平成10 年5 月26 日に「新キャンパ ス造成基本計画」が将来計画小委 員会及び評議会で正式に決定され たことにより,新キャンパス計画は いよいよキャンパス全体のデザイン づくりのスタートとなる「マスタープ ラン策定」という新しい段階に踏み 出しました。
  また,同年6 月23 日,九州大学の 杉岡洋一総長は,「造成基本計画」 をもとに,「造成実施計画」の策定 を福岡市の桑原敬一市長に依頼し ました。

「造成基本計画」決定後の 全学的取り組み

 キャンパスのデザインのためには, いくつかの重要な点について基本 方向を固めなければなりません。ア カデミック・ゾーン内のゾーニング,農 場ゾーン内の農場計画,交通・情報 通信・エネルギー・水・廃棄物など基 本的インフラ整備のあり方,緑地管 理計画,環境影響評価,さらに地域と の連携・交流などの課題の検討が 急がれます。
  九州大学では,「造成基本計画」 決定後の平成10 年6 月に,新キャン パス計画専門委員会のもとに設置 していたワーキンググループの再編 を開始し,最終的に5 つのワーキング グループ及び5 つのサブグループを 結成。延べ150 名強の教職員の参 加のもとで,造成基本設計,環境影 響評価書及びマスタープラン作成に 不可欠な課題について,それぞれ専 門分野から検討を進めました。

ゾーニング決定までの議論

 特に,アカデミック・ゾーン内のゾー ニングについては,新キャンパスでの 九州大学全体の長期的な教育研 究活動のあり方に大きく関わるとと もに,関係部局の考え方の調整も不 可欠であり,ただちに議論を開始しま した。まず,学部の1 ,2 年生が全学的 に交流しながら学ぶ全学共通教育 の場をキャンパスの中央に広く取り, ここに大学本部,大学会館及び学外 交流施設を配置するという構想を 核とした「キープラン」が提案され,何 回かの議論を経て,平成10 年10 月 20 日の将来計画小委員会で承認さ れました。
  これを受けて,施設計画ワーキン ググループにおいて,各部局の部局 長及び新キャンパス計画専門委員 によるワークショップ方式等により,文 系・理系それぞれのゾーニングにつ いて真剣な意見の交換がなされまし た。そして,ここで練りあげられた「文 系・理系ゾーニング」案は,12 月8 日 の将来計画小委員会に正式に提案 されました。
  また,これを前提にして,移転順序 案についても年末に検討が深められ, 平成11 年1 月19 日の将来計画小委 員会に提案され,先の「ゾーニング案」 と一対として各部局で議論することになりました。 その結果,各部局からは相互に異 なった意見が多く出され,新キャンパ ス計画専門委員会においてさらに 活発な議論がなされました。
  その結果, 移転順序案についての「修正案」 が2 月19 日の将来計画小委員会に 提案され,約1 カ月の学内議論を経て, 「アカデミックゾーン内のゾーニング案」 と「移転順序案」が平成11 年3 月11 日の将来計画小委員会で仮決定さ れました。 「仮決定」されたというのは,こうし たゾーニング案及び移転順序案の もとで,移転期間中における教育研 究活動に生じる諸困難を最小にす るためにシミュレーションをし,その結 果によっては,ゾーニングや移転順 序の修正が必要となることも予想さ れたからです。また,施設や交通計 画等の作業の進展のなかで,見直し が迫られる可能性も否定できなかっ たからです。
  仮決定の後,「移転シミュレーショ ン検討プロジェクトチーム」により,移 転順序案の実行可能性を確認する ための3 ケ月に及ぶ作業が行われ, その結果報告を受けて,平成11 年7 月27 日の将来計画小委員会において, 「アカデミックゾーン内のゾーニング」 と「移転順序」は正式に了承されま した。

ゾーニングと移転順序

 ゾーニングの基本的考え方は,キ ャンパスへのアクセス・メインルートと なる県道桜井太郎丸線に接すると ころをエントランス部分とし,ここに本部・ 交流・全学共通教育ゾーンを置き,こ こから東側ゾーンを文系,西側に広く 展開するゾーンを理系とするもので す。文系ゾーンでは中央図書館を核 にその東側に比較社会文化,人間 環境学及び言語文化,東側に文学, 法学,経済学などの学部・大学院等 を配置します。また,理系ゾーンでは 本部・交流ゾーンに近接して理学, 数理学,つづいてシステム情報科学, 工学を置き,その西側に生物資源環 境科学などの学部・大学院等を配 置し,中心に図書館・情報館を置く, というものです。
  また移転順序は,第期(3 年間), 第期(4 年間),第期(3 年間)に 大きく分け,第期には工学系の大 半と理系図書館・情報館,第期に は工学系の第2 陣と理学系,文系, 中央図書館,第期には農学系・農 場及び本部とします。また,現在六 本松で主として行われている全学 共通教育については,こうした移転順序を考慮して,3 ステージに亘って 新キャンパスに移転するものの,六 本松地区の売却時期との関係で, 一部は一時期箱崎で行うというもの です。
  農場の面積及び土地利用につ いては,農場計画サブグループを中 心にして一層の検討が深められ,こ れに基づき平成10 年10 月20 日の将 来計画小委員会で「新キャンパスに おける農場ゾーンについて」が,平成 11 年2 月19 日の将来計画小委員会 において「農場用水に関する地元 及び開発協議方針について」が了 承されました。これを基に関係機関 及び地元との協議を行い,原則的な 合意を得て,平成11 年4 月16 日の評 議会において,農場ゾーンの取扱い に関する「造成基本計画の一部修 正について」が決定されました。

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