平成13年度の開学記念行事は,5月11日(金)の記念式典や学内施設の開放,5月26日(土)の筑紫キャンパス開放とともに,5月12日(土)には天神の福岡銀行本店大ホールで記念講演会が催されます。  ここに興味深い講演の要旨を掲載して,皆様への御案内とします。なお,記念講演会では,九州大学C&Cプロジェクト総長賞受賞者及び奨励賞受賞者の講演もあわせて行われます。
博多の美術

 博多という地名は,土地広博・人物衆多を意味しているとか,その地形が羽を拡げたようであるから羽形と呼んでいたものが転化したとか,船を泊つべき潟(泊潟)によるものであるとか,諸説あります。いずれも外海に面したひろやかな博多湾を意識しての命名です。今回は,その博多湾をめぐる諸地域で発見されたり,制作されたり,あるいは,そこを舞台に描かれたいくつかの作品について話します。それらの作品は,紀元前の日本列島と中国大陸との交流を示す金印(国宝・福岡市博物館藏)に始まり,朝鮮半島との交渉を暗示する神功皇后伝説にまつわる志賀海神社縁起絵(志賀海神社藏),中国の禅僧たちの肖像画(重要文化財・聖福寺),モンゴル軍との戦いを描く蒙古襲来絵詞(御物・三ノ丸尚藏館藏),博多商人の活躍を示す作例など博多を中心とした対外交渉がもたらした美術品です。さらに,聖福寺の快僧仙屋和尚の墨画や明治時代の革新的彫刻家山崎朝雲の作品など博多を舞台に活躍した作家たちを紹介しながら,博多の美術の魅力をさぐってみたいと思います。


人文科学研究院教授
菊竹 淳一
(きくたけ じゅんいち)
熱くなる福岡 −現状と対策−

 都市はこの数十年来,豊かな水面や緑地を消滅させながら平面的な拡大を続け,人を集めて大量のエネルギーを消費してきた結果,年々熱くなりつつある。そのような都市においても,残存するまとまった水面・緑地は,局所的に夏季の低温面として "オアシス","クールスポット"を形成し,住民に対して大きな心理的効果を与えている。夏季の昼間に発達する海風は,海岸に面して立地する多くの大都市に"天然の冷房効果"をもたらし,河川は"風の道"の役割を果たしている。今ある自然を活かしつつ水面・緑地を復活させ,地域の気候,地形を考慮した風通しのよい街づくりは,暑熱を大幅に緩和し,環境に対する負荷を軽減する。

 熱くなりつつある福岡市の現状を実測データに基づいて示し,少子・高齢化社会を迎える21 世紀の「環境共生都市」として再生させるシナリオについて解説,自然の復活及び熱供給システムの視点からさぐってみたい。


総合理工学研究院教授
片山 忠久
(かたやま ただひさ)

財団設立に向けた寄附の申し込み状況
(平成13年3月14日現在)
平成11年4月から開始した,「財団法人九州大学後援会(仮称)」設立に向けた学内募金及び平成12年7月にお願いしました同窓生への募金の寄附状況は次のとおりです。
 寄附者数(人)寄附金額(千円)備 考
学内募金2,31178,093全職員の49.7%
同窓生の募金9,136155,489連絡可能な同窓生の12.1%
合 計11,447233,582 
学内募金のお申込みは,各部局の庶務担当掛で随時お受けします。同窓生の皆様からの募金は,送付いたしました郵便振込用紙にてよろしくお願いします。なお,お問い合せは後援会準備室(電話092-642-4493)までお願いします。

シリーズ糸島紀行13 メダカ池
このシリーズでは,九州大学新キャンパス用地の福岡市西区元岡・桑原地区がある糸島半島周辺の景勝地や施設を紹介しています。
地図  平成12年6月の着工以来,新キャンパスの敷地においては,埋蔵文化財の保存,貴重植物種の移植,樹木の林床,根株移植などの歴史環境や自然環境に配慮しながら造成工事が進んでいます。写真左下の小さな池は「生物多様性保全ゾーン」の一角にあり,「メダカ池」という愛称で親しまれています(詳しくは「九大広報」第14号参照)。
メダカ池

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