NEWS 大学の動き | 1 | 新しいアジアに関する知の拠点 ―アジア総合政策センター |
九州大学は設立以来、アジアに開かれた大学を目指してアジアからの留学生を数多く受け入れており、地域の相互依存がますます強まるグローバリゼーションのもとで、アジアの大学との連携を強化し、共同で問題の解決に当たるなどアジアを重視する戦略を推し進めています。アジア総合政策センター(以下アジアセンター)は、これまでのアジア総合研究センターを発展的に改組し、現代のアジアを総体的に捉え、政府、地方自治体、企業、市民社会に対して有益で有効な政策提言ができる新たな知的拠点として2005年7月1日に本学に設置されました。アジアセンターは本学がこれまで築いてきた知的・人的資源を最大限に活用し、学内外の機関と連携しながら「九州大学へ行けばアジアが分かる」と言えるような社会的にも大きな影響力を発揮するセンターとなることが期待されています。具体的には、これまで本学で行われてきたアジア関連研究をさらに活発に行うための牽引車として、国内外の機関と連携しながら政策提言を行うと共に、現代アジアの諸問題に関する学術研究や学術交流、アジアに関する情報の集積と発信、市民向け講座の開催や出版事業などを行っていきます。
■アジア現代文化研究部門
現代アジアの社会的・文化的な変動の調査研究
■アジア社会開発研究部門
現代アジアの都市開発や農村開発に伴う諸問題の調査研究
■アジア社会科学研究部門
政策提言を行うための制度的、理論的・実証的な調査研究
4名の専任教員と特任教授1名の他、アジアセンターの活動を支える構成員として学内の他の研究院やセンターから複担教員および協力教員が配置されています。
本学のアジア関連研究のうち政策提言につながる調査・研究については研究費を支援すると共に、センターの知的・人的資源を活用したサポートを行います。すでに東アジアの少子高齢化問題や東アジア共通の農業政策をテーマとした政策提言が行われています。
詳しい提言の内容に関してはhttp://asia.kyushu-u.ac.jp/teigen/seisakuteigen/list.htmlをご参照ください。
アジアセンターではダイナミックに変貌するアジアに対する理解を深める目的で、市民向けの講座を定期的に開催しています。これまでにも日韓の共同研究の成果として開催された「『冬ソナ』と日韓大衆文化の現在」や、フィリピンの気鋭の映像作家を招いての「フィリピンの社会と文化」、中国のメディア研究者による「アジアにおけるメディア文化の交流:中国の若者が見た日本・韓国のテレビドラマをめぐって」等を開催し、好評を博してきました。(これまでに開催されたアジア理解講座に関してはhttp://asia.kyushu-u.ac.jp/home/ajiarikai/main.htmlで概要をご覧いただけます。)
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アジア理解講座の様子 |
上記のアジア理解講座と並行して、アジアとの文化・芸術交流、国際開発協力、また貿易やビジネス等々、様々な分野でアジアと出会い、交流していく際に必要となる、実際的、実用的な知識やノウハウを提供することを目的とした講演会やセミナーを実施しています。第1回目は「変貌する中国ビジネス環境と経営戦略のあり方」と題してアジアセンターの国吉澄夫教授と永池克明教授(複担教員)が講演を行い、県内の企業関係者を中心に約80 名の方々が参加しました。(詳しくはhttp://asia.kyushu-u.ac.jp/home/ajiajuku/kiroku/17/1/main.htmlをご覧ください。)
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アジア塾で講演する国吉教授 |
芥川賞作家でアジアセンター特任教授の 樹のぶ子氏が、小説家としての感性でアジアの文学作品を読み、現地を訪れ、作家と交流し、文字通り「アジアに浸る」ことで感じた世界を様々な方法で発信します。第1回目はフィリピンの文学者で日本にも翻訳が紹介されているグレゴリオ・C. ブリアンテス氏を取り上げた企画を2006年3月10日(金)に開催予定です。
本学におけるアジア研究の成果を幅広い読者層に分かりやすく公開することを目的として九大アジア叢書を刊行しています。これまでに出版されたのは以下のタイトルです。
- 「アジアの英知と自然〜薬草に魅せられて〜」
正山征洋(薬学研究院教授)
- 「中国大陸の火山・地熱・温泉〜フィールド調査から見た自然の一断面〜」
江原幸雄(編著)(工学研究院教授)
- 「アジアの農業近代化を考える〜東南アジアと南アジアの事例から〜」
辻 雅男(農学研究院教授)
- 「中国現代文学と九州〜異国・青春・戦争〜」
岩佐昌ワ(編著)(元言語文化研究院教授)
- 「村の暮らしと砒素汚染〜バングラデシュの農村から〜」
谷 正和(芸術工学研究院助教授)
本学のアジア関連研究や情報を紹介するメールマガジン【アジアセンター通信】を月に2回発行しています。アジアにご関心のある方はぜひ以下のページにアクセスしてお申し込みください。
(http://asia.kyushu-u.ac.jp/mail/main.html)
その他、アジアセンターに関する詳細については次のURLをご参照ください。http://asia.kyushu-u.ac.jp/
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