法学部・法学府(大学院)が元気です。その例として、英語による修士課程法学コースに関係した国際シンポジウムと、学生が自主的に結成した勉強会の、二つの話題をご紹介します。

留学生国際シンポジウム

法学研究院 講師 八谷 まち子

 2001年11月21日(水)、九州大学国際ホールにおいて、「グローバリゼーションと国際ビジネス法―日本留学の意義」と題した国際シンポジウムが開催された。これは、現在は帰国して本国で活躍している元留学生を留学していた大学へ招聘し、現学生や地域との交流をはかると同時に、日本における最新の教育事情にも触れてもらおうという趣旨のもとに、文部科学省の後援で実現した。

 九州大学では、1994年以来、法学研究院において、英語による1年間の修士課程法学コース(LL.M)が設置されている。LL.M修了者は既に八十名を超え、世界中で活躍していると言っても過言ではない。今回はその中から、タヴィップ・プディサントソ氏(インドネシア)、ジェームズ・ディング氏(香港)、ジン・グー氏(中国)、ヴィロジュ・ピヤワッタナメタ氏(タイ)、ベッティーナ・エルベン氏(ドイツ)の女性2名男性3名、計5名の修了生を招聘して、シンポジウムに参加してもらった。それぞれに自国の官庁、企業、法律事務所などで法務の専門家として国際経済法の実務に携わっている人たちである。

 シンポジウムは、柳原法学研究院教授の総合司会で全て英語を用いて行われた。梶山総長、文部科学省高等教育局留学生課坪井裕課長、B.エルベンさん等の挨拶で開会、続いて、福岡の法律事務所から吉野正弁護士が「グローバリゼーションと法実務」、名古屋大学中東助教授と九州大学北川教授が「グローバリゼーションと法学教育」の題で基調講演を行った。それぞれの立場からの経験をおりこみながらの興味深い講演であったが、グローバルな基準によるべき分野と地域の特性を考慮することが不可欠な分野との両方への目配りを強調された点が共通していたことは、重要であった。

 昼食の後、プログラムは、法学研究院曾野助教授をモデレーターとして、5名の帰国留学生に加えて、大阪の法律事務所から国谷史朗弁護士、九州電力から二宮賢治氏、在福岡アメリカ領事館からスコット・スミス氏の総計8名によるパネルディスカッションへと移った。ここでもそれぞれの経験に照らしながら、職場の環境も内容もグローバル化が進む中で、地域の特性を理解することがグローバルな法の適用をスムーズにすることに役立つということが確認されていた。また、そうであるからこそ、九州大学が、日本において英語による法学教育を実施していくことの意義が再認識されたともいえる。

 会場はほぼ満席となり、フロアーからの活発な意見も出て、ジン・グーさんの謝辞と吾郷法学研究院長の挨拶で、シンポジウムは盛況のうちに閉会した。

 招聘された帰国留学生達は、環境問題に取り組む日本企業の訪問や、在籍中の留学生との意見交換会、大相撲九州場所観覧など、盛りだくさんの行事をこなしながら、何年ぶりかの福岡が懐かしくてたまらない様子で、積極的に九州大学の中や博多の街を動き回って旧交を温めていた。

(はちや まちこ 留学生教育専任講師 国際政治)

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