前原市篇


◎天神まで三十分

 前原市は、福岡市の西に隣接する人口約六万八千人の市で、福岡都市圏の西の拠点都市として、目覚しく発展しています。

 福岡市営地下鉄とJR筑肥線の相互乗り入れにより、福岡市の天神、博多から乗り換えなしで約三十分。

 また、福岡都市高速と西九州自動車道との直結により、アクセスも格段に向上しています。最近では、博多、天神地区と前原を結ぶ高速バスが運行し、電車とは一味違った景色を楽しむことができます。


◎古代ロマンあふれるまち

 前原市は、中国の史書「魏志倭人伝」に記された「伊都国」があった地域として知られています。市内には伊都国の繁栄を示す遺跡が点在し、貴重な遺物が多く出土しています。

 中でも平原遺跡から出土した銅鏡「内行花文鏡」は、直径四十六.五センチ、日本一の大きさを誇り、国の重要文化財にも指定されています。

 この銅鏡をはじめ、伊都国に係わる遺物を展示するため、平成十六年十月、「伊都国歴史博物館」がオープンしました。たくさんの考古学ファンが博物館を訪れています。


◎人と自然が共生するまち

 市の面積は百四・五十平方キロメートルの広さを誇り、さまざまな風景を持っています。

 JR筑肥線や国道二〇二号沿線の市街地には、住宅やマンションが建ち並び、公共施設や商業施設が集まっています。また、学生を対象にした集合住宅が、駅を中心にして徐々に増えてきています。

 一方、その周辺部には田園風景が広がり、牧歌的な雰囲気を感じることができます。また、市の南部には、背振雷山山系が連なり、雄大な森林風景が目に飛び込んできます。

 さらに、市内で唯一、海に面する加布里湾では、空を真っ赤に染めて沈む夕日が眺望できます。


◎前原の農力に感動

 市の基幹産業は、「農業」。市街地を一歩離れると、肥沃な糸島平野から産み出される米や様々な野菜たちを見ることができます。

 中でも路地キクとイチゴは、県内でもトップクラスの生産を誇り、関東や関西方面に多く出荷されています。また、酪農や肉用牛の飼育も盛んで、「糸島ブランド」として、全国的にも知られています。

 これらの食材を産地の近くで手に入れることができるのが「産直市」です。市内十数箇所に点在し、地域の生産者たちが、自ら作った農産物に氏名を記し、新鮮で安全な食材を提供しています。

 また、都市と農村の交流を図り、グリーツーリズムを推進する拠点として、伊都国歴史博物館東側に、ファームパーク伊都国が整備され、年間をとおして様々な交流イベントなどが展開されています。 さらに、市内でただひとつの加布里漁港では、カキや花エビの養殖をはじめ、天然ハマグリの資源管理などが行われ、前原の新ブランドとして好評を得ています。


◎ゆたかな自然を満喫

 市の南部に連なる背振雷山山系。その中腹に位置する白糸地区には、落差二十四メートルを誇る「白糸の滝」があります。滝のそばには「ふれあいの里」が整備され、そうめん流し(夏場のみ)や郷土料理そうめんちりなどを満喫することができます。

 さらに、ここから登る羽金山には、西日本で唯一、標準時刻を発信する「標準時刻電波送信所」があります。

 また、雷山や井原山を中心に、自然歩道が整備され、沿道の樹木や草花、野鳥や小動物たちと触れ合いながら、気軽に登山を楽しむことができます。 中でも、井原山自然歩道沿いには、ヒガンバナ科の「オオキツネカミソリ」の群生地が広がっています。

 ここは西日本一の規模を誇り、夏の登山シーズンには、一面、オレンジ色に彩られた花を見ようと、たくさんの登山客が訪れます。

 さらに、アンノ滝や清賀の滝、水無鍾乳洞など、涼を満喫できるスポットも点在しています。


◎九州大学と共に描く夢

 市では、九州大学の移転に大きな期待と夢を持っています。特に、九州大学との連携によるまちづくりを進めるために、アクセス道路や大学周辺地域の整備など準備を進めているところです。また、地域と大学との連携や交流を強化し、開かれた大学づくりの一翼を担いたいとも考えています。

 豊かな自然と、古代ロマンあふれる前原市に、みなさんぜひ一度足を運んでください。きっと、すてきなひとときを過ごせると思いますよ。


(前原市 九州大学移転まちづくり室 大鶴 泰輔)
国指定重要文化財内行花文鏡 農産物直売所 糸島手作りハム イチゴ
伊都国歴史博物館 白糸の滝 白糸の滝そうめん流し 井原山オオキツネのカミソリ 雷山千如寺の大楓






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