育て! 二十一世紀のリーダー

二十一世紀プログラム スタート

 二十一世紀を担う「専門性の高いゼネラリスト」育成をうたった本学独自の教育プログラム、「二十一世紀プログラム」が今年四月にスタートしました。これは、昨年四月に設けられた「学府・研究院制度」によって可能になった、九州大学の教育資源を最大限活用した、新しい学部教育課程です。

専門性の高いゼネラリストを育てる

 平成七年に九州大学が自らの改革の基本方針をまとめた「九州大学改革の大綱案」の中に、「自由学際学部」構想がありました。これが、新しい学部の創設が困難な状況もあり、今年「二十一世紀プログラム」として実現したのです。

 二十一世紀は、あらゆる領域でこれまで以上に大きな変化が生じ、既存の枠組みが新しく組み替えられていくことが予想されます。そのような状況で求められるのは、変化にいち早く対応し、問題を発見し解決することのできる人材。ある領域について専門的な知識を有しながら、同時に関連する様々な専門領域を広範囲な視点から有機的に総合し、創造性を発揮することのできる人材です。

 このプログラムの学生は、特定の学部に所属することなく、独自の個別指導システムの下、自分の必要や志望に応じて学部を横断して学習を進めながら、専門を決めていきます。同時に、徹底した教養教育と、国際的人材育成のための外国語教育などがなされ、交換留学制度による留学も推奨されています。四年次には卒業研究を行い、学士(学術)が授与されるとともに、修士課程への進学が望まれています。

ユニークな選抜で二十名が残った

 このプログラムの学生は、大学入試センター試験を課さない、非常にユニークな総合評価方式(アドミッション・オフィス方式)で選抜されました。

 第一次選抜では、学生はまず三つの講義(各約五十分)を受講し、それぞれの後にレポートを作成しました。

 第二次選抜では、学生は前回の講義とレポートをもとに一人十五分の発表を行い、その後三十分程度の全体討議を行いました。そしてそれらを小論文にまとめたのですが、そのために三時間半、図書館内を自由に動き回ることが許されました。また、個人面接も行われました。

 プログラムの周知が遅れたにもかかわらず、第一期には四十五都道府県から八十六名の志願者があり、募集人員は十八名でしたが、最終的に二十名が合格しました。

二十一世紀交流プラザ

コンピューター室(2階)
プラザ内の学習室(1階)
授業風景

 六月二十七日(水)、六本松キャンパスの「二十一世紀交流プラザ」看板上掲式が行われました。

 この建物は、二十一世紀プログラム学生のためのチュートリアル室、プログラム・ゼミ室、情報・資料室などが整備されているほか、一般学生や教職員との交流の場としても利用されています。

 一階の学生控え室で、学生や関係者が列席して式が行われ、柴田副学長が次のように経緯を説明しました。

 「このプログラムの構想が進む中で、学部に所属しないプログラムのアイデンティティを保つための交流の場が必要との認識が生じ、総長の御決断、関係各位の御理解と御協力により、望外に立派なこのプラザが完成しました。感謝申し上げるとともに、非常に珍しいこのプログラムが発展するよう、御協力と御支援をお願いします。」

 続いて杉岡総長が次のように述べました。

 「このプログラムは、二十一世紀の私どもの夢なのです。ちょうど九十年前、九州帝国大学が創設されたとき、初代総長山川健次郎博士は、『専門を極めると同時に、できるだけ幅広い知識を修めるよう努めよ。』とおっしゃった。それはまさにこのプログラムの基本理念です。学生諸君、しっかりがんばれ。先生方には、くれぐれもよろしくと申し上げたい。そういう気持ちを込めて、看板の字を書きました。私の総長としての任期は十一月で終わりますが、必ずや立派な人材が育ち、このプログラムが九州大学の目玉の一つになることを心から願っています。」



「21世紀プログラム」第1期生 −元気に修学を始めました−

アドミッションセンター教授 武谷峻一

 新世紀が始まった本年度から、他に類を見ない本学独自の学際的で学部横断型の教育プログラム「21世紀プログラム」が始まりました。このプログラムは、文系・理系にこだわらず幅広く学んだ中から自分の専門を見いだしていき、学士(学術)の学位を得て卒業するものです。

 AO選抜で合格した20名の第1期生が、4月から本学での勉学をスタートさせました。元気な彼らの最初の3ヶ月を、本プログラムの広報や選抜に携わりその後を見守っている者の立場から、トピック的にレポートしましょう。

●4月入学式後の最初の行事は、アドミッションセンターでの杉岡総長との懇談会でしたが、自己紹介では個性溢れる表現が続き、挙げ句には歌まで飛び出して、若者と語るのが大好きな総長も言葉少なに圧倒されていました。

●その後、履修を決める1週間が続きましたが、初めての学際ということで先輩もおらず、かなりの戸惑いやそれに伴う悩みもあったようです。特に、張り切りすぎて時間割を全部埋めようとする者もいたのですが、チューターの先生や事務の方の指導もあって、まずは志望や関心に応じた妥当な線に落ち着きました。軸となる本プログラムの独自科目だけを共通として、一人一人がみな異なる時間割を持っています。

●主にこのプログラムのため、六本松キャンパスの東端に「21世紀交流プラザ」が新設されました。学生全員が空き時間のほとんどをそこで過ごしており、予習やレポートのため自習したり、仲間同士や他学部生も巻き込んで教え合ったり、そして楽しく雑談したりしています。時には、仲間同士や、先生を囲んでの自主講座も自然発生しています。

●5月中旬から同プラザのコンピューター室が使えるようになりました。当初は、私や他の先生方でコンピュータリテラシーの基礎教育をと予定していたのですが、できる学生数人が仲間を指導しながら、配線から立ち上げ、インストール、ネットの利用、ホームページ作成までと、委員会を作って完全に自前で進んでいます。ホームページにはちゃんと独自取材による総長や副学長のインタビューまで盛り込まれています。

●7月末のオープンキャンパスでは、21世紀プログラムのためにアドミッションセンター多目的室を2日間提供することにしました。これも早速委員会が発足して、「21世紀プログラム−先輩や先生と語ろう−」と題して企画書ができ、ホームページと連携した学生独自のパンフレットなどが準備されました。同じ企画は、盆明けにも六本松の21世紀交流プラザで1日行なわれます。

●高大連携の一環として、アドミッションセンターの役割の一つに高校訪問がありますが、本プログラムの学生は進んで出身校とのコンタクトを取ってくれています。現在3校へ学生と共に訪問し、懇談や講演を行いました。こんな様子で、21世紀プログラムの第1期生は、元気に張り切って学生生活を送っています。我々としては、彼らが張り切りすぎて、多少の息切れ(確かに風邪をひいたり、疲れたり、少し悩みも出始めたようですが)はまだしも、致命的な挫折を迎えることがないようにと、どちらかというと抑えながら見守っている状況です。

(たけや しゅんいち)

前のページ ページTOPへ 次のページ
インデックスへ