うみ、やま、さと、なぎさに広がる知の創造空間

学術研究都市構想まとまる

総会の模様
 九州大学の新キャンパスを中心に知の創造空間を造ろうと平成十年五月に発足した、九州大学学術研究都市推進協議会(会長 大野茂(社)九州・山口経済連合会会長、代表委員 大野茂会長、麻生渡福岡県知事、山崎広太郎福岡市長、杉岡洋一九州大学総長)の総会が、六月八日(金)福岡市内で開催され、構想検討委員会の最終報告案を了承しました。

 大野茂会長は、冒頭の挨拶で次のように述べました。

 「本協議会は、九州大学の新キャンパスの構築並びに改革の支援、それに伴う学術研究都市の創造を目指して、九州大学はもとより関連自治体と経済界の協力で設立された。設立から三年を経て、本日最終構想が策定できた。構想検討委員会並びに各専門委員会やワーキンググループの御努力に感謝したい。これからは、先行する学研都市を超えた魅力的な学研都市造りを目指して、産学官が協力して、構想推進に取り組むことになる。さらなる御努力と御協力をお願いしたい。」

構想の概要

一、意義と全体像

 この構想は、国際的・先端的研究教育拠点(COE Center of Excellence)形成を目指して先導的大学改革を進める九州大学の新キャンパスへの統合移転を契機として、産学官の連携により、「知の時代」となる二十一世紀にふさわしい地域の知の拠点づくりを目指そうというものです。さらに、この学術研究都市は、福岡県が進めるアジアス九州構想の一拠点地域を形成しています。

 構想は次の四つの理念をうたっています。

 そして、その実現のための基本戦略として、大きく変わる二十一世紀の科学技術に対応する「知の交流・創造活動を促進する地域科学技術システムの構築」と、「知・住・悠の舞台となる快適空間の形成」の二つをうたっています。

二、知の交流・創造活動を促進する地域科学技術システムの構築

 知の濃密な交流拠点「HST Human, Science and Technology Station」を、新キャンパスの(注)「タウン・オン・キャンパス」において、大学と相互乗り入れする形で整備構築し、産学民公共同による多様な機能を集積します。

 同時に、福岡都心部の九州大学のサテライトキャンパスやダウンタウン大学センター、民間や公設のネットワークなどと連携しながら、先導的インフラや先行的モデルプロジェクトを推進することをうたっています。

三、知・住・悠の舞台となる快適空間の形成

 学術研究都市のコアゾーンである「タウン・オン・キャンパス」の外にも、研究開発や産業機能、進出を希望する企業、さらに新たな住居の受け皿として、「ほたる」と呼ばれる、分散型の地域核が展開されます。「ほたる」では、かつての大規模型開発に代わる、地域の環境と共生する開発が展開されます。

 同時に、環境と福祉両面に考慮した、公共とパーソナルのバランスを取りながら、ゆとりを持った交通ネットワーク整備が進められます。

四、構想の推進体制と今後のスケジュール

 国内外への構想のプロモーション活動を担う「九州大学学術研究都市推進協議会」に加えて、具体的な学研都市づくりの総合マネジメントを行う「九州大学学術研究都市整備推進機構」(仮称)、基盤整備や開発計画等の協議・調整を行う「いとしま計画連合」(仮称)の設立が進められます。

 「九州大学学術研究都市整備推進機構」(仮称)は、平成十三年度に設立準備に着手、平成十四年度に設立が予定されています。そして、国などへの支援要請活動、シンポジウムの開催、「いとしま計画連合」(仮称)の検討などが、平成十七年の移転開始に向けて進められます。

(注)タウン・オン・キャンパス
 新キャンパスの入り口となる学園通りに面した空間で、学術研究都市の「顔」となる。センターゾーンとこれに隣接する周辺地区を一体的に整備・誘導し、産学連携と国際交流の拠点となるべく、総合研究博物館を核とするインフォメーション・センターやビジネス・センター、産学連携施設、国際交流施設群、住居や宿泊施設等が設けられる。(下図)


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