言語文化研究院長
岩佐 昌
いわさ まさあき

 過去2年間の言語文化部長に引き続き,言語文化研究院の初代院長に就任された岩佐先生は, 新組織の指導者としてまことに相応しい方です。 温厚で人情にもろい半面,果敢な行動力と決断力で部局の運営にリーダーシップを揮われる姿には 「大人」 の風格が具わっています。それもそのはず,先生のご専門は中国文学・文化であり, 中国滞在のご経験も長いのです。直接の専門領域は中国現代詩で,特に“文革”後の 「朦朧詩」研究のわが国における権威です。漏れ聞くところによれば,学生時代の先生は詩人であり, 演劇青年でもあられたようです。 ともすれば殺伐としたものになりかねない部局運営の日々を慰めるものは, きっと先生の心中の詩心(美意識)なのでしょう。

 先生が若かりしころ学生運動の闘士であり, 関西における全共闘運動の有能な指導者でもあったことは, 我々同僚の間では今や伝説と化した有名な事実です。 最近はさすがに穏和な表情が目立つ先生ではありますが, ここ一番の勝負どころで発揮される気迫にはリーダーとしての先生の天稟がしのばれます。

 先生は言語文化研究院でもっとも多産な論文生産者の一人であり, その活発な研究活動によって後進に無言の教えを垂れておられます。 現在は「文革期文学」という研究領域の創出のため, 科研費による研究の仕上げに余念がないようです。 オランダ,中国,韓国など海外の学会での発表も多く, 教育の面でも「名人技」と評判が高いのが先生の授業です。

 このように学校行政だけでなく研究と教育の両面で, 岩佐先生は言語文化研究院のリーダーの名に恥じない方です。 新学府構想をはじめ多くの懸案を抱える私たちは,心から岩佐先生のご活躍に期待を寄せるのです。
(S.Y.)


工学研究院長
梶山 千里
かじやま ちさと

 梶山千里先生は工学研究院応用化学部門機能組織化学講座,工学府材料物性工学専攻の教授です。 先生のご専門は高分子固体の構造と物性,高分子固体表面の分子運動特性, (高分子/液晶)複合系の機能特性,有機超薄膜の構造と物性であります。 ご研究は独創性に富み,基礎と応用のバランスの取れた波及効果の大きい内容で, 常に内外の研究者から高い評価を得ています。

 先生は,九州大学大学院工学研究科応用化学専攻の修士課程を修了後, 1966年に米国のマサチューセッツ大学アマースト校の博士課程に進学され, 高分子工学科博士課程の学位(Ph.D.)取得者第一号になられました。 マサチューセッツ大学高分子工学科は,世界の有数の高分子研究グループであり, 世界の高分子科学の研究をリードしています。 留学したとき,空港に迎えに来た日本人留学生の先輩から, “英語が下手だからPh.D が欲しければ,土曜も日曜もないと思って勉強せよ”と 大学までのドライブ中に言われたそうです。 先生の留学時代の経験が,現在の研究室での研究の進め方に 大きな影響を与えていることは言うまでもありません。 先生は高分子学会賞,日本化学会学術賞,マサチューセッツ大学総長賞を初め, 多くの賞を授賞されています。 教育においては,綿密に計画された講義ノートに沿って進められる先生の講義は, 大変分かり易いと定評があります。 高分子関係の企業に就職した卒業生からは, “先生の講義は高分子の構造と物性のエッセンスが簡潔にまとめられている” として高い評価を受けています。

 先生は大学での教育・研究以外に多くの学会の会長,副会長も務めておられ, その判断力,行動力は高く評価されています。 先生のバランス感覚に優れた判断力,卓越した行動力により工学研究院がさらに充実し, COE として発展していくことを確信しています。
(A.T.)


生体防御医学研究所長
笹月 健彦
ささづき たけひこ

 笹月先生の所長就任は今回が3回目である。 今回は特に研究所の改組をにらんでの就任となった。 生体防御医学研究所はあと2年余りで設立20年を迎える。 研究の進展の早い生物医学研究分野では20年という時間は非常に長いものであり, 20年前の研究所の体制を何ら改革することなく今後も引き続いて維持していくことは 研究所を衰退させることであり,ひいては医学研究の発展, 学問の進展を阻害することになりかねない。 九州大学をはじめ我が国の国立大学では現在,21世紀での学問の発展にさらに大きく寄与すべく, 抜本的改革に向けた試行錯誤と努力がなされている。 また一方,医学部キャンパスに目を向ければ, 医学部,薬学部,歯学部は大学院を充実させ研究院として新たな出発をする。 まさにこの時期において, 大学のそして我が国の先端的医学生物学研究を担うべき生体防御医学研究所は, 改革にむけた工夫と改革に全力を傾けることが要求されている。 過去3−4年間,研究所の改革,改組に向けて我々は多くの時間を割いて討議を重ねてきた。 笹月所長にはそれらの議論を踏まえてその先頭に立って,これからの20年間もまた, 生体防御医学研究所が我が国の医学生物学研究の中心の一つであり続けられるように, 改組,改革を推進して頂けると信じている。 研究施設と研究所環境の充実と拡張, より多くの優れたスタッフ,研究者の確保,多くの優秀な若い研究者,大学院生を招び集め 彼らに自由な発想のもとに研究に思う存分打ち込める環境の提供など,問題は山積している。 企画推進力と的確な状況判断力に優れておられる笹月所長に期待するところは大きい。 我々スタッフもまた一丸となって笹月所長に協力しサポートしてゆく所存である。
(T.W.)


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