貴重資料「シーボルト『NIPPON』」展示会・講演会を開催
―附属図書館(中央図書・医学分館)―

 附属図書館では、開学記念行事の一つとして、図書館および学内の各部局で所蔵する特色ある資料を選定して公開する貴重資料展示会・講演会を毎年開催しており、今年で四十五回目を迎えました。
 今回は、江戸時代に西洋科学を伝える重要な役割を果たしたオランダ医者の一人、ドイツ人フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの日本紀行(長崎出島のオランダ商館長の江戸参府に絵師とともに随行した)の中で生まれた版画集「NIPPON」初版本に焦点をあて、「シーボルトの観た日本」というテーマで、中央図書館と医学分館を会場に、百枚以上の原資料を展示しました。展示の企画に際して、長崎大学附属図書館、福岡県立図書館、そして長崎にあるシーボルト記念館などの協力を得ました。
シーボルトが江戸へ向かう道中で、同行者に描かせた画を持ち帰り、石版画にした関門海峡
 医学分館で発見されたこの資料は、当時の出版形態を残した未製本の状態でした。初版本を所蔵している図書館は国内に十数館ありますが、それらの大部分は購入者が独自に製本したものです。未製本であったがために一枚ずつ取り扱うことができ、今回のような展示が可能となりました。
 「シーボルトの観た日本の人々と風俗」、「江戸参府紀行」、「シーボルト事件」、「シーボルトの妻と娘と息子達」、「シーボルトの心残り」、「シーボルトと医学」(これは医学分館で展示)というテーマに分け、原資料をパネルに入れて展示しました。
 展示会は例年どおり十日間で、土曜、日曜も含む五月十日(月)から十九日(水)まででしたが、前年より多数の入場者がありました。初日には、折から来学中の原田義昭前文部科学副大臣も来場し興味深く参観されました。
 また、五月十五日(土)に中央図書館視聴覚ホールで開催した公開講演会は、シーボルト研究の泰斗である長崎純心大学教授宮坂正英氏による「日本情報編集者としてのシーボルト」と、本学総合研究博物館助教授宮崎克則氏による「”再発見“シーボルト『NIPPON』」と題した講演でした。百名を越える入場者があり、「NIPPON」展示の意義について興味深い話が繰り広げられ、聴衆は熱心に耳を傾けていました。


注目の新しい図書館:筑紫分館で国際セミナー開催

 四月十九日(月)に新たに開館した附属図書館筑紫分館は、ICタグを使った図書管理や自動書庫による図書の出納など最新技術を駆使したモデル図書館として、大学関係者ばかりでなく地域社会や国際社会からも注目されています。
 その筑紫分館において、五月二十日(木)、九州大学附属図書館と大韓民国ソウル大学校中央図書館が共催で「響きあう図書館ルネッサンス」と題する国際セミナーを開催し、国公私立大学や企業等二十五機関から五十七名の出席者がありました。
 荒木啓二郎副館長によるテレビ会議システムを使った挨拶でスタートしたセミナーは、ソウル大学校の電子図書館の現況、九州大学のICタグや自動書庫を使った図書管理、近く実験が予定されている日韓の大学図書館間のドキュメントデリバリープロジェクトと、日本と韓国の大学図書館の最新技術と図書館協力をテーマにしたホットな報告が続き、出席者との間でも活発な議論が交わされました。セミナー後は筑紫分館の見学がありICタグと自動書庫は関係者の大きな関心を惹いていました。
 なお、セミナーの模様と筑紫分館の新しい機能は、福岡のテレビ局のニュースでも取り上げられ、筑紫分館が海を越えて注目を浴びていることが紹介されました。参考:http://www.lib.kyushu-u.ac.jp/040520/
ICタグによる図書管理を熱心に見学するソウル大学校関係者ソウル大学校図書館員による報告テレビ会議システムで挨拶する荒木副館長


前のページ ページTOPへ 次のページ
インデックスへ