●トピックス/ アジアに広がるネットワーク―1
Conference of Asian University Presidents 2003第4回アジア学長会議 2003年11月7日〜9日 タイ王国バンコク市 国際交流推進室 助手 新開 章司
第四回アジア学長会議がタイのバンコク市で開催されました。今回は、タ イのチュラロンコン大学の主催、マヒドン、タマサート両大学の共催で開催 され、アジアの二十七大学が参加しました。メイン・テーマは「University and Society(社会における大学の役割)」。急激に変化する社会において、 大学はどうあるべきか、アジアの諸大学はどう連携していくべきか、という ことが熱心に議論されました。 基調講演では、タイのChaturon副首相がおいでくださり、「社会の発展 にとって大学の役割は非常に大きい。(中略)急速に変化し、複雑化する社 会の中で、大学は常に変革と新たな挑戦を求められており、大学が社会に貢 献できるよう連携し議論を深めていただきたい」と、アジア学長会議への期 待を述べられました。 全体会議では、急速に変化する社会の中での各大学の取り組みが紹介され ました。それぞれの事情によって違いはあるものの、大学の役割が変化して いるのは同じで、変革の方向を模索し、どの大学も改革に向けた努力を行って いることがうかがえました。とくに、大学の自治や資金の獲得が共通した課 題であるようです。 産学連携 本学の梶山総長は、これからの社会における、大学と産業界との連携の重 要性を指摘し、九州大学の産学連携の取り組みを紹介しました。参加 者からも強い関心が寄せられ、今後、アジアの大学を巻き込ん だ、国際的な産学連携が促進されることが期待されます。 また岡崎智己助教授(留学生センター)が、これまでのアジ ア学長会議の足取りと、九州大学の取り組みについて報告しま した。アジアの諸大学と連携することによって、「知の拠点」 を形成し、アジアの研究者同士が連携し「新たな知」を創造する というアジア学長会議の目的と、九州大学がこれまで「ネットワ ーク・ポイント(NP)構想」によりアジアの大学との連携を 強化し、対等な競争的協力関係の構築に向けてリーダーシップを発揮してき たことは、参加各大学からも高い評価を受けました。 さらなる連携にむけて 分科会では、「学生交流」と「遠隔教育」のふたつのトピックが議論され ました。単位互換、共同カリキュラム、遠隔教育プログラムなどについて協議 され、今後は担当者間の実務的な協議が進められていく予定です。 アジア地域には多様な言語と、それぞれの教育制度があり、具体的な連携 に向けては、まだまだ克服すべき課題も少なくありません。しかしながら、 アジア学長会議のこれまでの成果であるネットワーク・ポイント(NP)構 想のもと、参加大学間の連携は一層緊密になってきており、各大学の国際交 流担当者の間には信頼関係が着実に築かれてきています。そのようなNP間 の信頼関係が、さまざまな障害をひとつひとつ克服し、具体的な連携を促進 する原動力となるものと、大きく期待されています。 次回は九州大学で 次回、二〇〇四年度のアジア学長会議は、第一回、第二回に続いて九州大 学の主催で、福岡で開催されることとなりました。会議参加者のアジア学長 会議への期待は大きく、さらなる交流と、アジアの大学連携による「知の拠 点形成」という大きな目標に向け、九州大学がリーダーシップを発揮するこ とが期待されています。 (しんかい しょうじ/農業経営学)
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