九州大学では、世界最高水準の教育研究拠点(COE)の形成を目指し、「4+2+4アクションプラン」を提唱しています。4‐2‐4の最初の「4」は本学の使命である、「教育」、「研究」、「社会貢献」、「国際貢献」を指し、「2」は将来の方向性である、「実績に基づく新科学領域への展開」と「歴史的・地理的な必然が導くアジア指向」を指します。最後の「4」は、評価に基づく大学からの支援の中身を表し、それは、「予算措置」、「人的資源措置」、「施設・スペース整備」、「教育・研究のための時間の拡大」の四つを指します。
 今般、この最後の「4」の支援を具体化すべく、総長裁量経費を活用し、優れた研究実績がありアクティビティも高い教員に対して予算を重点投資することとしました。この「予算」を研究助手や非常勤講師の雇用に充てることで「人的措置」も図ることができ、さらにそれが本人の「研究時間の拡充」にもつながります。これは九州大学としては初の取組みですが、特に若手研究者には、将来の九州大学を、そして日本を背負うスーパースターになってもらいたいとの期待を込めています。

【支援対象者(所属部局)】
@ 二十一世紀COE拠点リーダー
(↓プロジェクト終了まで)

    藤木幸夫(理学)、新海征治(工学)、前田三男(シス情)、名和田新(医学)、中尾充宏(数理)、松藤泰典(人環)、村上敬宜(工学)、栃原裕(芸工)
    ● 平成十六年度:五百万円
    ● 平成十六年度.(終了まで)
    :八百万円(使途:特任助手、非常勤講師の雇用)
A 研究拠点リーダー(senior研究者)
(↓最長3年間)
    河野俊行(法学)、巌佐庸(理学)、橋爪誠(医学)、入江正浩(工学)、堀田善治(工学)、楠田哲也(工学)、安浦寛人(シス情)、都甲潔(シス情)、割石博之(農学)、赤司浩一(医病)、伊藤早苗(応力)
    ● 平成十六年度:五百万円
    (使途:特任助手、非常勤講師の雇用)
B 若手研究リーダー(junior研究者:スーパースター作り)
(↓最長3年間)
    山口輝臣(人文)、鏑木政彦(比文)、北川宏(理学)、岩崎克則(数理)、牟田達史(医学)、兼松隆(歯学)、片山勉(薬学)、君塚信夫(工学)、石原達己(工学)、岸田昌浩(工学)、山本元司(工学)、島岡隆行(工学)、高木英行(芸工)、竹田正幸(シス情)、水野清義(総理)、佐々木一成(総理)、立花宏文(農学)、中山敬一(生医)、福井宣規(生医)、竹田潔(生医)
    ● 平成十六年度:四百五十万円
    (使途:特任助手の雇用)

※各研究者の研究内容につきましては、下記アドレス・九州大学ホームページ「九州大学研究者情報」をご覧ください。 http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/

 平成十六年度秋の紫綬褒章受章者に、工学研究院の新海征治教授が選ばれました。
 受賞理由は、「分子認識化学の分野で、現代化学の基礎概念に多大な貢献をし、我が国の化学全般にわたる発展に寄与した。」というものです。今年度は「第六十三回西日本文化賞(学術文化部門)」も受賞。ここ数年ノーベル化学賞に最も近い研究者の一人として名前が上がる新海教授は、研究や学会発表などで「超多忙」な日々を送っており、受章に際して次のようなコメントをしました。
【新海教授コメント】
 生体の中で起る反応は、基本的には「化学反応」です。すなわち、化学の立場からアプローチすることで、生体反応の事象がより深く理解できると考え、化学と生物の境界領域で研究を進めて来ました。今回の受章はその積み重ねた成果が認められたものと考え、大変嬉しく思っています。特にこの境界領域で重要な「分子認識」や「分子機械」といった概念を早い時期に提案できたのが、今の評価に繋がっていると考えています。
 それと同時に、化学の研究は一人の天才が出現すれば成就するというものではありません。何人もの共同研究者やスタッフが協調して仕事をすることで、初めて目的が達成されるという性質を持っています。この受章はこれらの人達の貢献に深く負っており、心から感謝しています。

 平成十六年六月四日(金)、中華人民共和国駐福岡総領事館の彭新実教育担当領事が寄贈図書を携えて今西附属図書館長を訪問され、附属図書館館長室でその贈呈式が催されました。
 平成十四年九月に総領事館のご好意により一千冊の図書を附属図書館へ寄贈していただいた際に、総領事館側より日中の交流をより親密なものとするため、本学が必要とする図書を今後も寄贈していきたい、と特別なご厚志をいただいておりました。それをうけて附属図書館で学内の研究者や留学生から広く要望を募り、寄贈依頼図書リストとして総領事館に依頼したところ、六月に百六十七冊の貴重な図書を寄贈していただいたものです。
贈呈式にて
 贈呈式当日は、彭領事とともに現在本学で勉学に励んでいる留学生も数名図書館を訪れ、今西館長との間で留学生活や今後の目標などについて和やかに会話が行われました。
 さらに九月には本学が依頼した分野の図書に加え、現在福岡に滞在する留学生から総領事館に寄せられた希望図書を含む七百十五冊もの図書が寄贈されました。
 これらの附属図書館に寄贈された図書は、附属図書館三階国際交流コーナーの「中国領事館寄贈図書コーナー」にまとめて配架されています。文学、法律、経済、農業、語学、文化など広範な分野にわたる充実した貴重な蔵書として、留学生、学生をはじめとする学内関係者はもとより、広く一般市民も利用できるようになっています。

 外国人短期留学コースJapan in Today's World(JTW)が今年度も始まりました。第十一期となる今期は、北米・ヨーロッパ・アジアの八か国から三十三名の留学生が参加しています。十月五日(火)に開講式が行われ、これから日本での勉強や生活など様々な面にわたってJTW生をサポートしていくチューター(九大生)も多数列席していました。
 十月二日(土)から四日(月)までの三日間は、大自然に囲まれた九重の共同研修所にて、オリエンテーションが行われました。セッションでは、これから一年間のプログラム内容や日本での生活についての説明を熱心に聞き、登山や体育館でのレクリェーションを通して学生間の親睦を深めました。さらに、同行して頂いたアテネオ・デ・マニラ大学(フィリピン)のルドルフ・アン教授による異文化理解セミナーでは、多様な文化や背景を持つ学生同士が議論を重ねました。学生一人一人様々な価値観や考え方があるという認識を持つことができ、今後異なる文化の国で生活していく彼らにとって非常に有意義な合宿となりました。
西有田町の皆さんと第11期JTWのメンバー、チューターたち
 十月二十三日(土)と二十四日(日)には、第十一期最初のフィールドスタディとして佐賀県西松浦郡西有田町を訪問し、農家へのホームステイや稲刈り等を通じて岳信太郎棚田会の皆さんと交流しました。学生たちは、初めての稲刈りにもかかわらず棚田会の皆さんの丁寧な指導のもと、手際よく作業をこなしていました。作業後の懇談会では、棚田会の方々と楽しい会話が尽きず、再会を約束して西有田町を後にしました。
 JTW生は、今後も九州大学内外において多くの方々のご協力とご支援に支えられながら、一年間様々なことを学び経験していくことになりますが、どうぞよろしくお願い致します。



学生たちからの質問が相次いだ学生たちに熱く語る 麻生知事
 各界で活躍する方々による計十三回の文理融合型の起業家育成プログラム「九州大学起業家セミナー2004」。平成十六年十月十八日(月)には福岡県の麻生渡知事が登壇し、「西風を起す―ふくおか発展戦略―」と題して開講記念講演を行いました。

【麻生知事講演の要旨】
時代は変化している。東西の壁は崩壊し、グローバリゼーションが進んでいる。国の運営のあり方も地方分権に動き始めている。常に世界を、世界の中の自分の位置を意識してほしい。世界は激変しており、激しい競争の中にある。世界に活動の場を求めてほしい。
今は世界の情報が瞬時に入手できる時代。それを解釈する力を身に付ける努力は大切だ。知識の積み重ねの上にその力を使ってこそ正確な判断を下すことができる。
九州大学には、システムLSIなど半導体の設計開発、水素エネルギー利用に向けた研究、有機化学、ナノテクなど世界的な研究が多くある。その良さ強さをますます伸ばしてほしい。福岡県もそういう九州大学の頭脳と協力して、成長産業を創るために様々なプロジェクトを進めている。
新キャンパスは都心から遠いという人がいる。バークレーやスタンフォードを例に出すまでもなく、遠くはない。バイトができず学生に人気がなくなると心配する人がいる。大学時代聞いた滝川先生の言葉を思い出す。「吸収できるときに勉強しろ。世界を相手にする君たちにバイトなどする暇はない。」

南病棟6階において火災発生。梯子車による救出活動消化器による消化訓練
 九州大学病院では、十一月九日(火)に福岡市東消防署員・地域消防団員と職員合同(約百三十名)で消防訓練を行いました。
 訓練は、南棟六階ディルームから出火したと想定し職員が模擬患者にふんし、病棟スタッフ(医師、看護師)による通報訓練、初期消火訓練及び避難・誘導訓練等を行いました。
 当日は、梯子車二台、消防車両九台が出動し、放水、救助、懸垂降下等を地域消防団員も参加した合同訓練となりました。また、終了後は一人で操作できる屋内消火用散水栓の放水訓練並びに消火器による消火訓練を看護師等が実際に体験しました。

 「母校の発展のために、一肌脱ぎましょう」
 平成十六年十二月八日(水)午後三時、韓国研究センターの招聘で、金鍾泌(キム・ジョンピル)元大韓民国国務総理が来学されました。今回の来日目的は、同年十二月で五周年を迎えた韓国研究センターの視察と、本学関係者との懇談でした。本部貴賓室を訪れた金元国務総理は、柳原正治副学長(国際交流担当)から九州大学国際交流の現状と展望に関する説明を受けた後、開口一番、「母校のますますの発展のために一肌脱ぎましょう」と堅く約束してくださいました。金元国務総理が九大を「母校」とお考え頂くのは、平成十年年十一月に九州大学が金元総理に名誉博士号を授与したからです。
金元国務総理(中央)の筆による扁額を前に
 その後、金元国務総理は、ご自身が設立にご尽力なさった韓国研究センターを、柳原副学長の案内で視察され、センター内に掲示してある過去の研究実績などを興味深くご覧になりました。金元国務総理は居合わせた大学生など二十名と共に、約四十分間談笑の場をお持ちになり、本学の次世代韓国学研究者への熱い期待を表明なさいました。

慶尚大学校総長
 9 月3 日(金)、趙武済慶尚大学校総長が梶山総長を表敬訪問しました。
 趙総長は、両大学間の学術交流協定等について意見交換を行うため本学を訪れたもので、両総長の間で、部局間交流から大学間交流協定の締結に向けた合意がなされました。


韓国国際交流財団理事長
 9 月16日(木)、権仁赫韓国国際交流財団理事長が、九州大学を訪れ柳原理事(国際交流・留学生担当)と懇談しました。
 権理事長は、韓国研究に関する意見交換を行うために本学を訪れたもので、今後の本学の研究活動について、強い期待感を示しました。また、懇談後には、韓国研究センターを訪問しました。


南京大学学長代行
 10月25日(月)、施建軍南京大学長代行が、梶山総長を表敬訪問しました。
 学長代行は、本学との大学間学術交流協定等の調印のため本学を訪れたもので、表敬に先立ち、交流協定等の調印式を執り行いました。なお、同大学は、本学主催で11月に開催したアジア学長会議にも参加し、今後、更なる交流が期待されます。


ハーバード燕京研究所シニア・プロジェクト・マネージャー
 10 月27 日(水)、エドワード・J・ベーカーハーバード燕京研究所シニア・プロジェクト・マネージャーが、梶山総長を表敬訪問しました。
 ベーカー氏は、ハーバード燕京研究所外国人学者招致計画の広報活動のために本学を訪れたもので、招致計画について活発な意見交換が行われました。


国立台湾大学長
 10月29日(金)、陳維昭国立台湾大学長が、梶山総長を表敬訪問しました。
 陳学長は、財団法人交流協会の招へいで来日の折、学術交流や国立大学法人化の現状と課題について意見交換を行うため本学を訪れたもので、現在の両大学の現状について、積極的な情報交換が行われました。
 なお、懇談後、図書館長である今西理事の案内により、図書館同士の交流協定があり、交流の盛んな本学中央図書館を視察しました。


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