志摩町篇



◎玄海にのぞむ創造と交流のまち ―志 摩―

 昭和三十年、可也・桜野・小富士・芥屋の旧四か村が合併し『志摩』が誕生して半世紀が経ちました。誕生五十周年を迎えた志摩町は、隣接する福岡市の発展、九州大学の移転、学園通線の整備、大型店舗進出の計画などもあり、大きな変革の時期を迎えています。

 志摩町は、昭和五十八年三月、当時の国鉄筑肥線の福岡市営地下鉄との相互乗り入れによって完全な福岡都市生活圏、通勤圏に入り、現在人口は一万七千人台で安定しています。長い歴史の中で育まれてきた風土を大事にし、産業における発展はもちろんですが、ゆとりや安らぎなど真の豊かさを創っていくことと交流は、志摩人の永遠のテーマです。

 これまで残されてきた海や山の豊かな自然、守り育まれてきた田園景観と志摩町ならではの暮らし方を町の共有財産として大切にしながら、都市との交流を図り、暮らしやすさが感じられる「田園居住のまちづくり」を住民の創意工夫によって進めています。


◎万葉の里 古代のロマンを求めて

 温暖で、海・山の幸に恵まれたこの地には今から約八、〇〇〇年前の縄文前期からヒトが住んでいたと推定されています。その後、約六、〇〇〇年を経た紀元前二〜三世紀頃、稲作が北九州市に伝来し、弥生時代が始まり、次第に定住者が増えていきました。

 全国的に有名な御床松原遺跡から出土した中国の紀元前二世紀〜一世紀の貴重な硬貨(貨泉と半両銭)は、この時代、朝鮮半島.中国大陸との交流があったことを物語っています。その後、約六〇〇年を経た推古天皇の時代、聖徳太子の弟、来目皇子が新羅遠征のためにこの地に駐屯。外交・防衛の要地として人の往来があり、古代史の知られざる表舞台でした。


◎思い思いのライフスタイル

 『志摩のおだやかな自然がいつも創作意欲を駆り立ててくれます』“もの”を創る。それは人間が持ち得るすばらしい能力です。陶芸や染色、木工芸など志摩町には様々な作家が創作活動を展開しておられます。

 大自然の春・夏・秋・冬それぞれの季節の空気を心身に感じながら“自由気ままに制作する”そして、使う方が納得し満足していただける作品作りが皆さんの心情です。

 志摩町に入ると、あちらこちらで工房の看板を見かけます。案内にまかせてぜひ足を運んでみては如何でしょうか。


◎人気のサンセットロード

 志摩町の夕日が「日本の夕陽一〇〇選」に認定されました。町域の七割が玄界灘に面し、年間を通じて海に沈む夕日を見ることができます。その美しさは古来から『夕日の火照るいと吉き地』(古事記)として見る人の心をとらえてきました。なかでも、夫婦岩に沈む夏至の夕日は「愛される日本の夕陽の代表格」との折り紙がつけられました。最近、海岸線にお洒落な店も建ち始め、新しいスポットとして注目を集めています。サンセット・ロード(三十三.三km)の旅をお楽しみください。


◎志摩の名物 志摩の朝市・志摩の四季

 昭和六十一年からスタートした「志摩の朝市」。毎週日曜日、午前六時〜九時(六月から九月は午前五時三十分〜九時)に志摩中央公園のプロムナードで開かれています。活魚や季節の野菜をはじめ、志摩の新鮮な特産物が安く買えるとあって毎回たくさんの来場者があります。朝市のブームをつくった志摩の朝市は、遠来の固定客も多く好評をいただいています。

 役場南側にある志摩物産直売所『志摩の四季』は、観光案内所を併設し、観光情報の提供・発信の拠点となっています。豊かな自然に恵まれた志摩町で、丹精込めて作られた陶芸品や収穫された農産物、近海でとれた海産物等、特産品をまとまった形で産地直売を行っています。委託販売方式により、生産者と消費者のふれあいの場ともなっています。


◎志摩へのアクセス

 福岡市内から西へ車で四十分〜五十分が目安。

 古代から大陸との交流があり、その文化の影響を受けた土地柄に、素朴でおおらかな気風が息づいている町、志摩。

 町の中央には美しい可也山(筑紫富士)。玄界灘に面した海岸は、玄海国定公園に指定され、「桜井二見ヶ浦」(県指定名勝)や「芥屋の大門」(国指定天然記念物)の景観は、悠久の時と荒波が作りあげたダイナミックで迫力のある町のシンボルです。また、「幣の浜」(白砂青松一〇〇選)の白い砂浜と青い海とのコントラストはため息がでる程の美しさで、サイクリングやドライブコースとしても人気です。

 海水浴場やゴルフ場も整い、パラグライダーやサーフィンなどのマリンスポーツ、釣りを楽しむ人たちが町外からたくさん訪れています。


◆交通のご案内

■交通機関をご利用の方
【地下鉄】博多駅から地下鉄経由筑肥線JR「筑前前原」
■お車をご利用の方
福岡方面からお越しの場合は、国道202号線、今宿交差点から


志摩町のシンボル可也山(筑紫富士) 夕日の二見ヶ浦海岸から始まるサンセットロード 毎週日曜日開催の『志摩の朝市』

海の幸 映画『ここに、幸あり』の舞台となった姫島 志摩の自然が創作意欲を駆り立てる様々な作家が創作活動を展開中
町のシンボル 芥屋の大門 NHK大河ドラマ「北条時宗」の元寇ロケ地にもなった幣の浜 年中若者で賑わう海岸線



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