トリブバン大学の象徴となっているトリチャンドラ校の時計台。 この下にネットワーク・ポイントとなる地質学教室が在る。

 三月二十一日、シャー副総長とギミレ理工学部 長を訪問し、学術交流のためネットワーク・ポイ ントを設置し、地質学教室のウプレティ教授と比 較社会文化研究院の酒井が支援教官となることを 約束した。またトリチャンドラ校の地質学教室に ネットワーク・ポイントを設置することになった。 この会談には、昨年九大工学府(環境システム科 学研究センター)を修了し、現在地質学教室講師 を務めるバッタライ博士と私の研究室に留学中の ポーデル氏も列席し、部局間交流協定を結ぶこと の意義をネパール側に説明した。夕方からは副総 長主催の夕食会があり、学長のパンタ博士と事務 長のシュレスタ氏も交え、これまでの交流状況と 今後の展開について歓談した。バッタライ博士か らは、カトマンズ盆地内の活断層沿いの地滑りと 地割れに伴う災害について、九大と共同研究プロ ジェクトを立ち上げたいという提案もなされた。
(さかい はるたか 環境変動)


BSMRAUのカーン学長(Vice-chansellor、右から3人目)と教授陣
●バングラデシュとベトナムにおけるNPづくり
熱帯農学研究センター長 教授  矢幡 久

 バングラデシュのバンガバンドゥ・シェイク・ ムジブール・ラーマン農業大学(BSMRAU)の設 立と発展には、九州大学が大きな役割を果たして きた。この大学の前身であるバングラデシュ農業 大学院(IPSA )の設立当初から、九州大学農学部 と熱帯農学研究センターが中心になってJICA プロ ジェクトとして十年間の協力を実施した。そこで、 今回はJICA バングラデシュ事務所も訪問し、九州 大学のNPの設置について意見交換をおこなった。 JICA は、農業問題がバングラデシュの最も重要な 課題と位置づけ、BSMRAUが農業普及に結びつく 実践的な教育研究において成果を挙げていること や、効果の高い援助例とみなし、これからも九州 大学に大きな期待を寄せている。
 訪問時には、新副学長カーン教授を始め大学院 長や学部長らの大勢の歓迎を受け、大学の期待の 大きさも実感できた。農場等の利用状況からみて も活発に研究活動が展 開されていることに感 動した。BSMRAUには、 九大をはじめ日本の大 学で研修し留学した教 官が多数が集まり、N P設置に対して大きな 期待が寄せられた。ま た同時に、九大農学研 究院との学術交流協定 の調印も行われ、これからの協力関係は一層強化 されると期待される。
 ハノイ農業大学は、ベトナムの農業教育の中核 拠点である。現在、バングラデシュに続いてJICA の「ハノイ農業大学強化計画」のプロジェクトを 支援している。ハノイ農業大学は、オーストラリ アなど多数の外国大学と連携して共同研究を行っ ているが、ビン学長によれば、JICA プロジェクト が最も大きく重要であり、九州大学と今後ともN Pを通じて相互の関係強化を図られることに強い 期待を示された。
 なお、ハノイの場合には、農業大学に設置され るNPとは別に、市内に在外事務所の設置準備が 進んでおり、ここも訪問した。これは、緒方助教 授(熱帯農学研究センター)らのベトナムにおけ る調査研究(P&P )の連絡拠点として、宿泊等に も利用できる施設である。今後、KUARO を通じて 各分野の教官や学生によって種々の目的に活用さ れ、九州大学の在外事務所として効果的に機能す る可能性を有しており、今後の発展に期待したい。
(やはた ひさし 森林生態生理学)

ハノイ農業大学ビン学長(左)と矢幡久教授

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