専門大学院「医療経営・管理学専攻」の今とこれから
医学研究院教授 信友 浩一

 今春21 名の院生が入学してきた,平均年齢38 歳。
医療界は専門職主流の世界である。これら従来の専門職を「タテ型」と称すれ ば、本修士課程卒業生は「ヨコ型」の専門職と呼べる。即ち、「タテ型」の専門知識 (技術)・見識の限界・前提条件などの本質を認識し、同時に、人の健康(Health ) ではなくLife (いのち・暮らし・人生)に関わる専門分野を広く学び、かつ、これ ら専門分野の知識・見識を、『人が、死なないだけでなく、生きていくちからがで てくるよう、かつ、意味のある人生を過ごせるように』、総合(Integrate )・調整 (Coordinate )・組織化(Organize )できるCIO を「ヨコ型」の専門職と呼びた い。卒業生は次のような場での役割が期待されている。

期待される役割

統合化 調整化組織化
臨床 症例検討会

研修でのリード。

Clinical Care

Cordinator(CRC他)


インフォーマル
ネットワーク
NPO ・NGO 、
パブリック
コミュニケーション、
世論づくり
コミュニティ 街づくりでのリード。 委員会運営、政策調査・分析・提言等
組織 経営スタッフ 総務部スタッフ
市場 新市場作り 行政系委員会運営

 以上のことを、行政制度を介して社会を変革し時代に適応させていくので はなく、医療の現場(ローカル)から行政制度を頼らずに、先ず変革し、その後 に行政に支援させることをローカルイニシアティブ(現場主導主義:地方分権 と呼ぶ人もいる)と呼ぶ。生活に関わる身近な公共サービスは、貧しい時代で は中央集権・配分型の政策・経営・管理・コミュニケーションもやむをえなかっ たが、豊かな時代ではこのローカルイニシアティブに基づく提供・利用が適切 (有効・効率・公正)であると期待されている。

(のぶとも こういち 医療システム及び医療政策)

※「医療経営・管理専攻」は、前頁第2 図の「III 分担型- 3 」に当たる。


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