進む新キャンパス建設 新キャンパス関連ニュース |
総会のもよう 挨拶する大野会長(中央)と、
代表委員である麻生福岡県知事(左)、梶山九大総長。五月二日(木)、九州大学学術研究都市推進協議会(会長:大野茂(社)九州・山口経済連合会会長、代表委員:大野茂会長、麻生渡福岡県知事、山崎広太郎福岡市長、梶山千里九州大学総長)の平成十四年度総会が開かれました。
会の冒頭、大野会長は「昨年六月に学術研究都市構想をとりまとめ、次は構想実現の段取り。その推進母体となる九州大学学術研究都市整備推進機構(以下「推進機構」と表記)の立ち上げが課題となります。」と述べました。
総会では、「推進機構」の設立準備のための「九州大学学術研究都市推進機構準備会議」と、「九州大学学術研究都市構想促進東京会議(以下「東京会議」と表記)」の設立を決めました。「東京会議」は、構想を推進するため東京在住のオピニオンリーダーから意見を聴くことを目的とするもので、各界で活躍する三十.五十名程度を会員とし、会長は前田勝之助東レ(株)会長にお願いすることとしました。
最後に、麻生福岡県知事が「福岡が西日本の中心都市となったのは、九州帝国大学の誘致成功が大きな要因。その九州大学が今開校以来の大事業に取り組んでいます。『地域』そして『知』が発展の力となる二十一世紀、大学の役割は大きい。COE形成に向けて変革する九州大学を囲むこの学術研究都市づくりは何としても成功させたいし、福岡県も応援したい。」と述べました。続いて梶山九州大学総長は「法人化と九州芸術工科大学との統合、そして新キャンパスへの統合移転がほぼ同時にやってくるというのは、九州大学の『知』を地元とともに発展させる千載一遇のチャンス。皆様のご支援をよろしくお願いします。」と挨拶しました。
準備会議・理事会で挨拶する鎌田理事長 五月二日に開かれた学術研究都市推進協議会総会での決定を受けて、「九州大学学術研究都市推進機構準備会議」の第一回理事会が、七月五日(金)に市内のホテルで開催されました。
まず、理事長を鎌田迪貞九州電力(株)社長、副理事長を橋田紘一九州電力(株)常務取締役、石原進九州旅客鉄道(株)社長、原正次(社)九州・山口経済連合会専務理事、矢田俊文九州大学経済学研究院長とする役員案を了承しました。
続いて、中央区天神のアクロス福岡十二階に置かれる事務局の業務執行責任者に矢田副理事長を選出し、「東京会議」を十一月初旬に開催することなどを決めました。
また、七月二日開催の第七回都市再生本部会合(本部長:内閣総理大臣)で、「福岡西部地域(ももちなどと連携した九州大学学術研究都市)における先端技術開発研究機能の集積を促進」を内容の一つとする「北部九州圏におけるアジア産業交流拠点の形成」が、都市再生プロジェクトの一つに決まったこと、これにより九州大学学術研究都市構想が国家プロジェクトとして認められたこと、今後予算の重点配分が可能になることが報告されました。
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テープカットする、(左から) 大森邦明福岡市土地開発公社理事長、有川節夫九州大学副学長、 西憲一郎福岡市助役、生田征生福岡市教育長の各氏。 |
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会場風景 |
九州大学と福岡市土地開発公社が中心となって環境共生を積極的に進めた新キャンパス建設プロジェクトが、「大規模開発の範となる画期的、先進的な事例」として高く評価され、平成十三年度の土木学会「環境賞」を受賞しました。
この受賞を記念した展示が、五月二十七日(月)から三十日(木)までの間、福岡市役所で開催されました。開会に際して、大森邦明福岡市土地開発公社理事長は、「今回の受賞は、関係する多くの方々の努力が実ったもの。感謝申し上げます。」と挨拶しました。
会場となった一階ロビーには、「環境賞PRゾーン」「移転事業PRゾーン」「埋蔵文化財紹介ゾーン」が設けられ、カスミサンショウウオやシャジクモなどの動植物、「マスタープラン2001」のイメージ模型や学術研究都市構想を紹介するパネル、製鉄炉遺跡のレプリカなど多くの資料が展示されました。
来場者で賑わう新キャンパスのブース フェア会場の全景(中央は九州大学新キャンパスのブース) 六月十二日(水)から十四日までの三日間、九州電力などの主催により、マリンメッセ福岡(福岡市博多区)において「エネルギー・夢・未来フェア( HACTEC2002)」が開催されました。「エネルギーが未来をかえる」をメインテーマに、百二十二にものぼる企業・団体が参加して実現したものです。今回、九州大学は、建設中の新キャンパス関係の展示及びエネルギー関連の研究室による展示を行いました。新キャンパスに関する展示イベントは、今年に入り学内(一.二月:五ケ所)と学外(五月:福岡市役所)でそれぞれ一度ずつ開催されており、今回で三回目になります。
会場はテーマ毎に七つのゾーンに分けられ、蓄熱システムの紹介から環境・リサイクル分野まで幅広くエネルギーとその利用に関する展示が行われました。「九州大学新キャンパス」のブースは、「九州大型プロジェクトゾーン」内に設けられ、期間中、多くの方々にブースを訪れていただき、キャンパス模型に見入る人やパネルを見ながら熱心にメモを取る人の姿が見受けられました。一方、ブース担当者に対して多くの質問や意見が寄せられ、その中には九大OBからの励ましの声もありました。
平日でしかも僅か三日間という短い開催期間にもかかわらず、来場者総数は二万人を超えました。現在建設中の新キャンパスについて広く一般の方々に紹介できたことは大学として非常に有意義であったと思います。
今回の出展に際し、九州電力、福岡市土地開発公社、本学情報基盤センターおよび施設部の関係各位には大変お世話になりました。誌面を借りて、御礼申し上げます。
五月十四日(火)、九州大学記者クラブ(新聞・通信八社、テレビ六社)に、今年三月に造成が終わったT工区が公開されました。案内したのは、有川副学長、新キャンパス計画推進室と統合移転推進室のスタッフです。
新キャンパス用地の造成は四つの工区に分けて行われ、最終的に有効敷地約百七十fが現れることになりますが、今回公開されたT工区は五十・五ヘクタールです。
石ケ元古墳群からの眺め カスミサンショウウオ 造成地の表面にはチップが敷き詰められ、盛土法(のり)面には根株が移植されています。これらは元々この地にあった樹木のリサイクルです。西と南に見える斜面は高木移植地で、全体で約百三十本の樹木が移植されています。総面積二百七十五ヘクタールの新キャンパス用地のうち、保全緑地は約三十八%にもなります。
ここに降った雨は、南北の調整池に溜め、周辺の灌漑用水として利用したり、川へ注いだりします。このような調整池は全体で十一ケ所にもなり、三十年に一度の大雨にも耐えられるように造られます。
一行は、石ケ元古墳群からこの秋に着工される工学系研究教育棟西棟(仮称。延べ床面積約四万五千u)の建設予定地前を通り、T工区の西の端に当たる林床移植地に来ました。ここにある雑木類は表土とともに移植されたもので、やがて約八千uの緑の林を形成するでしょう。またここから見下ろせる生物多様性保全ゾーンには、カスミサンショウウオやナンゴクデンジソウ、シャジクモなど貴重種を保全するための池などがあります。
最後に、U工区内の元岡・桑原遺跡群第二十次調査地に行き、日本最古級の大宝元年と記された木簡や倉庫跡、土器類などが多数出土しているこの地の調査状況について、福岡市教育委員会の担当者から説明を受けました。