教育公務員特例法との関係

 以上のように,学校教育法,国立大学設置法,同施行令,同施行規則など 一連の法体系の整備によって,「九州大学の改革の大綱案」で提起された「研究院」制度は, 全学の大学院の重点化とそのもとで教育研究組織を教育組織としての「学府」(教育部)と 教育上の必要性を考慮した研究組織としての「研究院」(研究部)に分離し, 一体として大学院の組織とするという形で法的な根拠を確立することになりました。

 ここで,注目すべきことは,こうした新しい制度と教育公務員の 「任免,分限,懲戒,服務及び研修」を定めた教育公務員特例法との関係です。 教育公務員特例法の第2条第3項で「この法律で『部局長』とは, 大学の副学長,学部長その他政令で指定する部局の長をいう。」と定めています。 この「その他政令で指定する部局の長」について,教育公務員特例法施行令第1 条では, 「法第2 条第3 項の部局の長とは,次に掲げる者をいう。」として 附置研究所長,病院長,図書館長などとともに 「大学院に置かれる研究科 (国立大学の大学院に置かれる教育部及び研究部を含む。)の長で文部省令で定めるもの」 をあげています。 これを受けて, 「教育公務員特例法施行令第1条の規定に基づき大学院に置かれる研究科の長を定める省令」 を改正し,その第30号で 「九州大学の大学院の人文科学研究院長,比較社会文化研究院長,人間環境学研究院長, 法学研究院長,経済学研究院長,言語文化研究院長,理学研究院長,数理学研究院長, 医学研究院長,歯学研究院長,薬学研究院長,工学研究院長,システム情報科学研究院長, 総合理工学研究院長及び農学研究院長」を列記しています。 つまり,九州大学での教育公務員特例法上の部局長は, 副学長,各学部長,附置研究所長,病院長,図書館長などに加え,大学院組織に関しては 各研究院長となります。

評議会・教授会に関する定め

(国立学校設置法)

 また,国立学校設置法では,第7条の3(評議会)で「国立大学に,評議会を置く。」とし, 従来「国立大学の評議会に関する暫定措置を定める規則」という省令に基づいて設置されていた 評議会を法律において規定し,第2 項でその構成について定めています。 また,第7条の4(教授会)で教授会を置く組織について規定しています。 そのうえで評議会の構成員や教授会を置く組織について, 教育部及び研究部を置く国立大学に関して第7条の7の読み替え規定を設けています。 その中から九州大学に直接関わるものをあげると,評議会の構成員として,学長,学部長, その他の文部省令で定める大学院の研究科(大学院の教育部及び大学院の研究部を含む。)の長, 大学附置の研究所の長,副学長,医学部附属病院長,歯学部附属病院長,附属図書館長及び学部, 文部省令で定める大学院の研究科(大学院の教育部及び大学院の研究部を含む。), 大学附置の研究所のうち評議会が定めるものごとに当該組織から選出される教授, 並びに評議会の議に基づいて学長が指名する教員をあげています。

 ここで文部省令で定める大学院の研究科とは, 前述した「教育公務員特例法施行令第1 条の規定に基づき大学院に置かれる研究科の長を定める省令」 で定めるものであり,九州大学では研究院長及び研究院から選出された教授が該当します。 また,教授会を置く組織として,学部,大学院の教育部,大学院の研究部及び大学附置の研究所 をあげており,九州大学では,教授会を置く大学院の組織は,学府及び研究院ということになります。

(九大の評議会、教授会の審議事項)

 こうした,「研究院」制度にかかわる一連の法体系の整備を受けて,九州大学では,評議会規則及び教授会通則の改正を平 成12年3月の評議会において決定しました。

 「九州大学評議会規則」では,第2条(組織)に, 「評議会は,次に掲げる評議員をもって組織する。 一 総長 二 各研究院長,各附置研究所長及び教育学部長 三 副学長,医学部附属病院長,歯学部附属病院長及び附属図書館長 四 各研究院の教授2 人及び各附置研究所の教授1 人, 五 健康科学センター長及び大学教育研究センター長」としており, 研究院の「部局」としての位置を明示しています。また, 九州大学教授会通則では,第2 条(構成員)で各学府の教授会,各研究院の教授会, 各学部の教授会,各研究所の教授会,健康科学センターの教授会の構成について規定し, 第3条でそれぞれの教授会の審議事項について明示しています。 学部教授会と学府教授会は,それぞれの学部または学府の教育課程の編成,学生の入学, 卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位授与に関する事項を中心にし, 研究院教授会は,教官の教育・研究業務に係わる事項とともに, 教育公務員特例法等に定める教官人事に関することを審議することにしています。 また,研究所教授会は,教官の研究業務に係わる事項と教育公務員特例法等に定める 教官人事に関することを審議します。 つまり,学部教授会や学府教授会は学生の教育に関する事項を, 研究院教授会と研究所教授会は教官人事と教官の業務に関する事項を審議することになり, 大学自治の根幹をなす教官人事については原則として研究院及び研究所教授会に属することが明示されました。 なお,附属病院の教官に係わる教官人事については,関係する学部教授会の審議事項となっています。


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