新キャンパス計画専門委員会委員長 |
理事・副学長 |
有川 節夫 |
九州大学は、「時代の変化に応じて自律的に変革し、活力を維持し続ける開かれた大学の構築」と、「それに相応しい研究・教育拠点の創造」をコンセプトに、福岡市西区元岡・桑原地区、前原市、志摩町にまたがる新キャンパス(伊都キャンパス)を建設中です。ここに箱崎地区、六本松地区、原町地区のキャンパスを統合移転し、計画人口約一万六千人、延べ床面積約五十万uの施設を計画しています。二〇〇五(平成十七)年には工学系の約半分が第一陣として、引き続き二〇〇六(平成十八)年後期に工学系の残り半分が第二陣として移転し、四千九百人の学生と教職員のキャンパスライフが始まりました。
伊都キャンパスは、東西約三q、南北約二・五q、二七五ヘクタールの広大な敷地です。博多湾の西、糸島半島のほぼ中央に位置しており、福岡の中心、天神から約十五q、公共交通機関で約四十分の距離にあります。都市の近郊という利便を持ちながら、玄界灘に望む豊かな自然が残された静謐な環境にあります。古くからこの地域で、人々の往来が盛んであったことを示す遺跡が数多く存在する歴史ある地域です。
九州大学は、時代の潮流の先端をきるべく、学府・研究院制度をはじめとする大規模な改革を実施してきました。伊都キャンパスは、九州大学の新しい大学像を空間的に実現する舞台として位置づけられます。二〇〇一(平成十三)年、長期にわたるキャンパスづくりを一貫して行うための方針を「九州大学新キャンパス・マスタープラン二〇〇一」にまとめ、これに従って、各地区の基本設計、デザインマニュアル等をまとめ、施設の設計、工事を進めています。
伊都キャンパスを舞台にした新しい研究展開も推進されています。個人情報の保護やネットワ
ーク社会での個人認証など新しい社会問題と取り組むICカードプロジェクトや、新エネルギーであ
る水素利用技術の研究開発拠点とミニ社会実証を目指した水素キャンパス構想、ユーザーを基盤とし
た技術と感性を融合するユーザーサイエンスなど、未来型キャンパスを目指した取り組みがはじまっ
ています。
九州大学学術研究都市構想にもとづく周辺のまちづくりも、少しずつ姿を現してい
ます。学園
通り線、河川整備をはじめとする様々なインフラ整備、九大学研都市駅や大型商業施設がオープンし
た伊都土地区画整理事業、キャンパス周辺での学生の住まいづくりなど、自治体や民間事業者の手で
着々と進められています。また、NPOやボランティアによるキャンパスの環境創造活動や、移転し
た工学系学生・教職員と地元住民との交流も始まっています。
移転は、工学系に続けて、理学、文系、農学の順に実施する予定です。二〇〇六(平成十八)年七
月に学内了承を得て、六本松地区(全学教育、比較社会文化、言語文化他)の伊都キャンパスへの第
Uステージでの直接移転について、文部科学省の了承を得たところです。
伊都キャンパスと九州大学学術研究都市の実現に向けて、関係各位のご協力を引き続きお願いいたし
ます。
(ありかわ せつお) |
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■移転順序案2001(平成13)年3月 |
移転ステージ別の移転対象の部局と施設の延床面積(概算)
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(計画延床面積:万u) |
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全学教育の一部が元岡へ直接移転し、他の一部が箱崎に一旦移転したのち、元岡への再移転を行
う。 |
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第Tステージ第1陣の移転開始から第Vステージの移転終了までを、概ね10年程度と想定してい
る。 |
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施設は棟毎に建設されるため、移転は逐次行われる。この移転順序案は部局移転順序に関するお
おまかな方針を示すものであり、施設によっては時期が前後する場合がありえる。実験施設等につい
ては、所属部局の移転を考慮して個々に検討する。 |
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その他には以下のような施設を想定している。それぞれに関わる機能の移動については、別途検
討する。
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第Tステージ: |
大学会館、交流施設 等 |
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第Uステージ: |
体育館、大学講堂、留学生センター、交流施設、学生宿舎 等 |
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第Vステージ: |
農場施設、事務局庁舎、学生宿舎 等 |
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■移転スケジュール2004(平成16)年9月

※( )内の数値の移転年度は、財政状況により変動することがある。
■新移転スケジュール2006(平成18)年9月
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