全学教育科目「社会と学問」は、社会の第一線で活躍している先輩たちが、毎回交代で一年生に「講義」するというユニークなものです。
 六月三十日(水)には梶山千里総長が講師として登壇し、約三百人の学生に「思考と行動」というテーマで授業をおこないました。
 梶山総長は、六本松キャンパスの特一番教室を埋めた学生に「常に自分の身の回りに起こっている事に、なぜ?と疑問を持ち、日頃から色々な事を考える人になってほしい」と期待を込めて語りました。また「周りにいつも合わせるのではなく、人とは違うことをする勇気を持つように」「人真似の人生を送らず、個性、独創性、創造性ある人物になるように」と呼びかけました。最後に「早速今日から、色々なことを考え、行動してください。そのようになった皆さんと箱崎キャンパスで会うことにしましょう」と結びました。


 七月一日(木)、北海道大学を主幹大学として開催される第四十三回七大学総合体育大会、通称「七大戦」の体育総部結団式が、五十周年記念講堂で開催されました。
 梶山総長が「今の皆さんの頑張りは一生の宝になる。人間性を磨くためにも頑張ってください。是非いい成績を残して帰って来てください」と檄を飛ばすと、ヨット部主将の古賀亮史さんが「九大の底力をみせつけてくることを誓います」と力強く宣誓しました。
 結団式に続き、九州大学応援団の演武が披露され、満場の拍手を浴びました。

【七大戦とは?】
 旧七帝国大学、即ち現在の北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の体育会系サークルが一堂に集い、様々な競技を行って、その合計得点で順位を争うものです。
 残念ながら今年度は総合七位に終わりましたが、九州大学が主幹大学となる来年度は、必ずや捲土重来。

会長より表彰状を受ける本学職員(上) 表彰状とメダル(下)
 七月一日(木)、大阪大学コンベンションセンターで開催された第五十一回国立大学図書館協会総会において、「九州大学附属図書館ラテン語古刊本書誌作成研修会の活動」が、栄えある平成十六年度国立大学図書館協会賞を受賞しました。法人化後の第一回の受賞です。
 この研修会は、教員(西村重雄法学研究院教授)の協力のもとに平成三年度から開始され、一時中断したものの現在も継続している活動で、内容としては、ラテン語研修を振り出しとして発展し、資料の歴史的考察や書物史など書誌学的なアプローチを含む高度なものに展開してきています。その成果が、遡及入力やインキュナブラの目録作成や解題の作成を経て、資料展示や資料保存の取り組みへと拡がり、関連業務の改善にまで繋がりました。
ラテン語古刊本書誌作成研修会の成果
 このような多岐にわたる活動が顕著な意義を有すると認められ、今回、「図書館活動における功績」として国立大学図書館協会の小宮山会長(東京大学附属図書館長)から表彰され、代表者として渡邊由紀子雑誌情報掛長がメダルと表彰状を受け取りました。
 選考委員会から「研修会の成果として、ラテン語古刊本の目録作成の有効なツールとなるとともに、図書館職員のためのテキストともなる『タイトルページを読む楽しみ』を発行し、大学図書館で共有できるものとしたことは大きな意義がある。」「研究者との協力・連携による研修会活動を通じ、図書館職員の専門性の向上に寄与するとともに、図書館職員に対する学内および地域における社会的な認識の向上にも貢献しており、高く評価できる。」と評価されました。

左から早田理事、麻生知事、梶山総長、舌津施設企画課長、今西理事、筒井総合理工学研究院長
 七月十三日(火)、梅雨明けの晴天の中、筑紫地区において本年三月に完成した総合研究棟(筑紫地区)の竣工記念式典が行われました。
 はじめに、新棟玄関前で梶山総長、舌津一良文部科学省文教施設企画部施設企画課長、麻生渡福岡県知事等によるテープカットを行った後、新棟を見学しました。
 その後の記念講演では、麻生知事が「福岡県の産学官連携の核となる九州大学への期待」、十倉好紀東京大学大学院工学系研究科教授が「電子集団が拓く科学と技術」の演題で講演し、学内外からの参加者の他、筑紫地区の多くの大学院生も参加しました。
 式典では、筒井総合理工学研究院長の式辞、梶山総長の挨拶に続き、萩原和久文部科学省文教施設企画部長(舌津施設企画課長・代読)の祝辞など、新棟を活用した今後の活躍への期待が述べられました。
 この総合研究棟は、地下一階、地上七階建て九千m2で、一、二階には附属図書館筑紫分館が入り、六、七階は全学のコラボスペースとなっていて、新棟の愛称は公募によりC-Cubeと呼ばれています。


敢闘賞を受賞した事務局チーム
 「第二十三回福岡市東区自衛消防隊操法大会」が七月十五日(木)に西鉄香椎花園で開催され、本学は事務局、理学部、九州大学病院の三チームが出場し、事務局チームが見事敢闘賞を受賞しました。本学三チームは、大会に備えて消防署の指導を仰ぎながら訓練を繰り返したものであり、今後の防火意識の向上と自衛消防活動に寄与するものと期待されます。

 七月十四日(水)、十五日(木)の両日、病院地区、箱崎地区、筑紫地区の三カ所において「九州大学の経営戦略に関する調査」説明会が開催されました。
 これは、平成十五年度に本学が実施した「九州大学の経営戦略に関する調査」の調査結果により示された本学の強み、弱みなど抱える問題点を共有し、今後の改革に向けた意見交換を行うために開催されたものです。
 説明会には、役員から、梶山総長、中野理事、柴田理事(病院地区、箱崎地区出席)、小寺山理事(筑紫地区出席)、渡辺理事が出席しました。具体的な説明は、日本政策投資銀行の山口泰久氏が行い、併せて知的財産本部の谷川教授等が知的財産本部の概要説明を行いました。
 立ち見が出るほどの会場もあり、出席者からは「知財本部には、資金調達のコンサルティングをやってほしいし、外部資金獲得のオーソリティになってほしい」、「九州大学が『尊敬される大学』また『競争力のある大学』となるためには、プラスアルファの部分が必要ではないか」等の意見がありました。
 総長からは、「九州大学が外部からどう評価されているか、認識してほしい。大切なことは『人材育成』と『知の創造・伝承』であり、これはどのような状況においても不動のものである。教員にあっては、質の高い基礎研究、基盤研究をやっていただきたい。質の高い基礎研究、基盤研究の成果は、必ず人類にとって役立つ応用研究につながっていくのである。こういった課題意識を持ち、研究に取り組んでいただきたい」旨の発言がありました。

 七月二十二日(木)、OECD(Organization for Economic Co-operation and Development 経済協力開発機構)事務総長のドナルド・J・ジョンストン氏が来学し、教職員や学生を前に講演しました。
 講演のテーマは「OECDからのメッセージ:日本経済の進路と残された課題」。
 前半は、一九四八年に第二次世界大戦後の欧州の経済的困難打開のためにOEECとして発足したことなど、OECDの歴史的経緯や現在の活動状況とその理念を語り、後半は、加盟からちょうど四十年となる日本の経済状況の分析とOECDとの関わりについて語りました。
 講演の後は、会場の教員や学生たちから相次ぐ質問に、時にユーモアをまじえながら丁寧に答え、最後に会場の学生たちに、「OECD事務局に専門家の数を増やしたい、世界中からの様々な文化や背景を持つ人材を必要としています」と呼びかけました。
 約一週間の今回の日本滞在で、このような講演は九州大学のみで行われ、会場となった国際ホールに詰めかけた教職員や学生は、講演の間メモを取るなど熱心に耳を傾け、最後は大きな拍手でジョンストン事務総長に感謝の意を表しました。

21世紀プログラム説明会
売店で九大グッズ販売
記念講堂で語る大城工学部長
 八月五日(木)と六日(金)の二日間、今年度の九州大学説明会(オープンキャンパス)が開催され、箱崎(文、教育、法、経済、理、工、農、二十一世紀プログラム)、病院(医、歯、薬)、大橋(芸工)の各キャンパスを、延べ約1万人の高校生が訪れました。
 工学部では六日の午前と午後に分けて説明会を開催し、大城(おおぎ)学部長が工学部の概要と望ましい高校生活について語った後、各学科やコース別に見学会を実施しました。
多くの高校生でにぎわう箱崎キャンパス
 二十一世紀プログラム生たちは自ら、選抜から専門課程に至るプログラムの内容や日常生活について熱く説明していました。
 五十周年記念講堂二階に新たに設けられた「九大進路情報プラザ」では、常設されている九州大学を含む国公私立大学並びに大学入試センターの情報を見に来た高校生たちに、職員が対応していました。
 五日には、「高校と大学の教育連携」をテーマに高大連携シンポジウムが開催され、「高校での学び大学での学び」について発表した九大生と会場の高校生の間で、熱心な質疑応答がありました。
 また、キャンパスには臨時の売店も設けられ、新たに作成された九大グッズや九州大学応援菓「いも九」を買い求める高校生でにぎわっていました。

展示した防寒着(写真上)と講演する川添氏

 九州大学と前原市、志摩町及び二丈町の自治体との連携を図る「九大・糸島会」は、八月二十九日(日)前原市役所において「第六回 地域資源再発見塾」を開催しました。
 今回は、「南極生活おしえます」というテーマで第四十三次南極越冬隊員で学務部修学支援掛長である川添昭典氏から、南極越冬隊に参加した経緯、南極での生活の様子やオーロラを見たときの感動について、パソコンやビデオを使いながらわかりやすく詳しい説明がありました。参加した小学生からお年寄りまで約百名の地域住民には県外からの参加者もあり、質疑応答の時間には「どうしたら越冬隊員になれるのか?」等多くの質問があり盛況のうちに終了しました。
 また、当日は第一回越冬隊長 西堀榮三郎氏の軌跡や防寒着の展示のほか実際に川添氏たち四十三次越冬隊が採取した「南極の氷」や大学博物館が制作した南極生活のパネル展示もあり、参加者は興味深く見学していました。
 なお、次回「第七回 地域資源再発見塾」は、「林冠の昆虫を調べる―体験!昆虫研究者の仕事」が予定されています。

リーガル・クリニック・センター等の開所式で挨拶する大出良知法科大学院長
(リーガル・クリニック・センター長)
 九月一日(水)、福岡市中央区赤坂の赤坂井上ビルにおいて、九州大学法科大学院附属リーガル・クリニック・センター、及び弁護士法人九州リーガル・クリニック法律事務所の開設披露が行われ、本学の理事・法科大学院教員、法曹関係者、県内の他の法科大学院関係者など約五十名が出席して開設を祝いました。
 大出良知法科大学院長の謝辞と概要説明に続き、早田憲治理事、植田信廣法学研究院長、法曹関係者から挨拶があり、両組織への期待と支援の言葉が述べられました。
 式後の懇親会では、和やかな雰囲気の中、会場のあちこちで情報交換を行う姿が見受けられました。
 センターは、本学の教員が所属する弁護士法人と連携して、教員の指導・監督のもとに法科大学院生に一定の範囲で具体的事件に関与させ、実務の実践を通して、法律理論を再考させ、法曹の役割の重要性や弁護技術・法曹倫理を学ぶ場となります。
 なお、センターでは、弁護士法人との連携に止まらず、市民講座の実施や法律実務家との交流の機会を持つなど、社会との連携を強化していく予定です。

東チモール国立大学リサーチセンター長
 7月14日(水)、ファウスチィオ・カルドソ・ゴメス東チモール国立大学リサーチセンター長が、梶山総長を表敬訪問しました。
 リサーチセンター長は、本学が、アジアの新興国家への国際協力・国際貢献事業の一環として招へいしたもので、東チモールの現状について説明がありました。


OECD(経済協力開発機構)事務総長
 7月22日(木)、ドナルド・J・ジョンストンOECD事務総長が、梶山総長を表敬訪問しました。
 事務総長は、講演のため本学を訪れたもので、梶山総長から本学の概要や新キャンパス移転等について説明がありました。
 また、表敬訪問終了後、「OECDからのメッセージ:日本経済の進路と残された課題」というテーマで、本学教職員・学生に対して講演されました。(34ページ参照)


全南大学校次期総長 (韓国)
 7月29日(木)、姜 貞全南大学校次期総長が、梶山総長を表敬訪問しました。
 姜次期総長は、本学における教育研究上の改革等に関する情報収集及び意見交換を行うため本学を訪れたもので、今後の大学改革について、活発な意見交換が行われました。
 また、翌日は建設中の新キャンパスを見学され、研究室のモデルルーム等を視察されました。


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