今回の飛行の模様を映したビデオを上映しながら,学内外からの聴衆約1,200人を前に,若田さんは次のように語りました。
 「私はすばらしい先生方に恵まれ,この九州大学で学ぶことができたことを誇りに思っています。宇宙ではいろいろトラブルもありましたが,皆さんの応援のおかげで無事務めをはたすことができてホッとしています。
 宇宙から見ると,昼間の地球は水の惑星です。青く,雲が動いているのが見えます。サハラ砂漠では強い風が吹いているようでした。大自然の力強い営みが感じられました。夜になるとそれが一変します。暗黒に包まれた中に,人間の作った光が見えます。それは人間の科学技術の力を感じさせるもので感動しました。それらの景色を見て,私たちの故郷であるこの地球の環境を守っていかなければならないと強く感じました。
 私は今週末にはヒューストンに戻り,長期滞在のミッションに向けた訓練を開始します。応援本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。」

  講演の後,会場の九大生や高校生と若田さんの間で次のような質疑応答がありました。
質問:宇宙食は食べにくいと聞きましたが。
若田さん:食べにくいですが,だんだん進歩しています。私は今回,みそ汁やご飯などインスタントの日本食も持って行きました。
質問:宇宙に出られて,物事のとらえ方が変わりましたか。
若田さん:違う国の人たちとともに宇宙で仕事をして,これが本当の国際協力の姿だと感じました。このようなことから,平和な世界が築かれていくのかなと。
質問:どんな学生時代を過ごされましたか。なぜ宇宙飛行士になろうと考えられましたか。
若田さん:小さい頃からずっと飛行機の技術者になることを目標にやってきました。それが日本人も宇宙飛行士になれるようになったと聞き,挑戦したいと応募しました。 未知の世界を探求したいという気持ちが強かったのです。宇宙には限りない夢を感じましたし,宇宙開発は,私たちの生活に役立つ産物をもたらすだろうと考えました。
質問:どうしたら宇宙飛行士になれるでしょうか。
若田さん:これまでは自然科学の専門家が宇宙に行くことが多かったのですが,これからは様々な分野の人が行くことになるでしょう。自分の興味のある分野で,誰にも負けないと言えるようにがんばってください。

 講演を終えた若田さんに,満場の拍手が贈られました。会場の外では,学生たちが若田さんを取り囲み握手責めにしていました。
(企画広報室)


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