TOPICS 「大学院教育」

「魅力ある大学院教育」イニシアティブに三件採択

 「魅力ある大学院教育」イニシアティブは、現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため、大学院における意欲的かつ独創的な教育の取組「魅力ある大学院教育」を重点的に支援する文部科学省の事業です。

 本事業には全国の国公私立大学一二九校から二六八件の申請があり、本学からは三件の教育プログラムが採択されました。

分 野 教育プログラム名 主たる学府・専攻名
人社系 英語による法学博士課程の充実化 法学府 国際関係法学専攻
理工農系 世界戦略的フードサイエンス教 育生物資源環境科学府 生物機能科学専攻
医療系 臨床研究活性化のための大学院教育改革 医学系学府 機能制御医学専攻


英語による法学博士課程の充実化
法学府国際関係法学専攻

 本プログラムでは三年間に英語で博士論文を完成させるプロセスにおいて、学生自らが国 際シンポジウムのセッションを企画・運営しながら研究を進め、そのシンポジウムで自らも研究発表 することを通じて、若手研究者としての自立性を高めます。これとならんで各学生二名の指導教官に よるチュートリアル、関係教員全員の前で研究の中間報告を行う毎学期一回の合同セミナー(CRS )、パートナー校であるニューヨーク大学ロースクールとシンガポール国立大学アジア法研究所にお ける研究・発表も組み込まれています。

 留意いただきたいのは、LL・Dコース(およびその下にある修士課程としてのLL・Mコー ス)は留学生専用コースではなく、日本人学生も受け入れられる英語コース、より正確には、国際コ ースです。指導にも学位論文にも英語が求められ、研究室を同じくする学生は外国人学生であり留学 と同様の効率性は達成できると自負しています。今年十月には初めて日本人学生がLL・Dコースに 入学し、諸外国(現在六カ国)出身の学生と一緒に研鑽を積んでいます。国際機関、研究機関等英語 を用いる職に就くべく法律の学位取得を希望される方にはどしどし後に続いていただきたい、と願う 次第です。

(法学研究院教授 河野 俊行)


世界戦略的フードサイエンス教育

生物資源環境科学府
生物機能科学専攻
農業資源経済学専攻

 世界戦略的な食料の安全と量の確保ならびに安全性・機能性を志向した世界戦略的な食品開発研究のためには、自然科学系と社会科学系の実質的な融合教育・研究が最重要課題です。本教育プログラムでは、農学、特に食料科学分野において、社会科学的知識・技術を持ち、食品開発において世界戦略的・創造的研究を行うことのできる人材ならびに、研究開発技術分野と連携して戦略的食料マーケッティング企画・システムの提案を行うことのできる食品産業事情に精通した人材を育

 具体的には、以下の教育プログラムを実施します。

一、 修士、博士後期課程を通した自然科学・食品科学系と社会科学系の融合した教育と実習の実施。
二、 複数指導教員制と外部アドバイザーによる評価と提言の反映。
三、 大学院博士課程における海外留学制度とインターンシップを通した実践型教育の実施。
四、 所定の単位取得者に受験資格を与え、試験合格者を技術者としても認定する資格認定制度の 実施。

(農学研究院教授 宮本 敬久)


臨床研究活性化のための大学院教育改革

医学系学府
機能制御医学専攻 他五専攻

 今日の医療には科学的根拠が厳しく求められているが、科学的根拠を得るためには質の高い臨床研究が必要です。しかし、旧来の医学系学府博士課程では、臨床研究遂行能力の養成には必ずしも積極的ではありませんでした。そこで、今回の改革プログラムでは、臨床研究教育の充実化を中心に据えました。また、それ以外にも多岐にわたる改革を予定しています。プログラムの焦点となるのは下記の五項目です。

一、 社会人医師の入学を容易に
必修科目を夜間や休日に設定し、病院勤務医に大学院で学ぶ機会を提供します。
二、 共通必修科目の新設
「研究倫理」をはじめ、研究者が必ず身につけるべき内容を必修科目として学ばせます。
三、 臨床研究専門教育システムの新設
臨床研究に関する系統的教育コースを設置し、臨床研究遂行能力を有する医師・科学者を養成します 。
四、 基礎研究者養成システムの充実化
配属先分野に任されがちだった基礎研究者教育を、関連分野間の連携を深めることにより効率化しま す。
五、 ポートフォリオによる教育評価
大学院で経験した内容を一元化した「ポートフォリオ」を学生に作成させ、学習到達度の把握と成績 評価に役立たせます。

 このような取組はいずれもユニークで、実効性が明らかとなれば、医療系大学院の新しい姿として全国に広く普及すると予想されます。

 (医学研究院教授 笹栗 俊之)


大学院生の皆さん
「人間」「社会」「地球」が見えていますか?

社会人になる前に必要です。
九大・大学院共通教育科目がスタート
 

 最近、大学院生の「専門性への偏り」や「社会性の欠如」がしばしば企業側から指摘されています。九州大学は平成十八年度後期から、大学院(学府)共通教育科目を開講します。

 目的は、「人間性」「社会性」「国際性」など社会人としての基礎力の養成で、講師は全学の教員や学外からの有識者です。研究に忙しい大学院生のために、夕方から夜の開講や集中講義、問題解決の実践型授業も導入。普段知り合うことのない他学府の院生との議論は、これからの研究や社会生活に役立つはずです。

シラバスは、「九州大学」ホームページで、→「教育」→「大学院:共通 教育」でご覧頂けます。
受講申し込みは各学府担当へ。学年(修士・博士)を問いません。
授業科目名 開講予定日 曜日・時限注1) 授業場所 単位 担当教員
知的財産特論・第1,2 10/11, 18, 25
11/15, 22, 29
12/6
水曜日
5限&6限
箱崎地区
システム生命科学府棟1階
セミナー室T
各1 湯本長伯
(産学連携センター)
大学院生に対する
人間教育・第1,2
10/18, 25
11/1, 8, 15, 22, 29
12/6, 13, 20
1/10, 17, 24, 31
2/7
水曜日
4限
筑紫地区
総合研究棟303号室および
ビスタホール多目的室
各1 上園慶子
(健康科学センター)
複合科学原論 10/26
11/2, 9, 16
木曜日
4限&5限
伊都地区
学生支援施設第12講義室
岡本秀穗
(高等教育開発推進センター)
リーダーシップ論 11/6, 7, 8
[月-水]
注2) 箱崎地区 創立50周年記念
講堂4階 大会議室
古川貞二郎
(元・内閣官房副長官)
科学研究実施論 11/18, 19
[土日]
1-4限 箱崎地区
旧工学部本館2番教室
山田耕路
(副学長・理事)
リベラルアーツ講座
「感性・こころ・倫理」
12/11, 12, 14, 18, 22
1/10, 17
(その他は決定次第告知)
17-19時の
間で全10回
アクロス福岡・円形ホール 坂口光一
(工学研究院/
ユーザーサイエンス機構)
実践プログラム科目
「KIZUKI」
11、12、1月
(決定次第告知)
金曜日1,2限
の予定
大橋サテライト・
LUNETTE(西鉄大橋駅前)
坂口光一
(工学研究院/
ユーザーサイエンス機構)
デザインと人間 11/25, 12/2
[土曜日]
注3) 大橋地区注4) 安河内朗
(芸術工学研究院)
安 全 学 1/9, 16, 23, 30 火曜日
4限&5限
箱崎地区 21世紀交流
プラザU2階・講義室2
工藤和彦
(工学研究院)
アントレプレナーシップ・
プログラム 注5)
3月 1週間 USA・
シリコンバレー
谷川徹
(知的財産本部)
(注)
1) 1限: 8:40-10:10、2限: 10:30-12:00、3限: 13:00-14:30、 4限:14:50-16:20、5限:16:40-18:10、6限:18:30−20:00。
2) 6日:15:00-16:30、7日:10:30-12:00, 13:30-15:00, 15:30 -17:00、8日:10:30-12:00, 13:30-15:00の合計6コマです。
3) 11/25日:13:00-17:50、12/2日:10:30-17:50の集中講義で す。
4) 「デザインと人間」については教室未定となっており、決定 次第お知らせします。
5) アントレプレナーシップ・プログラムは、プレ講義を含みま す。11月末に募集説明会を予定しています。
* 講義場所や日程は変更される場合があります。詳細は、 http://mail .rche.kyushu-u.ac.jp/.in-kyotsu/index.htmlでご確認ください。


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