総長から新入生へ歓迎の言葉

新しい九大人たちへ

九州大学 総長
梶山 千里

 長い間の努力を実らせて九州大学の一員となった皆さんを心から歓迎します。また、新九大人たちを物心両面から支えて来られた多くの方々へ、心からお祝いを申し上げます。

 新入生の皆さんは、九州大学で何をしようと思っていますか。私はまず「勉強しなさい」と申し上げたい。九州大学は、何よりもまず学びの場であり、多くの優れた先生方の努力と工夫によって、九州大学の教育はとても充実しています。

 大学は社会生活を送るところでもあります。教室だけでなくサークルや寮で、またボランティアなど様々な活動を通じて、大学内外の方々と接するとき、九大生である前に一社会人であるという意識を持って行動してください。

 九州大学は、皆さんの夢を実現させるためのどんな環境も創る用意があります。千人を超える留学生たちとの交流の機会は、キャンパスの至る所にありますし、交換留学制度はアジアや欧米の一流大学へ道を拓いています。チャレンジ・アンド・クリエイション(C&C)プロジェクトは、皆さんの自主研究活動を資金援助や施設提供などで後押しする制度です。ステージは無数にあります。あとは、これらのステージで演じる皆さん自身の情熱と行動力です。

 皆さんの挑戦を心待ちにしています。

( かじやま ちさと/高分子化学)


九州大学の若い力に期待する

平成17年、12月19日(月)、東京の朝日新聞東京本社内のホールで
「九州大学伊都キャンパス誕生記念フォーラム」が開催されました。
これは、パネルディスカッションに参加されたお三方からいただいた、
九大生や九州大学へのメッセージです。


(社)九州・山口経済連合会会長 九州電力株式会社代表取締役会長
鎌田 迪貞氏 (かまたみちさだ)


 経済のグローバル化によって世界的に地域間競争が激化する中で、生産性向上や製品開発などによる産業競争力強化が至上命題になっています。そのためには、地域として、科学技術力の強化と、これを支える次世代の人材育成が喫緊の課題です。

 大学は研究シーズによって産学が連携して新産業を創出するための拠点であり、人材育成の場でもあります。九州大学学術研究都市が、アジアを視野に入れ、開かれた知の拠点、産学連携の拠点となって、産業のハイテク化や知識産業社会をリードしていただくよう期待しています。

 さらに言えば、九州の国立大学が一つになるくらい連携を緊密にしていただきたいと考えます。九州の道州制や東アジア共同体の実現のための方策など、九州の頭脳を結集して早期に提言してもらいたいからです。

 また、最近、科学技術の大切さが言われ、ビジネススクールやロースクールなど実用の学ばかりが強調される印象があります。それはそれで結構なことですが、九州大学で学ぶ学生や若い研究者の方々には、文学とか芸術、あるいは哲学というような、いわば人間の学を学ぶことの大切さを強調したいと思います。歴史を学び、それぞれの国を成り立たせている思想や哲学を学ぶということ、そういう「人間の学」を学ばなければ、何か人間としての魅力が欠けてしまうのではないでしょうか。


朝日新聞社相談役
箱島 信一氏 (はこしましんいち)
(1962年九州大学経済学部卒)


 大学は、もはや社会に超然とした存在ではあり得ず、社会のニーズに応えなければいけないけれども、ニーズに過剰に適応し、目先の実用に走りすぎるのもよろしくない。大学でなければできないことがあります。それは、物事の本質や根源にさかのぼってものを考え、発見するということ。人間とは何かとか、生きる意味、倫理、宇宙や生命の生成、そういった課題に正面から取り組むことです。学部で言えば文学部とか理学部とか、そういうところに頑張ってほしい。法人化の流れの中でとかく埋没しがちなのもそこではないかと懸念するからです。

 学生に対する要望としましては、学部の学生の在学期間は、たかだか4年間です。そこでつける知識というのは限りがあるでしょう。それよりは、やはりものを考える習慣や、問題を設定する力をつけてほしい。そのためには常に物事に疑問を発することだと思います。人間は言葉で理解し、考え、伝える動物ですから、考える深さというのはその人の語彙の幅とリンクしているでしょう。そういう意味で、今、とかく若者の表現方法は単語やフレーズを並べるだけだということを言われますが、きちんとした言語能力をつけることが必要です。梶山総長がしばしば学生諸君に対して「本や新聞を読みなさい」ということを言っておられますが、たいへん大切な指摘だと思っています。


九州大学アジア総合政策センター特任教授 作家・芥川賞選考委員
高樹 のぶ子氏 (たかぎのぶこ)


 二つのことを申し上げます。

 一つは、他者の立場に立って自分を見る能力をぜひ若い人に養ってほしいということ。これは女性には比較的可能なことかもしれません。女性は子供を産む性であり、自分から生まれてきたものが異分子としてこの世に存在するわけですから、常に子供の立場に立って自分を見たらどうかと考えることが可能です。逆に男の人は、そういう性を持っていませんから、アナザーワールドに入って自分を見ることが苦手なのではないでしょうか。学生の皆さんたちには、そういう訓練がほしいなと思います。そして、我田引水ですが、やはり小説、文学という世界は、別の人生を覗き、そこに立っていろいろな世界を見るということが可能です。

 もう一つは、生きていく力として、体力、気力、経済力ということはだれでも思いますが、もう一つ、言葉による説得能力。この言葉による説得能力は、体力、気力、経済力よりも、もしかしたらもっと有効な力です。それを若い人たちにつけてほしいと思っています。



学部長から新入生へ「歓迎の言葉」


文学部長
川本芳昭氏 (かわもとよしあき)
専門分野:東洋史学


朋あり遠方より来たる、
亦た楽しからずや

 孔子の言行録である論語の冒頭に、「子曰はく、学びて時にこれを習う、亦た説ばしからずや。朋あり遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずして慍みず、亦た君子ならずや」というよく知られた文章があります。この文章は単に論語の冒頭におかれているというだけではなく、論語全体のエッセンスを凝縮した文章であるともいわれております。書かれていることは至って平明です。それだけに「なーんだ、論語というのはたったそれだけの簡単なことをいっているだけなのか」と思われる向きがあるかもしれません。実際、私も若い頃そのように思いました。しかし、人生の折にふれて、この言葉を反芻するうち、そこに極めて深い意味が込められていることに何度も気づかされました。

 これは人間にとって、理解するということのもつ奥深さの一端を示しています。文学部はこのような理解の奥深さについて学ぶところです。私は皆さんにその道をともに歩む知己となって頂きたいと切望しております。

※川本芳昭文学部長の任期は、3月31日で満了となり、4月1日に稲田俊明(いなだとしあき)人文科学研究院教授が文学部長に就任。


教育学部長
稲葉継雄 (いなばつぎお)
専門分野:比較教育学


山椒は小粒でも…

 教育学部への入学を心より歓迎します。

 九大教育学部は、学年定員49名の、全国でも指折りのミニ学部です。しかし、このほか外国人留学生や帰国子女がおり、2年次以降、他学部から転入してくる学生もいます。また、九大の学部教育の目玉といわれる「21世紀プログラム」所属学生の中には教育学部をホームグラウンドとする者が少なくありません。

 教授陣は、教授16名、助教授13名と、これまた少数ではありますが、国際的にも通用する一騎当千のつわものの集まりで、わが教育学部は「小粒でもピリリと辛い」存在であると自負しています。

 新入生諸君が、「ピリ辛」の教授陣と、小さいながらもバラエティーにとんだ学生集団の中で刺激を受けつつ、活力に満ちた学園生活を送られるよう願ってやみません。


法学部長
直江眞一 (なおえしんいち)
専門分野:西洋法制史

01_08.jpg(5695 byte)


法を学ぶとは?

 「法を学ぼうとする者は、最初に法(jus)という語が何に由来しているかを知らなければならない。それは正義(justitia) から来ている。法とは善と衡平の術である。私たちは正義を育み、善と衡平を知っていることを自らの職分としている。衡平と不正を区別し、適法と不法を見分けることによって。罰への恐怖によるだけでなく恩恵という励みによってもまた善がもたらされることを望み、見せかけではない真の知を追求することによって」… これは古代ローマの有名な法学者ウルピアーヌスが述べた言葉です。今から1800年程前に言われたことですが、今日でもそのまま通用するのではないでしょうか。法を学ぶということは条文を暗記することではありません。また、法とは決して小手先の技術ではありません。法学部に入った皆さんには、ぜひ「正義」「善」「衡平」が何であるかを学び、自分で考えて欲しいと思います。


経済学部長
荻野喜弘 (おぎのよしひろ)
専門分野:日本経済史


充実した学生生活を送ろう

 経済学部への入学おめでとう。入学に当たって皆さんは充実した学生生活を送りたいと願っていることでしょう。その願いは皆さん自身の手で実現していくものです。

 日本経済はようやく新しい発展の局面を迎えつつありますが、他方では構造設計偽造問題やライブドア事件などをきっかけに経済ルールや企業活動の在り方などをめぐって活発な論議が交わされています。経済現象が深く浸透している現代社会を生き抜いていくためには経済学や経営学の学識が必要不可欠です。それを学ぶ場が経済学部です。

 経済学部では新年度から新しいカリキュラムを実施します。「納得のいく教育」の実現を目指して、様々な仕掛けを組み込んでおります。この新しいカリキュラムを活かすのも殺すのも皆さんの関わり方いかんです。ぜひ積極的な教育への「参画」を希望します。

 そして皆さんにとって経済学部での学生生活が実りあるものとなることを願っています。


理学部長
小田垣 孝 (おだがきたかし)
専門分野:理論物理学


 

 最高学府で理学を目指す第一歩を踏み出されたみなさんに、「」という言葉を贈ります。

 理学は、森羅万象の中に潜む理(ことわり)を明らかにする学問です。これまで人類が培ってきた知を継承し、その先の新しい知を創出するために最も大切なことは、他の人の考えに流されず、強固な自分の考えをもつことです。

 新しい知の発見は、必然的に少数意見から始まります。旧来からの固定観念を覆す大発見ほど、少数意見から始まります。そんなときにその意見を主張できる人こそが「」なる人です。

 現代の文明の発展は、自然界の法則の発見なくしてはありません。そして、持続する地球環境の保全と人類の発展のためには、常識への挑戦が不可欠であり、今ほど理学が必要とされているときはありません。

 「」、このことを念頭に、みなさんが新しい道を進まれることを期待します。


医学部長
金出英夫 (かないで ひでお)
専門分野:分子細胞情報学、循環分子薬理学、循環器内科学


學は以て已むべからず

 入学おめでとうございます。

 天下の英才の諸君には、人々に幸せをもたらす、素晴らしい医学者・医師になって欲しい、と心から希望します。九州大学医学部の輝かしい伝統を継承し、医学・医療の最先端において、是非、国際的に大活躍して戴きたいと願っています。

 「學は以て已むべからず(荀子、勸學篇)」。学問というものは、永久に継続して修めなければいけないものです。特に、世のため、人のためと思って医学を選んだ諸君は、一生にわたって、医学を修め、実践し、進歩させる努力を続けねばなりません。

 九州大学医学部には、諸君が医学者・医師として大成するための機会にあふれ、環境が整っています。良い師と友人を得て、真の学問に大いに取組んで貰いたい、と切に願います。脳の機能は使えば使うほど良くなります。健康に留意し、大いに勉強しましょう。


歯学部長
赤峰昭文 (あかみねあきふみ)
専門分野:歯科保存学


鴻鵠は高く飛ぶ

 皆さん入学おめでとう。歯学部の教育理念は、基本的には歯科医師を養成することなのですが、それと同時に歯科医療や歯科医学の教育・研究におけるリーダーとして国内外で活躍できる優れた人材を養成することを掲げています。また、九州大学教育憲章では秀でた人間性、社会性、国際性を有し、医療福祉の面からは奉仕精神や倫理観に富む人材が求められています。患者さんの立場になり、痛み、悩み、苦しみを十分、わかり合えるような歯科医師に育ってもらいたいし、歯科医学を目指す人には情熱と創造性に富んだ研究者になって欲しいと思います。

 今、歯学部を取り巻く環境は大きな変革の時代を迎えています。2000年からの大学院重点化に始まって九州大学病院の統合(2003年)、国立大学の法人化(2004年)等々です。このように大学や歯科医療を取り巻く社会環境は変化しつつありますが、大学に課せられた歯科医学の充実と発展に貢献するという使命は続いています。このため、私たちはこれからも歯科医学の中核拠点としての機能を果たすべく、一層の努力をしていきます。

 今回、あなた達に「鴻鵠は高く飛ぶ」という言葉を贈ります。これは鴻鵠すなわち大きな鳥は空高く、悠然と飛んでいるという意味です。司馬遷の“史記”に「燕雀、安んぞ、鴻鵠の志を知らんや」という一節がありますが、鴻鵠に対して、燕雀(つばめ、すずめ)は小さな鳥のことで地上でピーチク、パーチク、さえずっている様子をあらわしています。あなた達は難関の九州大学歯学部に入学しました。“鴻鵠”になる素地は十二分に兼ね備えています。九州大学は西日本の“雄”です。どうか、あなた達には良い意味でのプライドを持ち、将来、社会に大きく羽ばたいて、歯科医学界をリードする人材に成長して頂きたいと思います。

 あなた達の夢と希望とロマンに満ちた素晴らしい未来に、心からエールを送ります。


薬学部
樋口 駿 (ひぐちしゅん)
専門分野:薬物動態学


薬学教育6年制の幕開け

 入学おめでとう。6年制(臨床薬学科)と4年制(創薬科学科)の2学科制に衣替えをした薬学部へようこそ。と言っても、薬学部の建物自体は何も変わってはいませんが。

 これから、新入生の諸君と、私たち教員も一丸となって、新たな薬学部作りに励みますのでよろしく。

 薬が世の中に出るまでのプロセスは創薬科学科に、その後の薬の使い方に関しては臨床薬学科に教育と研究が委ねられますが、九州大学薬学部は、薬の誕生から使われる場面までを一貫して見渡せる教育環境を提供しています。両学科の学生諸君は、各学科の専門を身につけるのはもちろんですが、近視眼的な見方に陥ることなく、是非、全体を見渡して下さい。そして、いかに薬の世界が広くて深いかを認識してください。そういう目を通して、諸君が、他大学・他学部にはない臨床薬学科と創薬科学科の個性と特徴を創り上げて行ってくれるものと信じています。医療現場で活躍する次世代の薬剤師、画期的薬剤を生み出す研究者の誕生を期待しています。


工学部長
大城桂作 (おおぎけいさく)
専門分野:材料工学


志高く、充実した学生生活を

 入学おめでとう。工学部は創立以来ほぼ1世紀に亘り、箱崎キャンパスから優れた人材と研究成果を世に送り、社会の発展に貢献してきました。しかし、現キャンパスでは21世紀の科学技術の発展に対応しうる高度の教育・研究を行うのは困難と判断し、昨年10月に物質科学系と機械航空系が伊都キャンパスに移転しました。本年10月からは建築学科を除く全ての学科・コースが新キャンパスで専門の教育研究を開始します。世界に誇れるすばらしいキャンパスで高レベルの教育を提供しますので、しっかり学んでください。

 工学にはいろんな専門分野があり、その要素を組合せることにより、現代の文明社会の基盤が築かれています。さらに、医学、農学など他分野との連携・融合により新たな科学技術が創成され、これまで困難とされていた諸課題解決への道が拓かれています。より豊かで平和な社会を築くには、社会科学も含めた他分野との連携がいっそう重要になっています。そうした科学技術開発を担う皆さんには、専門分野の深い知識と豊かな人間性が望まれます。学生時代は、自らを磨く、人生において極めて重要なときです。志を高く持って充実した生活を送ってください。

※大城桂作工学部長の任期は3月31日で満了となり、4月1日に末岡淳男(すえおかあつお)工学研究院教授が工学部長に就任。


芸術工学部長
安河内 朗 (やすこうちあきら)
専門分野:生理人類学


異次元の世界へ

 入学おめでとう、芸術工学部へようこそ。大学の4年間は長い人生に比べるとほんのわずかですが、唯一空白の大変貴重な時間帯でもあります。つまり、君たちがこの空白をどのように埋めるか、君たち次第ということです。高校までの勉強は、受験対策のためにどうしても知識の詰め込みになります。しかし大学では、知識を身に付けるというより智恵の出し方が重要です。知識なんて調べれば済むことです。いくら多くの高度な知識を身につけても、それを活用できなければ何にもなりません。知識を如何に使っていかに自分の人生に役立てるか、その知恵の出し方が重要です。うまい智恵を出すには、自分を取り巻く世界のとらえ方が重要です。私たちは世界をいわゆる五感というセンサーで捉えています。そして、五感では捉えきれない世界があることも、また事実です。私たちが眼で見る世界は必ずしも本当の世界ではない、いつもこういう態度で物事、世界を見つめれば、常識に捕らわれない発想がうまれ、新鮮な智恵が出せることにつながります。この大学4年間で、それまでの常識に左右された世界から異次元の新しい世界を感知し、自由な智恵を出せるように学んで下さい。空白の4年間を如何に埋めるか、世界を変えうる君たちに期待しています。


農学部長
今泉勝己 (いまいずみかつみ)
専門分野:栄養化学

01_16.jpg(4099 byte)


全方位の学問、農学

 農学部への入学、おめでとうございます。

 農学は、衣食住、人と地球の現在と未来を考える全方位の学問です。地球規模での食料問題と環境問題を克服することは農学部に課せられた使命です。そのために、皆さんには、生命科学、環境科学、経済科学等の専門分野に加えて、自然科学や社会科学等の教養科目をしっかり身につけて頂きたいと思います。品格のある国際人としての素養を身につけることも国際貢献をする上で大切です。

 本学の農学部には、田畑、水産資源、林産資源、畜産資源、土・水を対象とした伝統的な学問分野から、遺伝子工学や生物機能の応用を対象とした新しい分野があります。バイオ利用技術は今後更に進展することでしょう。皆さんの先輩が中心となってアジアの米の品種改良を援助してきました。自分が何に興味があるのかを考えて、これらの分野と皆さんが希望する職業との関係についてじっくりと調べて下さい。

 皆さんの健闘を期待しています。



先輩からのメッセージ


九州大学大学院生
三浦 史郎 (みうら しろう)
医学部医学科平成9年度卒業


卒業生のつぶやき

 九州大学へようこそ。不本意ながらこられた方もおられるでしょうが、これからの学生生活を有意義に過ごされればと思います。僕自身の話をすると、九大入学時には、漠然と遺伝性疾患の研究に携われればと考えていました。卒業後、神経内科に入局した訳ですが、理由は神経内科という分野は遺伝性疾患の宝庫であると感じたからです。神経内科専門医となった現在は、病院地区にある遺伝情報実験センターで家族性脊髄小脳変性症の原因遺伝子探しを地道にしています。最終目標は治療法を開発することですが、ゴールは遥か彼方にあるようです。遺伝性疾患に興味のある方はぜひ後に続いて、抜かしていって下さい。

 いくつか提案をさせていただくならば、月並みですが、まず目標を持ちましょう。それが難しいという人は5年先・10年先の自分を想像しましょう。次に趣味を持ちましょう。勉強や仕事が趣味という人は別ですが、勉強や仕事にストレスを感じる人には必要不可欠なものと思います。常々思うことですが、気分転換を上手にできる人は強く、大きな事も軽々とやってのけるようです。最後に人間関係を大切にしましょう。

 九州大学にきて良かったといえる人生だといいですね。


株式会社電通九州 営業本部
石塚 岳志 (いしづか たけし)
文学部文学科平成10年度卒業


あっという間の4年間

「石塚君さ、どこの大学出たの?」
「え…と、九大です」
「へえ、学部は?」
「文学部です」
「文学部!専攻は?」
「仏文です…」
「へえー!仏文!じゃあ何、コマンタレブー!とかやってたわけ!?」
「…やってません」
「サークルとか。留学とか。あれでしょ、コンパとかやってたんでしょ?」
「いや…特に…」

 社会に出てからこんな目にあわないためにも、ボクは、ワタシは学生時代にこれをやったぞ!といえるものを何かひとつでも獲得してください。

 4年間なんて、あっという間に過ぎてしまいます(私は5年在籍しましたが)。


株式会社日立製作所 公共システム事業部システムエンジニア
三井 直人 (みついなおと)
理学部 数学科平成12年度卒業


時間の使い方

 入学おめでとうございます。今皆さんは、これからの新生活に心を躍らせていることと思います。

 皆さんはこれからの4年間、今からの人生の中でも最も多くの自由な時間があります。社会人になった今、私はこのことを強く感じます。私は今、東京でSEという仕事をしています。繁忙期になると、毎日残業で遅くなり、帰ってきたら食事をして寝るだけ、という生活です。自由な時間が欲しいなあと思うことも度々です。しかし、大学生には、自由な時間がたくさんあります。この自由な時間をどのように使うかは、皆さんひとりひとりにかかっています。一生懸命勉強したり、たくさんバイトをしたり、サークルに打ち込んだりと、さまざまな時間の使い方があると思いますが、ひとつだけ私が言いたいことは、余りある時間をたくさん考えることに使ってください。将来のこと、研究のこと、または恋人のことでも何でもよいです。たくさん時間を使って考えた経験は、将来社会に出てきっと役立つはずです。大学生は、もう誰も行き先を決めてくれません。皆さんが行き先を決めるのです。どんな人生になるかは、今からが勝負!!素敵な大学生生活を送りましょう。


テレビ西日本 編成制作局解説委員室 アナウンサー
高山 梨香 (たかやま りか)
経済部経済学科平成13年度卒業


大学時代の経験が生かされる

 入学おめでとうございます!大学は高校時代とは違って、勉強の面でも、生活の面でもかなり自由です。とりわけ一人暮らしをする方は、ほとんど制約のない生活が始まりますね。精いっぱい浮かれてもいいのでは?今できること、今感じられることを、思いっきり楽しんでがんばってください。

 私は入学当時、アナウンサーになるなんてまったく思っていませんでしたが、今、大学時代の経験がかなり役立っていることを感じます。仕事柄、毎日様々な情報や、いろいろな方々との出会いがありますが、日常でのふとした体験を生かすのも自分次第。かなり前に読んだニュースがトークで生かされたり、映画のワンシーンが中継の演出で参考になったりと、日々の積み重ねの大切さを痛感しています。そう!今日はもう二度と来ないんです。その時、その人しかできないことがたくさんあると思います。将来の夢がある方は、さらにその夢の可能性をひろげ、将来の夢がまだみつからないという方も、ちょっとでも気になることことには、興味を持って挑戦してみては?自分のしたいことが見えてくるかもしれません。九大には楽しくて自分のためになって、いい思い出になるきっかけがたくさんありますよ!お勉強もがんばってくださいね。


前のページ ページTOPへ 次のページ
インデックスへ