国際交流 6

ライス大学での留学生活

文学部英文学科 四回生 細川 明子

 九州大学は、世界の多くの一流大学と交換留学の協定を結んでおり、毎年多くの学生が、授業料不徴収と単位互換を原則とした留学を体験しています。アメリカ合衆国の中でも、授業料に対して得られるものの価値が最も高いと言われているRice Universityに交換留学生として一年間滞在した細川さんが、アメリカでの学生生活を紹介します。

初代学長の名がつけられたLovett Hallは、1911年に造られたライス大学で最も歴史ある建物。

 ライス大学と聞くと、"Rice University"=「お米大学」なのかと思いますが、そうではありません。大学の創立者であるWilliam Marsh Riceの名前にちなんでライス大学と名づけられました。実業家として成功したMr. Riceの死後、彼の財産は大学創設のために寄付されました。留学前は私自身も大学の名前の由来を知らず、ライス大学は"Bread University"という姉妹校を持っているなどと、日本の友達に冗談を言っていました。

 ライス大学で初めての授業が行われたのは一九一二年。当時の学生数は男性四十八名、女性二十九名の計七十七名でした。一九六五年まで授業料は徴収されておらず、現在でも、他のアメリカの私立大学に比べ授業料は安いです。そのため優秀な学生が多く、ライス大学は全米でもかなり高い評価を得ています。

 ライス大学はアメリカ・テキサス州のヒューストンにあります。テキサス州の面積はアラスカ州に次ぐアメリカ第二位の大きさを誇り、なんと日本の一・八倍もあります。ヒューストンは全米四位の人口百九十五万人の大都市であり、NASAジョンソン宇宙センターがあることでも有名です。ヒューストンは千葉市と姉妹都市(一九七二年締結)で、市内のハーマン公園の一角には日本庭園が開園されています。

ヒューストンのNASA宇宙センター

 三分の二の学生は大学内にある九つの寮に住んでいます。二〇〇二年の一月に新しい寮がオープンしたことによって八十パーセントの学生が寮に住むことができるようになりました。九つそれぞれの寮ごとにそれぞれ特徴があります。寮同士お互い対抗意識を持っており、寮対抗のスポーツ大会を初め多くの行事が行われています。自分の寮に対する愛寮心も高く、行事ごとに作られる寮のTシャツを着ている学生が多いのです。私も寮のTシャツを五枚ほど持っています。

 日本では珍しい行事として、ブラインドデート(ルームメートがデートのセッティングをします)、年二回あるフォーマルダンスパーティー(秋学期は女性が男性を、春学期は男性が女性を誘うルールになっています)などがあります。とにかく行事が常にあり、盛りだくさんの留学生活を送れるのは間違いありません。

Hanszen寮の4人部屋にあるリビングルーム
Culture Fairで日本の文化を紹介(中央が筆者)
ライス大学のシンボルのふくろう

 寮では食事も完備されていますが、寮に備えられているキッチンで料理をすることもできます。ヒューストンは日本料理店がたくさんあり、日本食に困ることはありません。ただ、寮の食事は食べ放題ですので、太る心配があります。その点は注意してください。

 ライス大学は本当にきれいな大学で緑も多く、まるで公園の中に大学があるみたいです。大学内は大変静かで、大都市のヒューストンにいることを忘れてしまいそうです。みなさんは、リスが大学内を歩いているところを想像できますか?大学の近くにはハーマン公園を始め、美術館、博物館、動物園もすべて歩いて行ける距離にあります。入場料が無料の日もあるので、その日に行くことをお勧めします。

 大学内の施設もかなり充実しており、どんな学生も満足できるでしょう。例えば、

  1. 勉強したい方 ― 図書館は二十四時間開いていますので、時間を気にせずいつまでも勉強できます。もちろん冷暖房完備です。
  2. 運動したい方 ― 運動部が二十六、サークルが十九あります。体育館では道具を初め運動服とタオルも借りられます。多くの学生がジョギングしたり、プールで泳いだり、スポーツを楽しんでいます。誰でも気軽に運動ができます。
  3. 遊びたい方(?)― 大学内に二つパブがあり、一杯七十五セントでビールが飲めます。テキサス州でパブが大学内にあるのはライス大学だけだそうです。

 このように、ライス大学に留学すると、特典がいっぱいです。他にもライス大学にはアメリカでトップクラスの音楽学校があるので、無料でオーケストラの演奏を聴くことができます。大学内にある劇場や寮の食堂で、プロによる劇から学生による劇までお手ごろな値段で見ることができます。また、学部生が二千七百人と小さな大学ですので、寮での交流や授業を通して友達は作りやすいと思います。ライス大学では、日本語を学ぶ学生は週に一度一時間、ネイティブ並みの人と会話をしなければなりません。私は秋学期と春学期にその日本語のテューターをしました。単位として認められた上に、日本語を違った視点で考えることもできる貴重な体験になりました。

 ライス大学は魅力あふれる大学ですから、これから留学なさるみなさんにとっても、ライス大学の一年は貴重な経験になることでしょう。ライス大学のよいところをもっと書きたいのですが、残念ながら紙面が足りません。詳しくはライス大学のホームページをチェックしてみてください。 http://www.rice.edu

(ほそかわ あきこ)

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