先日谷川教授(知財本部)が来られた機会に九大卒業生2人を訪ねて、九大、ひいては福岡市の活性化について意見交換をしました。すでに九大広報37号で紹介されたロバート・ファンさん(昭和43年電子工学)とゴルフをしながら米国同窓会としてどんな形で九大を支援するかにつき議論しました。まだ結論は出ていませんが、学生さんを活性化するために毎年何人かをシリコンバレーに招待して色々な人に会ってもらうことも一つの案として浮上しています。また、昭和30年電気工学卒の三井信雄さんはイグナイトグループというベンチャーキャピタルの創業者で、日米に跨って250億円に達する資金を動かしておられます。九大の学生を活性化するためにはどうしたらよいかと質問したら、学生さんより先生方の活性化を図るほうが先ではないかと言うショッキングな意見を頂きました。また、ベンチャー会社の社長候補として大企業にいる優れた人材に声をかけても皆断ってくるといって嘆いておられました。大企業にいれば将来設計ができるが、ベンチャー企業に入ると大成功するかもしれないが失敗したときのマイナスが大きくて乗ることができないというわけです。このような元気のない日本を活性化するにはどうしたらよいのかねと逆に問いかけられました。
セミナーについては、先日はSVJENによる東大玉井教授の知財セミナーが開催され、日米の知財問題の違いが明確に示されました。また、私も関わっているSVMFと言うグループ主催で、有名なシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト平強氏の講演会を催しました。平氏は多くのベンチャー企業とともに苦楽をともにされ、ご自身も投資額の1,000倍、50億円、という利益を手にされた経歴を持っています。彼の偉いところはその金を使って更にベンチャー支援をしておられることで、最近ご自身の貴重な経験を基にして、著書「エンジニアよ挑戦せよ」(日経BP)を刊行し、日本の長期繁栄のために一番必要とされている新企業の創出のためのエンジニアの挑戦を強く訴えておられます。 また、先日はバイオ関連のグループJBCが「バイオベンチャーの創業ストーリー」と題するセミナーをインターネットで日米の会場を結んで同時に行いました。当地で起業されたバイオベンチャーの創業者二人から創業にまつわる話を聞きました。「日本発サイエンスの世界展開」という心躍る標語をビジョンとするSanBioの森社長は、日本でサイエンスを探し回った結果慶応大学の岡野教授の技術を見つけ、脳神経細胞の再生事業を狙って起業したとのこと。一方、自分で研究開発した技術を持って創業したAcucelの窪田社長(眼科医)は目の裏の部分に注目した再生医療です。お二人とも若く元気があり、聴衆に素晴らしいインパクトを与えてくれました。九大でもいつかこのような日本発サイエンスをもって起業する人が現れて欲しいと思いました。シリコンバレーに負けないように九大の皆さん大きな目標を持って元気でがんばってください。 このところ九大の先生方の訪問が増えました。知財本部から前述の谷川教授、高田助教授と坪内氏、工学部の長村教授、などです。それに加えて同窓会の最初の仕事として、九大から当地のIBM研究所に来られた藤田工学部助教授の住居設定のお手伝いをしました。アパートと家具と車という米国生活に必要最低限の品物を用意しましたので、先生は早速研究生活を開始することができたようです。
2005年3月
九大カリフォルニア事務所所長 松尾正人(昭和36年工・応化)
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