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第四十七回田島寮祭実行委員長 永山 由高
寮祭を考えるとき、その四十七年という歴史を思わずにはいられない。九州大学田島寮は、半世紀の長きにわたり寮祭を、樽神輿を行ってきた。今年、自分が実行委員長としてその寮祭に携わることができたことを本当に嬉しく思っている。
六月二十八日。本祭・樽神輿。重さにして約八百キロあるとされる樽神輿を担ぐのは一年生であり、その上に乗り一年生を鼓舞するのは二年生の実行委員である。僕自身も実行委員長として赤・青・黄の三色の樽神輿の上に乗った。壮観であった。去年は自らも担いだ樽神輿、その上に広がる景色はまさに最高だった。歴代実行委員の先輩方が流した涙に触れた気がした。十八歳を過ぎた若者がふんどし姿で天神の街を練り歩くこと、それは馬鹿なことに見えるかもしれない。しかし、馬鹿になって初めて見えるものがある。そのことを痛感した。
四十七名の実行委員とともに寮祭を作っていく上で、後輩たちに伝えられるものは全て伝えた。新キャンパスへの移転に伴い、田島寮もあと数年でなくなることが予想されるが、今後も様々な変化をもちつつ、この熱き伝統の行事が続いていくものと信じている。
(ながやま よしたか 法学部二年)
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出陣前の記念写真 | |
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雨の市街に繰り出す | 神輿には沿道の市民が準備した勢い水が容赦なくかけられる |
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情宣局局長 妹尾 昌尚
降りしきる雨の中、九州大学田島寮の一年生はふんどし一丁で樽神輿を担ぎ天神の町を練り歩きました。みんな普通の人です。いや正確に言うならば「であった」というべきでしょうか。大きなビルの立ち並ぶ繁華街をふんどしで神輿をかつぐ……こんなこと普通じゃあできないと思うのです。その時、私は「この一年生達はみんなほんまに『田島寮生』になったんやなぁ」と感じました。
去年、私は一年生としてこの田島寮の寮祭に参加しました。その時は無我夢中で何もわかりませんでした。しかし今年、二年生として寮祭を運営し、一年生をサポートする立場となり、この寮祭の一ヶ月を通じて一年生達の顔を見ていると本当にみるみる『田島寮生』のそれへと変わっていき、確実に成長しているのを感じ取ることができたのです。これほど嬉しいことはありません。この田島寮でしか味わえない悦びが四十七回にもわたる寮祭の伝統を築き上げてきたのだと確信しました。この悦びをいつまでも引き継いでいってくれることを祈りつつ、まだ見ぬ未来の寮生へと託したいと思います。
(せお まさなお 工学部二年)
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第四十七代 樽神輿局局長 山田 英道
いい神輿だった。それが本祭当日を振り返っての私の正直な感想だ。雨に打たれながら神輿を担ぐ一年も、それを全力でサポートする二年もOBも、みんなひたむきな顔をしていた。あの熱気を、忘れることはないだろう。
私は静岡からここ福岡にやってきて、田島寮に入寮した。自分で認めるのぼせ者で、来たその年から土居流大乗寺前町の若手として山笠に参加させていただいている。寮祭をするにあたり、いろいろと迷うところはあったけれど、最後には自分の意思でしたいと思い、局長に手を上げた。寮祭を無事終えた今、私は山笠に向けて気持ちを入れ替えているが、ここ田島寮での経験が、山笠においてよい糧となるということをかねてから思っている。詳しく説明しようとすると難しいのだが、熱い男たちがなんやかんや言いながら何かを作り上げていくその過程が、共通点を生み出しているのだろう。
樽神輿は赤・青・黄の三台があり、赤が最も名誉ある神輿である。赤ふんを締めてその神輿を担げる人間は全体の三分の一で、それをめぐって約一ヶ月間の熱い戦いが繰り広げられた。当日、神輿の上に乗ってそういう背景を思い浮かべたとき、思わず胸が熱くなった。
先代の局長が、「樽神輿局員は義を重んじろ」とおっしゃった。絆は強く、ここ一番で堅気なよい仲間に恵まれ、先輩方の期待にもこたえることができたと思う。そして私たちが後輩に何を伝えられたのか。その成果が問われる来年を、楽しみに待ちたいと思う。
(やまだ ひでみち 農学部二年)
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第百一期寮長 田口 晃樹
一ヶ月にもわたる寮祭も終わった。今思えばあっという間の一ヶ月だった。各ブロックごとにサッカー、バスケ、ゲームなどを競い合い、その中で協力し強い絆を築きあげてきた。そしていよいよ迎えた本祭での樽神輿、一年生全員が一致団結し声を出し神輿を担いだ。雨の中ふんどし一枚で田島寮までの五キロにも及ぶ道のりを歩き、寮にたどり着くころにはみな肩が真っ赤に腫れていた。みなが泣いていた。言葉に出来ない思いが湧き上がってきたに違いない。田島寮に入って早三ヶ月、この寮祭を通して得た熱い思い、友との絆をこれからも大切にしていきたい。本当にいい寮祭であった。
(たぐち こうき 理学部一年)
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六本松キャンパス本館前で寮歌を歌い、田島寮へ引き上げる。 | 六本松に着き、樽の上の上級生を振り落とす。 |