学の連携であり、その柱がアジア学長会議。会議のさらなる発展を期待する」

(アジア学長会議)
 平成十二年に「二十一世紀はアジアの世紀」との認識のもと九州大学が提唱して福岡で始まり、第二回は同じく福岡、第三回釜山(主催:釜山大学校)、第四回バンコク(主催:チュラロンコン大学、共催:マヒドン、タマサート両大学)、そして今回第五回が再び福岡で開催された。

大学生会議での真剣な議論 懇親会で早稲田大学白井総長の軽妙な挨拶 学長たちとの対話集会で質問する九大生


システムLSI研究センターの話題シリコンシーベルトの核として

福岡システムLSI総合開発センター始動
 シンガポールから台湾、上海、韓国、そして九州に至る地域は、世界の半導体の半分以上を生産し、今後は設計拠点としても成長すると見られています。福岡県は、県内のLSI設計開発の知的集積、産業集積により、福岡をシステムLSI設計開発拠点とする産学官共同の「シリコンシーベルト福岡」プロジェクトを推進しています。
 平成十六年十一月四日(木)には、プロジェクトの中核施設として、人材育成、研究開発から事業展開までを総合的・一元的に支援する「福岡システムLSI総合開発センター(九州大学連携型起業家育成施設)」が、百道浜にオープンしました。
 九州大学のシステムLSI研究センター(安浦寛人センター長)は、ここに入って先端技術の研究を行うとともに、知的クラスター創成事業をはじめとする諸プロジェクトの推進、福岡LSIカレッジで行われる人材育成など、シリコンシーベルト・プロジェクト推進に大きな役割を担います。

IBMからSUR賞
 IBM社が大学の研究室等など全世界の卓越した研究機関に機器の寄贈を行う「IBM Shared University Research(SUR)賞」に九州大学システムLSI研究センターが選ばれ、サーバーやパソコンなど四十二の機器を贈られました。
 平成十六年十一月四日(木)、「福岡システムLSI総合開発センター」内のシステムLSI研究センターで、麻生福岡県知事、梶山総長、前田システム情報科学研究院長、安浦システムLSI研究センター長、そしてIBMの大水執行役員、廣瀬執行役員などが出席して贈呈式が行われました。

福岡システムLSI総合開発センター
http://www.ist.or.jp/lsi/lsicenter/center02.html

◎梶山総長の挨拶
 安浦教授を中心とする研究の先進性を評価していただき、IBM社に感謝申し上げる。九州大学は建設中の新キャンパスで、水素エネルギー利用など次世代の社会基盤形成を目指すいくつかの先進的なプロジェクトを進めており、その一つが安浦センター長が中心となるITキャンパス構想。今回の受賞でいただいた機器を活用していきたい。

◎麻生福岡県知事の挨拶
 本日から活動を開始する「福岡システムLSI総合開発センター」は、世界の半導体の設計開発拠点としたい。そのためにも安浦教授をはじめとする九州大学の頭脳を生かしたいと思っている。IBM社のご厚意は有り難く、これを生かして目標を達成したい。

◎安浦センター長の挨拶
 本日「福岡システムLSI総合開発センター」がオープンし、システムLSIの設計開発拠点形成プロジェクトが軌道に乗ってきたと実感している。
 IBMのSUR賞をいただくのは大変名誉であるとともに責任を感じている。この部屋の機器は全て賞でいただいたもの。これを生かして拠点形成に努めていきたい。


「九州ブロック産官学連携ビジネスショウ」を開催

 九州大学、熊本大学、九州工業大学、文部科学省の主催により、十一月十七日(水)〜十九日(金)に西日本総合展示場(北九州市)において『九州ブロック産官学連携ビジネスショウ』が開催されました。これは、文部科学省「大学知的財産本部整備事業」の今年度事業の一環として行われたもので、九州ブロックの幹事校である九州大学のコーディネートにより、九州内の大学と工業高等専門学校併せて十一校がブース展示を行い、大学の持つ知的財産を媒体とした地域産業界とのマッチングの場が提供されました。会場では、九州・国際テクノフェア2004、中小企業IT化推進フェア2004、特許流通フェア2004in九州・沖縄、東アジア半導体モジュール逆見本市等も同時開催され、三日間で約三万四千人もの来場者があり、多分野にわたる活発な情報交換がなされました。
 また、十八日(木)には展示会場内の特設セミナー会場において、『産官学連携推進セミナー〜産官学連携のNext Stageに向けて〜』が開催され、県内外の大学関係者、九州の地場企業、自治体などから約百名の参加がありました。
会場の様子 産官学連携推進セミナー パネルディスカッションの様子
 同セミナーでは、小寺山亘知的財産本部長の開会挨拶に始まり、伊藤学司文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室長による基調講演「産官学連携による知の創造と活用の好循環の形成〜産学官の持続的・発展的なパートナーシップの確立に向けて〜」、松本竹男(株)バイオテック・ヘルスケア・パートナーズ代表取締役社長による講演「大学技術のビジネス化に向けて〜現状の課題と展望〜」が行われ、産官学連携の現状と課題について問題提起がなされました。
 これを受けて、『産官学連携のNext Stageに向けて―今、産・官・学に求められているものとは?―』と題したパネルディスカッションでは、伊藤学司氏、松本竹男氏に加え、前田裕子東京医科歯科大学知的財産本部技術移転センター長・特任助教授、原井大介レックスウェル法律特許事務所・弁護士がパネラーとして加わり、谷川徹知的財産本部副本部長の進行により、産学連携の現状とその評価、今後の産学連携の方向性と方策について、産・官・学のそれぞれの立場より現状分析と今後のあり方の提言がなされ、活発な意見が交わされました。


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