箱崎商店街活性化チームから地域発創集団CUBEへ

1999年度の活動を振り返って

水月 昭道(人間環境学府都市共生デザイン専攻D1)

 1999年春,C&Cから課題研究テーマとして 「箱崎商店街の活性化」という項目について学生の募集が行われていた。 これに,箱崎地域に深い愛情をよせる5人の学生が手を挙げここに 「箱崎商店街活性化チーム」が結成された。

 本稿では,1999年度に行われたこのチームの活動の報告を行うとともに, 2000年度への意気込みを語りたい。活動を始めるに当たって, 我々は,地域について理解を深めるということがまず第一に必要だと考えた。 そこで,箱崎地区にあるまちづくりや商店街などに関係する組織が定期的に開いている会合へ 参加することを行い始めた。

 それらの会合への参加を通して,我々が気付いたことの一つとして, 各組織間に繋がりが見られないということがあった。 例えば,商店連合会は商店街のことだけを考え, まちづくり協議会はまちづくりのことだけを考える傾向が強いように思えた。

 まちづくりと商店街を絡めた発想があれば,それぞれを単独に考えるよりも, 互いの発展により高い効果が期待できるのではないかと,我々には思われた。 そこから視点をまちに広げてみると,ここでも同様のことがおこっているのではとの考えに至った。

 つまり,箱崎地区を構成している大きな組織として, 商店街や筥崎宮・学校・区役所・大学等があげられるが, これらのいずれの組織も他の組織との関わりをほとんどもたず, このことが箱崎地区の最近の元気のなさに少なからず関係があるのではないかと思われた。

 そこで我々は,これらの組織間に繋がりを持たせることを目的に,様々なアクションを起こした。

 商店街の活性化を考えるときに,商店街のみを対象として考えるだけでいいのかという疑問を, 我々が初期に行った会合への参加を通して感じていたからである。

 これらの活動の中から,特に,組織間に繋がりを持たせることに貢献した活動として 2つのものを紹介する。一つは商店街(きんしゃい通り)内に,交流スペース[CUBE] を開設したこと。 もう一つは,小学校の総合学習時間において我々(すなわち大学側) と連携した学習を行ったことである。

 これら二つの活動は,大学と商店街・地域住民・小学校・区役所のそれぞれが お互いに関わり合う関係をつくりだした。

 その結果,今まで地元の商店街をあまり利用しなかった小学生の両親や大学関係者が 商店街へ通うようになったり,[CUBE]が買い物客の休憩所として利用されたりといった, 商店街活性化を考えるときには好ましいと思われる現象が見られ始めた。

 一年の活動を通しての結果がここに見られる。そして,こうした活動の輪は, 学内においてはVBL,企画広報室や人間環境学研究院・環境心理学研究室, 学外ではミュージアムシティ福岡,東区役所まちづくり課、 箱崎まちづくり協議会など我々の活動に興味を持ち, 様々な面から支援して下さる応援団との連携によってさらに多彩に広がりつつある。

 これらの過去一年間にわたる一連の活動を振り返ってみたとき, 我々は次のようなことを考えるに至った。 すなわち,まちは様々な集団からなる多面体であるといえないか。 それぞれの集団(面)が繋がることによって,まちは立体として形を持つ。 とすれば,我々の一年間の活動は,組織間の繋がりのなかったいわば平面的なまちに, 立体としての形を与えることだったのではないだろうか。 我々は地域をCUBE に組み立てる手伝いを行ったのだ。

 魅力ある地域というものはCUBE に組み立てられているのではないか。

 ここにおいてCUBE という新たな視点が我々に生まれたのである。 同時に地域発創集団CUBE が誕生した。 2000年,我々は魅力ある地域づくりに向けて発見と創造への提案を行っていく予定である。 その手始めとして、箱崎小学校の生徒たちによる『九大探検』が6〜7月に計画されている。 キャンパスに子どもの声が響き、好奇心に充ちた目が動き回ることから、何が発見され、 何が生み出されるか、子どもたちといっしょに知の冒険をしたい。(みづき しょうどう)


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