新しい大学院制度

(教授会の構成員)

 ところで,九州大学教授会通則は,第2条(構成員)で各教授会の構成員について規定し, 「2. 各研究院の教授会の構成員は,当該研究院所属の教授とする」, 「4. 各附置研究所の教授会の構成員は,当該研究所所属の教授とする。」として, 部局の長を選出する研究院教授会,研究所教授会に教授が所属するものとし, 「5. 健康科学センターの教授会の構成員は,健康科学センター所属の教授とする。」 と同様の考え方のもとに定めています。 これに対し,「各学府の教授会の構成員は,当該学府の講座を担当する教授とする。」, 「3. 各学部の教授会の構成員は,次の各号に掲げる者とする。 一 研究院の所属で当該学部の学科目又は附属教育研究施設を担当する教授 二 学部附属病院所属の教授」と規定しており, 学部教授会に「学部附属病院所属の教授」を構成員とする以外は, 学府は「講座を担当する教授」, 学部は「学科目又は附属教育研究施設を担当する教授」としており, 「所属」ではなく,「担当」という概念で構成員を規定しています。 念のため,同規則同条に 「6. 教授会には,助教授その他の職員を加えることができる。」として, 教授会に助教授等を加えるか否かは,それぞれの教授会の判断に委ねています。

研究院長・学府長・学部長

 さらに,「研究院制度における研究院長,学府長及び学部長の取扱に関する申し合わせ」が 平成12年2月の評議会において承認されました。 ここでは,「1. 研究院制度の下では, 研究院と学府・学部の3つの組織が一体として効率的で責任ある運用が図られることが不可欠 であることから,研究院長が学府長・学部長ともに兼ねるものとする。 なお,複数の研究院が平等に学部教育に責任を持つ場合は,関係部局の協議のもとで, 当該研究院長のうちから学部長を選任するものとする。 2. 人間環境学研究院は,教育学,人間科学及び建築学等の異なる分野から構成された 学際的な研究院であることから,同研究院長が教育学部長を兼ねることは適当でないので, 別に教育学部長を選出し,大学の管理運営等に参画させるものとし, 今後,教育学部の組織変更があったときは,その時点で見直すものとする。 3. 1及び2により各研究院長が兼ねる学府長,学部長は,当分の間別紙のとおりとする。」 表(4) と定めています。一言で言えば,学府長及び学部長は, いずれかの研究院長が兼ねるものとし, 三つの種類の教授会の効率的運用と研究院長・学府長・学部長が別人格となることによる 管理運営の複雑化を回避しようというものです。

継続される自律的な改革

 教育組織と研究組織との分離により, 人材育成の必要による教育組織の再編と研究の発展に伴う研究組織の再編を それぞれ独立に行うことが可能となりました。 しかし,わが国で初めての「研究院」制度の導入にともなう 具体的な管理運営システムの確立とこれを裏付ける関連法令の整備は, 過去に経験がないだけに,予想以上に難しいものでした。 しかし,文部省の関係部局の協力とともに, 昨年秋に九州大学の部局長や改革推進専門委員を中心に結成された 「中・長期計画策定プロジェクトチーム A 」及び 事務局職員による厳しい作業によって昨年度末までに必要な法規が整備されることになりました。 本年度から実施されるこの新しいシステムのもとで, 新しい学府の設置を追求するなど, 引き続き「自律的な改革」を強めていきたいと思っています。 平成13 年度以降,相当数の大学に,この新しいシステムを導入する動きがみられます。

(やだ としふみ)


表(4)
1 人文科学研究院長は,文学部長及び人文科学府長を兼ねるものとする。
2 人間環境学研究院長は,人間環境学府長を兼ねるものとする。
3 法学研究院長は,法学部長及び法学府長を兼ねるものとする。
4 経済学研究院長は,経済学部長及び経済学府長を兼ねるものとする。
5 理学研究院長は,理学府長を兼ねるものとする。
6 医学研究院長は,医学部長及び医学系学府長を兼ねるものとする。
7 歯学研究院長は,歯学部長及び歯学府長を兼ねるものとする。
8 薬学研究院長は,薬学部長及び薬学府長を兼ねるものとする。
9 工学研究院長は,工学府長を兼ねるものとする。
10 システム情報科学研究院長は,システム情報科学府長を兼ねるものとする。
11 農学研究院長は,農学部長及び生物資源環境科学府長を兼ねるものとする。
12 比較社会文化研究院長は,比較社会文化学府長を兼ねるものとする。
13 数理学研究院長は,数理学府長を兼ねるものとする。
14 総合理工学研究院長は,総合理工学府長を兼ねるものとする。
15 理学研究院長又は数理学研究院長は,理学部長を兼ねるものとし, 当該学部長の選出にあたっては,当該研究院の協議に基づき, 理学部教授会において選出方法等を定めるものとする。
16 工学研究院長,システム情報科学研究院長又は総合理工学研究院長は, 工学部長を兼ねるものとし,当該学部長の選出にあたっては,当該研究院の協議に基づき, 工学部教授会において選出方法等を定めるものとする。

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