文部科学省の科学技術振興調整費として最大規模の「戦略的研究拠点育成プログラム」に、九州大学が採択されました。本学が提案したのは、ユーザーを基盤とする技術・感性融合機構「ユーザーサイエンス・インスティテュート(USI)」で、これは新時代の大学のあり方を示す提案です。

ユーザーの願いを研究するUSI

 「大学の研究が専門分化しすぎてユーザーの感覚から離れてしまった」、「日本は個別技術はすぐれているが総合技術が弱い」などと指摘されています。その根本的な原因は、ユーザーのことをあまり考えないで研究のための研究に終始してきた研究者の体質と、縦割りの保守的な研究組織にあると考えました。
 そこで九州大学では、さまざまな研究分野とユーザー、企業、行政等が一体となって、ユーザーの願いを研究する仕組みをつくります。
 まず、ユーザーの感性やニーズを「ユーザーインターフェイス部門」で受け止め、「技術・感性融合企画部門」で具体的なプロジェクトを組み立てます。これを受けた「プロジェクト部門」では、医学とデジタルアートの連携や、音響とサインと工学の連携、システム情報科学と農学と医学の連携など、単独の分野だけでは解決できない課題に挑戦します。
 また、そこで生まれた成果や考え方を社会的に定着させ人間に優しい技術を評価・啓発する制度「Qマーク」を提唱したいと考えています。
 さらにその成果を活かして、民間や先端的研究機関等から教員を招き、全学の教員が柔軟に参画する横断的な新しい発想の大学院を創設します。全分野から入学可能、学府間の「単位互換」、さらにダブルメジャーをめざす画期的な大学院です。
 九州大学は、大学の統合、法人化の荒波を前向きに乗り越え、さらに改革を進めます。

ユーザーを基盤とした技術・感性融合機構(USI)の特徴

1、ユーザーの感性を研究に生かす。
2、技術・感性融合の世界的研究拠点。
3、人間に優しい技術を評価啓発。
4、縦割りの研究体制を革新する横断的な新大学院専攻の設置。


USIの各部門
(1)ユーザーインターフェイス部門
 ユーザーの要求を収集・発掘し、多面的な分析を行い、ユーザーの感性という観点から捉えた課題を明確にします。
(2)技術・感性融合企画部門
 感性に基づき人間が欲する技術の進路を考え、多様な分野を融合させた研究プロジェクトを企画・指令します。
(3)プロジェクト部門
 九州大学の多様な研究分野を基盤として、複合的な研究分野の共同によって創造的な解答を求め、広く、他大学、産業、行政、ユーザーが一体となった感性・技術融合研究プロジェクトを編成します。
(4)ナレッジ・ネットワーク部門
 様々な活動に必要とされる知識と人材のネットワークを、学内外・国内外に張りめぐらし、国際的な人材の育成・交流・登用をはかります。
(5)アーカイブ部門
 技術と感性の融合に関わる知的財産(特許・意匠等)のデータベースを知的財産本部やTLO等と連携して構築します。
(6)評価・マネジメント部門
 ユーザーサイエンスを基盤に、人間に優しい技術を評価・認証していく制度「Q マーク」を提唱し、本提案の成果と主張を世界に向けて発信します。


技術・感性融合プロジェクト例

  • 肥満を防ぐ健康・食生活の開発研究
  • デジタルアートによるわかりやすい医学・医療支援
  • 障害者や高齢者のための情報のユニバーサルデザイン
  • 新時代のための技術・感性実験空間としての新キャンパス
  • イノベーティブ・ワークプレイスの国際的共同開発研究
  • 技術・感性融合研究の学内・学外・国際公募

    健康・ジャパンテイスト

    デジタルアートによる医学・医療支援

    情報のユニバーサルデザイン


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