種は蒔かれた
アジアのネットワーク構築に向けて
第二回
九州大学アジア学長会議 開催
 十月四日(木)、五日(金)の二日間にわたり、第二回九州大学アジア学長会議 が開催されました。昨年十二月に開催された第一回に続いて九州大学の主催と なったこの会議には、海外から十三カ国(地域)、二十二大学の学長、副学長、国際 交流担当官など四十五名が参加しました。
 今回の会議の目的は、グローバル化の中でアジアの存在意義について問題意識 の共有、アジアの中での九州大学の役割、二十一世紀のアジアの発展に貢献する ために、国境を越えた産官学のネットワーク構築とその体制整備などでした。
 吾郷実行委員長からその成果をご報告いただくとともに、会議の概要をお知らせします。
アジア学長会議を終えて実行委員長 吾郷眞一
 第二回アジア学長会議は、産官学連携というテーマを掲げ、外国の二十二大学から参 加を得て開催された。参加校は昨年十二月に開催された第一回会議の倍以上、それに 県や市、開発協力機関などの学外者を含めると五十名以上の参加を得、充実した討議 が行われた。
 産官学連携の成果としては、参加者を惹きつけた十社以上の民間企業を含む大規模 なポスター・セッションの成功に加え、地方自治体、開発協力機関などからそれぞれの取り組みについてのプレゼンテーションも行われ、実質的かつ開かれた会議となった。
 議論の一つ一つから導かれる有意義な情報を共有できたことのほかに、教官個人や教室 単位の、いわばこれまで「点」で行われていた交流をつないで、大学を単位とする「面」の交流に拡大し、そのために多面的な研究を行うためのネットワークポイントを各大学に 設置するという九大の提案が、多くの参加校の側から即答で賛同を受けることができ た点は、この会議の大きな成果だと言っていいだろう。サービス内容に程度の違いはあれ、 その大学の或る場所に行けば九大に関する情報が集中されてあり、また当地に赴いた 九大関係者への便宜供与が期待される場所としてのネットワークポイント設置は、今後大 きな役割をもってくるものとなろう。なお九大においては、アジア総合研究機構 (KUARO)支援室が、一括して九大と提携大学との、また提携大学どうしのネットワーク ポイントとなる。
 現時点において、参加大学との具体的な交流については、すでにネットワークポイント に近い機能をもった大学や、学術交流協定の締結から始めなければならない大学など 様々であるが、近い将来に全ての大学にネットワークポイントが設置され、研究者及び留 学生の交流がスムーズに行われることを期待している。
 アジアの重要性がさらに増すであろう二十一世紀に、アジアの中にある大学として連 携し、アジア全体でお互いを高めていくことは、国家間の経済格差などの諸問題に対す る解決への道を拓くことともなろう。そのためにも、このアジア学長会議の継続と、日常 的な交流の推進を行っていかなければならない。
(あごうしんいち法学研究院長)

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