新任部局長紹介 | |
法学研究院長
植田 信廣
(うえだ のぶひろ)
豪放磊落
植田信廣先生は一九五〇年土佐のお生まれ。東京大学法学部を卒業後、同大学で助手を勤めた後、 一九八四年に九州大学法学部に赴任されました。ご専門は、日本法制史、とくに中世(鎌倉時代) の刑事裁判の研究です。加えて、最近は中国法にも関心の幅を広げ、中国の大学との学術交流にも 尽力されています。 先生は、知る人ぞ知る競馬ファン。競馬場に行くバスの中からすでに双眼鏡を首にセットし、レ ース中は双眼鏡を離しません。競馬場での食事は必ず「カツ丼」。残念ながら、研究院長在任中は 競馬自粛とのこと。もう一つ先生が好まれるのは「酒池肉林」。健啖家の先生は、中国では普通の人 が口にしないものも食べているようです。病院帰りに階下にある居酒屋で一杯とか、食前の薬をビ ールで流し込み、食後の薬を日本酒で飲むなど、なんとも豪放磊落です。高知には「酔鯨」という 美味い酒がありますが、「鯨飲馬食」とはまさに植田先生にぴったりの言葉ではないでしょうか。 以上は、ほんの一面にすぎません。学生や院生から慕われ、また家族思いの方でもあります。奥 様とはよく観劇を楽しまれているようですが、待ち合わせ場所に先に来るのはいつも先生の方と か。すでに二人いるお孫さんを至極可愛がっておられる様子です。 誰もが認める誠実で温厚なお人柄と持ち前の「ねばり腰」で、法人化と法科大学 院設置という難局の中、法学研究院の舵取りをうまくしていただけるものと信じています。 (S・N)
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システム生命科学府長
西本 毅治
(にしもと たけはる)
常識にとらわれない感性
このたび九州大学に新しくできましたシステム生命科学府の学府長になられた西本毅治先生の紹介をします。 先生は、九州大学医学部を卒業後、基礎研究の道に進まれ、本学理学部生物学科助教授を経て十五年前に新設 された医学研究科・分子生命・細胞工学講座の教授になられました。その当時は、新設講座ということで何もない研究室でした が、細胞が分裂して増殖する細胞周期のメカニズムの研究という、まさに生物学と医学のインターフェイスとなる領 域を目指され、今日先生が研究されているRCC1という遺伝子は世界的に知れわたっています。今回、さらに工 学・農学の分野も含めたシステム生命科学府の長となられ、ますます頑張っておられます。 お生まれは、炭坑の町だった飯塚です。そのせいなのかどうか分かりませんが、サイエンスにおいても細かいところ にはとらわれず、大胆な勘でポイントをつかむという研究姿勢を感じます。時には、発想が飛躍してみんな付いて行け ないこともままありますが…。飯塚をこよなく愛しておられるようで、昨年度は、細胞周期の研究における親友であ られる英国のHunt博士を母校の嘉穂高校に呼んで、ノーベル賞講演を企画されました。二人の会話は盛り上がり、学 生たちもサイエンスを身をもって感じた(?)とのことです。 西本先生は、実験のこととなると厳しく、鋭い眼光はすべてを見抜いているかのようですが、普段は学生とお昼を たべ豪快に笑う親しみやすい方です。また、大変家族思いで、お孫さんが遊びに来られるとなると、前々日からおお はりきりでした。学生時代は登山部に所属されており昨年の講座旅行の際には、自由 時間を使って根子岳に登られました。二年前に還暦を迎えられましたが、まだまだ、若者に勝るとも劣らぬ 体力をお持ちで、常にエネルギッシュに活動されています。 (H・N、C・M 他)
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総合理工学研究院長
筒井 哲夫
(つつい てつお)
激動期を見据える笑顔のリーダー
筒井哲夫先生はいつも笑顔をたたえ、昼には愛妻弁当をパクつきながら、食後の一服をとる学生と雑 談混じりの議論を楽しんでおられます。こんなときにふと新しいアイデアが舞い降りてくると「これ、 できるんやないと?」と、たちまち実験計画ができあがったりします。先生の専門は有機機能材料で、 有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の開発などのオリジナリティ溢れる仕事は学生との日々のコ ミュニケーションから生み出されているようです。 福岡の修猷館高校出身の筒井先生は九州大学工学部応用化学科に進まれ、高柳先生に師事されました。 同門の先輩に梶山九大総長がいらっしゃいます。工学部での助手としての勤務を経て、昭和五十四年の 総合理工学研究科の設置とともに転属された総理工創立メンバーの一人でもあります。旅行が趣味と伺 っていますが、最近は専ら出張に行ったアメリカやヨーロッパ各国で、スケジュールの合間をぬって美 術館や博物館を訪ねるのが精一杯のようです。そんな中でも、ケネディ宇宙センターでサターンロケット を前に、はじけるような笑顔で写真に収まっているのを拝見すると、人類の叡智の記録である科学史 が大好きという先生の言葉が素直に納得できる気がします。 現在のような激動期であればこそ、必要な研究や、必要とされる人材育成を大きな流れの中でとらえる ことが不可欠となります。最近口癖のように「まだ研究やりたい!」と おっしゃる気持ちと、総理工が果たすべき役割を見据える歴史観を併せ持つ先 生のリーダーシップに期待し、活躍をお祈りしております。 (K・F)
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