大学の動き

入学・卒業

平成十四年度入試終わりサクラ咲く

 平成十四年度入試は、一月十九日(土)・二十日(日)の大学入試センター試験の後、一般選抜の前期日程が二月二十五日(月)に外国語と数学、二十六日(火)に文・教育・法・経済(経済・経営学科)学部で国語、経済(経済工学科)・理・医・歯・薬・工・農学部で理科の試験が行われ、千七百九十五名の定員に対し五千百十七名が受験、三月九日(土)に千九百二十二名の合格が発表されました。平均倍率は、二・七四倍でした。

 また一般選抜の後期日程は、三月十二日(火)に、理科・数学・英語の学科試験、小論文、面接、造形実技など各学部ごとに特色ある試験が実施され、三百五十四名の定員に千六百十三名が挑み、三月二十二日(金)に四百名の合格が発表されました。平均倍率は、七・三三倍でした。

 また、この他に、アドミッション・オフィス方式(総合評価方式)による百十九名、同じくアドミッション・オフィス方式による二十一世紀プログラム二十二名、推薦入学三十六名、帰国子女特別選抜二名、私費外国人留学生三十二名の合格も発表されました。

 三月九日、前期日程の合格発表が行われる記念講堂前には、発表予定時刻の正午前から受験生や家族、関係者、サークルの部員などが集まり混雑していました。柴田副学長(当時)の合図で文学部から順に合格者の受験番号が掲示されると、あちこちで歓声があがり、アメフト部員などによる胴上げが繰りかえされました。

思慮深くあれ卒業式

 三月二十五日(月)、咲き誇る桜の中、箱崎キャンパスの創立五十周年記念講堂で、平成十三年度卒業式が挙行されました。九州大学フィルハーモニー(指揮:九州交響楽団 吉浦勝喜氏)の「ニュルンベルグのマイスタージンガー前奏曲」演奏に続いて、十名の各学部代表に学士の学位記が、一名の代表に修士の学位記が授与されました。

 梶山千里総長は、総長告辞の中で次のように述べました。「経済的凋落で世界的に地位の低下しつつある日本で、白川、野依、両博士のノーベル化学賞の連続受賞は、日本国民を晴れがましい気持ちにしてくれました。その業績は、注意深い観察力と思慮深い考察の賜物で、それは私たちに、人間として考えることの苦しみと喜びを教えています。日常生活や自然現象など、身の回りで経験することに関して、自分の意見を持ち、人に伝える努力をしてください。それは個性に、そして創造力につながります。(中略)人間としての尊厳を守り、各民族が互いに尊敬しあって生きていくこと、文化の伝承や科学の進歩は、皆さん、若い人たちの努力にかかっているのです。社会に出ても、九州大学で身につけたことを生かし、後に続く後輩たちへの良き道しるべとなるよう、活躍してください。」

 医学部の入江芙美(いりえ ふみ)さんは、二千三百七十三名の学部卒業生を代表して、次のように学士総代答辞を述べました。「既存の価値が崩壊したかに見える今の社会で、九州大学で身につけた学ぶ力と考える力が、適切な行動に導いてくれるでしょう。これを糧とし、社会へ出ても自己研鑽に励み、信じる道を一歩一歩着実に進みたいと思います。」

 続いて千五百二十八名を代表して、総合理工学府の松島敏則(まつしまとしのり)さんが修士総代答辞を述べました。

 式が終了すると、待ちかねた後輩たちが、晴れやかな表情で出てくる卒業生たちを取り囲みました。

春に誓う入学式

 四月四日(木)、平成十四年度入学式が挙行されました。会場となった市内の国際センターの一階は新入生二千四百六名で、二階は新入生の家族など約二千名で埋まり、九州大学フィルハーモニーによる「ニュルンベルグのマイスタージンガー前奏曲」の演奏の後、登壇した梶山総長は次のように告辞を述べました。「九州大学はのんびりと過ごせる大学ではありません。『夢』の実現に努力し、他人への『心遣い』を忘れず、『創造性』を生み出す努力を怠らず、真の『国際性』を身につけてください。皆さんは学生である前に、常識ある社会人、他人への愛と尊敬心を持つ人間であるべきです。若い日はあっという間に過ぎることを自覚し、一日一日を有意義に過ごして下さい。」

 続いて入学生総代として、法学部の井上美早(いのうえ みさ)さんが、「自立の精神を重んじ、学術を極めるとともに人格の陶冶につとめ、社会の期待にそうことを誓います。」と誓詞を述べました。


News in Brief

Timothy Hunt博士ノーベル賞受賞講演

本部事務局貴賓室で。(左から)西本教授、梶山総長、Hunt博士とご家族、柴田総長特別補佐。

 春、爛漫の四月二日(火)、昨年度ノーベル医学生理学賞を受賞したTimothy Hunt博士の講演が九州大学国際ホールで行われました。

 私(西本医学研究院教授)が彼を知ったのは、十二年程前に福岡市で、細胞周期の学会を京都大学生命科学研究科の柳田充弘教授と共同で開催したのが始まりでした。それ以後、TimとTakeharuでお互いを呼ぶ仲となりました。Timにとっては福岡が最初の日本であったようで、日本人に対するある種の緊張感があった事を別の講演では言っておりました。この緊張感は、福岡のもつ独特な解放感と特に酒を飲んだ時に現れる九州人の楽天性でずいぶんと和らげられたようです。それ以後は福岡が大変気に入ったようで、現在までに数回、福岡を訪れております。最後に来たのは長女のCeliaさんが一歳と五ヶ月の頃でした。当時、彼女の頭髪はなく、今回はきれいな褐色の髪であったのに時の推移を感じました。

 Timが九大を訪れる毎に、理学部か医学部キャンパスで講演をしてもらっておりました。彼はサイエンスを語る事が好きで、話に熱が入ると早口になって時間をオーバーするので聞く方は大変でした。それでも、講演のあとはさわやかな気分になり、飾らぬTimの人柄をいつも感じておりました。特に今回はノーベル賞をとった後であり聴衆に専門外の人が大勢いることを考慮していたようで、自分の歴史からはじめてサイクリンの発見に繋がった経緯を判かりやすく説明してくれました。専門的な質問からノーベル賞をとる秘訣についての質問までがあり、多くの人に感銘を与えたものと思っております。

(文責:医学研究院教授 西本毅治)

新弓道場で祝賀射会

 四月二十五日(木)、新しくなった箱崎キャンパスの弓道場の完成披露式が催されました。昭和五年に建った前の弓道場が老朽化したため新築されたもので、式には現部員、OB、関係者が集いました。

 梶山総長は「人間関係を学ぶという点でもサークル活動は大切。新しい弓道場でますます強い弓道部をつくってください。」と挨拶し、OBを代表して九州大学弓道会会長の久恒政雄氏は「現部員、それに続くであろう何百という後輩も、この場で弓を通して人間としての修養を積む。そういう場を与えていただいたことに感謝します。」と述べました。また部員を代表して主将の山口耕生君が「皆様のご支援とご尽力への感謝しつつ大切に使用します。」と謝辞を述べました。

 式の後祝賀射会が催され、木目もあざやかな新道場から次々と矢が放たれました。

新病院(南棟)で合同消防訓練

 三月六日(水)、医学部附属病院は、福岡市東消防署及び地域の消防団と合同で消防訓練を実施しました。

 訓練では深夜に新病院(南棟)八階で出火したと想定し、職員が模擬患者に扮し、医師・看護師等による通報訓練、初期消火訓練、避難誘導訓練を行いました。新病院(南棟)一階には防災センターが設置されており、防火設備等関連システムが自動的に作動するようになっていますが、訓練は、システムに頼ることのないように、職員の防火意識を高めることを目的に実施しました。

 当日は梯子車二台、消防車輌十台、ヘリコプター一機も出動し、地域の消防団も参加した消防訓練となりました。また終了後は、一人で操作できる屋内消火用散水栓を使用し、職員が実際に放水を体験しました。

産学連携の新拠点

 筑紫地区キャンパスにあって、高度な産業技術シーズの創出や産官学交流による地域社会への貢献などにより、本学の産学連携推進の一角を担ってきた先端科学技術共同研究センターの新棟が竣工し、五月八日(水)、筑紫地区キャンパスの共通管理棟大会議室で、関係者約百名が出席して記念式典が催されました。

 梶山総長は「文部科学省はじめ多くの方々のご尽力で建ったこの新棟と、四月に組織に手を入れて外から見て窓口を分かりやすくした産学連携推進機構は、九州大学の産学連携推進への決意を示すものです。」と式辞を述べ、麻生渡福岡県知事は「知の世紀と言われる二十一世紀、低迷する経済を回復させるためにも地域に知の集積が必要です。九州大学がその高い知力で日本をリードし世界のCOEとなることを期待しています。」と来賓として祝辞を述べました。

 式典に続き記念講演が催され、財団法人福岡県産業・科学技術振興財団の久保善博専務理事が「福岡県の産業政策と産学官連携の新たなステージ」と題して講演しました。その後、新棟前でのテープカット、そして内部見学が行われました。

 鉄筋三階建て床面積二千平方メートルの既存棟の横に、鉄筋六階建て床面積三千六百平方メートルの総ガラス張りの新棟が加わったことによりセンターの業務が拡充することはもちろん、全学に開放される共通スペースや共同研究企業など広く利用できるレンタルラボなど施設の充実により、産学共同研究が効率的に推進されることが期待されています。

テープカットする(向かって左から)清水(独立行政法人産業綜合研究所九州センター長)、黒田(社団法人九州・山口経済連合会常務理事)、田中(九州経済産業局産業部次長)、佐々木(文部科学省振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室室長補佐)、梶山総長、森永センター長、久保(財団法人福岡県産業・科学技術振興財団専務理事)、早田事務局長の各氏。

事務次官が新病院を視察

集中治療部の谷山副部長(右)の説明を聞く小野事務次官(左)

 四月十日(水)、文部科学省の小野元之事務次官が、四月に開院したばかりの医学部附属病院の新病院を訪問しました。

 小野次官は、新病院第T期棟の、眺望の良い十一階ディルームや、業務開始の準備を行っている集中治療部、冠動脈疾患治療部を視察の後、最深部の地下二階で新病院の特徴のひとつである免震装置を視察しました。急ぎ足の視察ではありましたが、小野事務次官は各施設を熱心に見て回り、担当の医師などの説明にもうなずきながら耳を傾けていました。


ようこそ九大へ

嶺南大学校薬学大学学長

 二月十八日(月)、韓国の嶺南(ヨンナム)大学校薬学大学のジャン・ヒュンウク学長が梶山総長を表敬訪問しました。

 ジャン学長は、薬学研究院等との学術交流協定調印のため本学を訪れたもので、今後積極的に両大学間の交流を推進したいとの意向を伝え、梶山総長もこれを歓迎しました。

在日フランス大使館文化参事官

 二月二十八日(木)、在日フランス大使館のアンドレ・シガノス文化参事官が梶山総長を表敬訪問しました。

 シガノス文化参事官は、大学院博士課程学生の相互交流を促進するためのプログラムについて説明し、梶山総長と前向きな意見交換を行いました。

カリフォルニア州立ポリテクニック大学ポモナ校学長

 4月8日(月)、カリフォルニア州立ポリテクニック大学ポモナ校のボブ・H・スズキ学長が梶山総長を表敬訪問しました。同校は、本学が統合を控えている九州芸術工科大学と交流協定を締結していますが、スズキ学長は、統合後も交流の継続と拡大を希望し、梶山総長はキャンパス移転、法人化など本学の現状について説明を行いました。

ハノイ農業大学学長

 4月2日(火)、ハノイ農業大学のダン・ブ・ビン学長が梶山総長を表敬訪問しました。ビン学長は、国際協力事業団の大学行政研修のため本学を訪れたもので、大学運営や農業教育の現状など3日間に渡り、精力的な情報収集を行いました。

江原大学校総長

 四月二日(火)、韓国の江原(カンウォン)大学校の朴 龍壽(パク・ヨンス)総長が梶山総長を表敬訪問しました。朴総長は、本学の大学改革に関する取組みなど、梶山総長の説明に大いに関心を示し、活発な意見交換を行いました。また、総長表敬の後、韓国研究センターを訪れ、石川センター長から施設の概要説明を受けました。


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