2001年10月4日(木)、5日(金)の2日間にわたって開催された第2回九州大学アジア学長会議。 2000年12月に開催された第1回に続いて九州大学の主催となったこの会議には、 海外から13カ国(地域)、22大学の学長、副学長、国際交流担当官など45名が参加しました。 その中で九州大学が提唱したアジアのネットワーク作りには、 会議に参加したほとんどの大学がその場で賛同し、 その後ネットワーク・ポイント(NP)作りが進んでいます。 その現状と展望をご紹介します。

ネットワーク・ポイント(NP)
−アジアの大学との連携強化をめざして−
アジア総合研究センター長 吾郷眞一(法学研究院長・教授)

 ネットワーク・ポイント(NP)構想は、大学間相互に“ネッ トワーク・ポイント”となるオフィスを設置し、相互の研究・交 流の拠点とすることを目指すもので、2001年の「第2回九州大学 アジア学長会議」において九州大学が提唱しました。
 アジアを代表する諸大学に相互に「拠点」を設置することによ り、現地での研究・調査や共同研究がよりスムーズに展開され るだけでなく、学生の交流がより活発になるなど、実質的な協 力関係が形成されることを目標としています。その他、遠隔授 業、単位互換、出張講義、研究データベースの共 有など、あらゆる連携が模索されています。 そのために、まず相手大学の事情に詳しい教官 を担当教官に指名し、パイプ役として活きた情報 を効率的に提供できる環境を整備しています。事 務的な業務は、国際担当部署が兼務するものから、 専任の事務組織を設置するものまで大学によって さまざまなようですが、本学ではKUARO(九州 大学アジア総合研究センター)がNPとなり、諸 大学との連携の窓口となっています。
 締結はされたものの、書類だけで実際には動か ない協定よりも、形態がどうであろうと、実質的 に何かができるNP設置が望ましいという構想に 対しては、いずれの大学もきわめて積極的に反応 し、かなりの手応えがあったといえます。どの大 学でも休眠中の大学間協定がたくさんあるように 思われました。他方、いくつかのアジアの大学間 では、相当程度共同研究や共通授業などが行われ ていることも確認できました。そのような枠組み の中に私たちが入っていくためにも、NP設立は 有意義であると思われます。また、訪問したほと んどの大学においては、九州大学主催のアジア学 長会議はとても印象的だったとの社交辞令だけと も思えぬ発言があり、一連の九州大学のイニシア ティブは、一定の効果をもたらしたことがうかが えました。
 九州大学では、これまでも「アジア総合研究」を国際化の柱 と位置付け、全学術分野でのアジア研究の活性化を目指してき ました。また、アジアの大学とあらゆる連携を深め、共同研究 を推進することによってアジア地域の発展に貢献することが、 21世紀の九州大学に与えられた重要な役割でもあります。その ためにもNPが効果的に展開されていくことが期待されていま す。(あごう しんいち 国際経済法)

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