【大学が果たす役割】

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 わたくしたち9の大学は,それぞれの大学に課された教育と研究の責務を果たすだけでなく, 21世紀における世界の大学の一員として, 人類の幸福と世界の平和を実現するために最大の努力を払うことを確認し, この認識のもとに積極的な交流と協力を推進するものである。

【大学における教育目標】

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 21世紀における大学教育は,混迷する価値観と世界情勢の中で, 時空を超える不変の真理と人類の叡智を探求し,健全な精神を養い, 人類の未来を開拓する知識と技術を洗練し,かつ, 地域と国際社会に積極的に貢献する人材を養成することを目標とする。

【大学における研究目標】

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 大学における研究は,古くから人類が営んできた真理追求の努力を継承し, それを未来に伝承する使命を持つ。 このために,研究は伝統的性質と共に独創性と先進性を備えるものでなければならない。 さらに,研究は閉鎖的であってはならず,学外へ開示し社会の要請に対応することが必要である。 同時に,学問の応用的性質及び実利と効用を強く求められる今日の状況において, 大学における研究は優れて基礎的研究を基盤とするものであり, その維持は21世紀においても大学の使命であることを確認する。

【国際交流の推進】

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 今日,地球規模における情報の集積と伝播及び人的物的交流の急速な発展の中で, 大学における国際交流事業の果たす役割はこれまでになく重要である。 研究者交流,学生交流,短期留学制度,単位互換制度, 研究及び教育における国際的同時性に対応する体制の整備等を積極的に推進することは 今日の大学の重要な責務である。

【教育と研究の成果】

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 21世紀の大学における教育と研究の成果は, 民族的,国民的及び宗教的集団間の理解,寛容及び友好を促進するものでなければならない。 特に,地球規模の自然環境の保全,人命の尊重, 個性豊かな文化の創造についての認識を高めることは,大学人の重要な義務である。

【大学の管理・運営】

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 教育研究のレベルを最善に維持するためには, 教官,学生,事務職員の資質の向上に努めることが重要であり, 同時に大学の管理運営を最高の状態に保つ努力を確実に行うこともまた肝要である。 大学運営におけるリーダーシップと叡智,柔軟性と豊かな感受性を維持することは, 個々の大学の力量を最大限に引き出すだけではなく, 各大学の地域における存在価値と国際的連関性を高め, かつ伝統的教育の最上の価値を実現することに寄与するものである。

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