![]() 2003年12月には、工学研究院の入江正浩教授に、光化学分野における顕著な研究業績が評価され、 ボルドー大学から名誉博士号が授与されました。 ボルドー大学から名誉博士号を授与されて 工学研究院教授 入江 正浩
授与式は、まず、F. Hardouin学長の挨拶、私の講演からはじまり、Bouas- Laurent教授による「業績・授与理由」の紹介、学位ローブ、学位記、メダ ルの授与(写真参照)、と続き、最後に、歴代の名誉博士号授与者の分厚い署 名簿にサインをして終了した。その後、カクテルパーティー、晩餐会が行わ れた。次の日は、化学教室での講演、また、その次の日には、市庁舎でのボ ルドー市長主催の晩餐会と、大忙しの3日間であった。日本人の授与者はボル ドー大学でははじめてとのことで多くの方に興味をもってもらえ、交流する ことができた。なお、これらの機会に、梶山総長、山崎福岡市長からの親書 をそれぞれボルドー大学総長、ボルドー市長へ伝達した。役目の一つは、九 州大学とボルドー大学との交流を深めることにあるので、以下にボルドー大 学の紹介をしたい。 ボルドー大学の創立は、今から560年以上も前の1441年に遡る。1793年には、 すでに神学など5つの学部があったとの記録がある。1896年には、近代的な大 学像に近い形で理学、医・薬学、法学、文学の4学部構成となり、1968年の大 学編成に関する法案をふまえて、ボルドー第一大学(科学・社会科学・政治・経済)、第二大学(医学・薬学)、第三 大学(文学)に再編された。1995年にボルドー第四大学(法学・政治・経済)が分かれて創立された。現在、この4 大学を合わせて教員2,800名、学生6万名を数える。ボルドー第一大学だけでも、850名の教官、1万4千名の学生 を擁している。ボルドー大学に在籍した、また現在在籍している著名な研究者には、整数論のJ. Hadamard、H. Cohen、ノーベル物理学賞受賞者A. Kastler、化学者J.Ribereau-Gayon、P. Hagenmuller、O. Kahn、J. Joussot-Dubienなどが挙げられる。九州大学とボルドー大学とは、1981年2月に大学間交流協定を締結し、その 後、教官、学生の交流が続いている。最近では、ルノー財団の教育プログラムにより昨年工学府の有浦芙美さん が留学し、今年は更に3名の学生の留学が決まっている。今後、さらに交流が盛んになることを期待したい。 最後に、古都ボルドー市についても簡単に紹介する。ボルドーと言えば「ワイン」で有名であるが、市民はワインとともに3人の思 想家(3M)を生んだ町として誇りをもっている。その3人とは、Montaigne (随想録)、Montesquieu(法の精神)、Mauriac(テレーズ・デスケルウ)であ る。人口は郊外を含めて約80万で、ガロンヌ川べりの街の中心部は重厚な歴 史的建造物で埋まっている。市郊外には、航空宇宙、電気・電子、化学薬品 などの先端産業が集積している。また、福岡と同じく海に近く海産物も豊富 であり、美食の町でもある。現在は、路面電車の開通で盛り上がっている。 なお、福岡市はボルドー市と1982年に姉妹都市協定を締結している。 米国と比較して情報の少ないフランスであるが、文化面、経済面でも親近 感のもてる国である。今後、フランスと、中でもボルドー大学との交流に少 しでも役立てるよう努力したいと考えている。 (いりえ まさひろ/光化学)
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