生物多様性保全ゾーン(C地点)
 次に一行は再びバスに乗り込み,建設中の4号調整池前を通り,工事用のダンプカーとすれちがいながら,生物多様性保全ゾーンへ行きました。
(二又専門職員の説明)
 4号調整池の法(のり)面には植物の種子などを吹き付けています。その北側は農場の実験水田の予定地です。既設砂防ダム上流西側のミカン畑であった場所には,さきほどの高木樹木が移植されることになっています。
 4号調整池の西側は,工学系の大型実験施設の予定地です。その法面には,根株が移植され,その周辺にはチップ材も被覆されます。
 ここを流れている小川は大原川(おおばるがわ)で,その上流にある湧水源には毎日約200tの水が湧き,地元の農業用水として利用されています。
 一行はカスミサンショウウオを保全するために設置された四つの池の前に来ました。
(新キャンパス計画推進室 田中広幸専門員の説明)
 昨年,理学研究院の矢原徹一教授を中心に調査が行われ,新キャンパス予定地内の25カ所の水域において,カスミサンショウウオの産卵が確認されました。この四つの池は人工的に作られたもので,太陽電池で動く水中ポンプによって地下水が供給されています。この池で育ったカスミサンショウウオがここにまた帰ってくるように,昨年約2000匹のカスミサンショウウオが放たれました。そのほかにも,絶滅が危惧されるナンゴクデンジソウやシャジクモなどの貴重種も移植されています。水生植物であるガマもこの池に移植しました。。このゾーンは,小中学生の皆さんの自然教室などとしても使われることが構想されています。
カスミサンショウウオを保全するために設けられた池
クリックすると拡大表示します。どこかしらかわいらしい感じがします(このページの作者の感想です)。  田中専門員が,ゾーン内を流れる大原川上流の水辺の枯れ木の下から雄のカスミサンショウウオを見つけて取り上げると,カメラがいっせいにそちらを向きました。
(田中専門員の説明)
 カスミサンショウウオの産卵期は,2月から4月頃にかけてです。卵・幼生期は水中で生活し,変態をして上陸します。2,3年で大きくなりますが,親まで生きのこるのは数パーセントに過ぎません。
大原川上流で見つかった雄のカスミサンショウウオ
 この間も工事用道路を絶えずダンプカーが行き交いました。たまたま移植樹木を運ぶトラックが来ました。
(二又専門職員の説明)
 一部の樹木は周辺土壌とともに移植されます。この方法は林床移植と言って,土壌中の微生物や種子なども含め,生態系をこわさずそのままの状態で盛土法面へ移植されることになっています。
林床移植


前のページ ページTOPへ 次のページ
インデックスへ