インドネシア・ブランチオフィス便り
ガジャマダ大学本部庁舎

 大学の詳細を紹介するまえに、この大学を擁するジョグジャカルタ市のことについて触れておこう。

 ジョグジャカルタ州は、ジャワ島中部の南に位置し(首都ジャカルタやスマトラ島のアチェと並んで)、特別州に指定されている。ジョグジャカルタ市はその州都であり、ジャワ文化の中心として、また学問の中心として広く知られている。首都ジャカルタからは飛行機で東へ約一時間である。この州の人口は三百四十万人、そのうち五十一.一万人がジョグジャカルタに住んでいる。学問の中心と言うことはこの市内に百二十の国立、私立の高等教育機関がある事からもわかる。また、この市の周辺には、世界遺産のボロブドールやプランバナンがあり、世界有数の観光地を形成している。

 さて、ガジャマダ大学(UGM=University of GadjahMadaと略称することが多い)は、一九四九年十二月九日の開学であるが、現在十八学部、七十三の学士課程のコース、二十八のディプロームのコース、六十二の大学院の研究コースを有し、学生の総数はおよそ五万五千人に達している。なお、このうち六百五人は留学生である。また、教官(教授、副教授、講師、の総数は二千三百十四人、その他の職員数二千三百一人である。この大学は二〇〇五年二月までに、十五万五百一人に達する卒業生を世に送った。そのうちディプローム取得者は二万百六人、学士は十万三千八百五十八人、修士は二万五千九百十五人、PhD取得者は六百二十二名に達している。

 開学時、ガジャマダ大学は、医学-歯学-薬学部、法学-社会学-政治学部、工学部、文学-教育学-哲学部、農学部および獣医学部の六学部を持つに過ぎなかった。一九五二年から一九七二年の二十年間にはUGMではかなりの変化と発展があった。その変化のいくつかを挙げると、医歯学部の、それぞれ二つの学部としての独立、一九五二年七月十九日の、法学-社会学-政治学部のスラバヤ分校の設立である。この分校は一九五四年十一月にエアランガ(Air langga)大学に統合された。また、教育学部と師範学校は国立ジョグジャカルタ教官研修所に統合された。また、一九六九年には家畜学部が設立された。

 開校直後には、スリ・スルタン・ハメングク・ブオノ九世からの絶大な支援を受けて、ジョグジャカルタ宮殿に属する建物等利用させてもらったという。その後UGMは、整備を続け、一九五九年十二月十九日には、スカルノ大統領の出席のもと、中央管理事務局開設、次第に施設の充実を続け、現在、UGMは三百ヘクタールという広大な敷地に、敷地総面積七十四万平米達する六百七十の建物を有数する巨大な大学になっている。

 教育・研究にも努力しており、本年二〇〇五年に行われた、AUN(Asian University Network)およびEUの評価専門家による、大学の品質保証(quality assurance)の評価では、東南アジアの大学の中で、タイのチュラロンコン大学と並んで、トップの位置を占めた。

 また、昨年発生した未曾有の地震・津波とその被害、その対策については、本年八月関係者を集め、その被害の予知法、災害情報の伝達法、被害の軽減技術等々についてのワークショップを開くなど、社会的な大きな問題にも積極的な取り組みをしており、そのダイナミックな動きは、高く評価されている。

2005年10月
ガジャマダ大学九大ブランチ事務所所長
内野 健一(九州大学名誉教授)

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