特集/世界で躍動する九州大学
シリコンバレー、
て聞いて感動して

QREP参加者全員集合

“九州大学−ロバート・ファン−アントレプレナーシッププログラム”の魅力

知的財産本部副本部長・教授  谷川徹(たにがわとおる)


 平成十八年三月、九州大学知的財産本部は、本学の学生に対する起業家精神(チャレンジ精神等)、国際性涵養等を目的とした教育プログラム(九州大学―ロバート・ファン―アントレプレナーシッププログラム:略称QREP)を、起業家精神、移民文化、国際的ハイテクベンチャービジネスのメッカである米国カリフォルニア州のシリコンバレーにおいて実施しました。このプログラムは、本学を三十八年前に卒業し米国で大成功をおさめた、元台湾人留学生Mr. Robert Huang(ロバート・ファン氏)の寄付金を核とした、「九州大学カリフォルニア基金」の支援を受けて企画・実施されたものです。
 この試みは、三十数人の応募者から選抜された本学の学生二十人(理系、文系の学部一年生から修士二年生までの男女。含社会人学生)の参加を得て、本年二―三月に第一回が実施されました。二月末の事前講義に始まり、三月中旬の一週間にわたる現地カリキュラム(二十二コマ)、そして帰国後四日目の学外での成果発表会、と短期間にもかかわらず大変密度の濃いプログラムでしたが、ボランティアで協力していただいた四十人を超す現地現役ビジネスマン等の講師陣の熱意溢れる講義や、現地九大カリフォルニアオフィス・スタッフの献身的なサポートにより、予想を遙かに上回る大きな成果を上げることができました。
 このプログラムの特色は、米国のシリコンバレーという起業家精神に溢れる地において、一流起業家やエンジニア等との意見交換や同世代の大学生(スタンフォード大の日本人留学生や米国人学生等)との交流、ハイテク企業や移民地区訪問等、日本の大学では決して経験出来ないリアルな体験をする事により、学生が自らのキャリア形成を考え、また海外留学を含めた新たな事にチャレンジする意欲・意識を高めるきっかけを作る事にあります。

ヤフーにて

現役ビジネスマン講師の講義に聞き入る受講生

 現実のビジネスの世界で活躍する講師陣や同世代の米国学生達との活発な意見交換、二十人の仲間や同行教員達との深夜にまで及ぶ議論、初めて触れるシリコンバレービジネスのダイナミズム等は、参加した学生達の心を大きく揺さぶり、帰国後の彼等は口々に、「今までに受けたどんな講義よりも充実していた」、「将来のことを真剣に考えるきっかけになった」、「目から鱗が落ちる事ばかりだった」等の感想を興奮の面持ちで述べています。

このプログラムは今年度も実施される予定です。皆さんの積極的な応募をお待ちします。

第一回QREP(平成十八年/二―三月実施)
参加者の声
これからの自分の生き方や、将来の選択について真剣に考える機会を頂き心から感謝しています。躍動感あふれるシリコンバレーを耳で聞き、肌で感じることができたこの体験は自分の中で生涯大切な宝物になると思います。(農学部一年生 男)

今までに大学で受けたどの講義よりも充実した密度の濃いものでした。今回のツアーは自分の人生において非常に意味深いものとなりました。今回のツアーの講師の方々の生の言葉は一言一言がとても重く、もし全く同じ内容をビデオで見たり本で読んだりしても、同じ感動を受けることは決してなかったでしょう。(二十一世紀プログラム一年生 男)

百聞は一見にしかずとはよく言ったもので現地で目が覚めました。あんなに充実した内容の濃い一週間は初めてでした。ずっと興奮しっぱなしでした。(芸術工学部二年生 男)

このツアーに参加するまでは、失敗したときのことばっかり気にしていた私だが、たくさんの前向きな人やカリフォルニアの風土に触れ、私も前向きでポジティブな考え方をしようと思うようになった。(経済学部二年生 女)

今回のプログラムでは「年齢と関係なくチャレンジする」という言葉に最も感銘を受けた。また社会で活躍したければ、自ら刺激のある環境に身を置き、常に自分の能力を高めていく努力をして自己の市場価値を高める必要があると痛感した。(農学部三年生 男)

シリコンバレーで感じたこの熱い思い、感動を他の人たちとも共有していけるよう、どんどん行動を起こしていこうと思います。(農学部四年生 男)

「世界中に存在するライバルを考え、世界一を目指して挑戦すること」、「今の自分に安住せず視野を世界に広げること」との講師の言葉に強い衝撃を受けました。環境に慣れて油断してしまう自分の姿を恥ずかしく思いました。講師の方々のメッセージからエネルギーを頂き新たな目標を立てそれに挑戦することを決めました。(工学部四年生 男)

シリコンバレーの一週間ではいろんな意味でショックを受け一時自己嫌悪に陥りました。でも自分自身のこと将来のことなどをじっくり考え直す機会になりました。こんな機会をくださったことに本当に感謝です。(工学部四年生 女)

私にとって予想をはるかに上回る影響があった。シリコンバレー滞在中は世界に大きく扉を開いているような雰囲気をずっと感じていた。高い山で外の世界がよく見通せる気分だった。(工学府修士一年生 男)

このシリコンバレーツアーは私にとって衝撃だった。極めて密度の濃い内容で、一秒たりとも無駄にできないという思いだった。(工学府修士二年生 男)

今回の体験は人生の転機になる事と思います。シリコンバレーの状況を見る事でより広い視野で物事を考える事が出来るようになりました。(理学府修士二年生 男)

異なる環境に身を置き、今まで考えた事の無い様なキャリアの方々と話す事が、こんなに刺激に溢れ勉強になるとは思ってもいませんでした。(農学府修士二年生 女)

このプログラムに参加して学んだことは、強い信念を持つこととその信念を具体化するために一歩を踏み出す勇気を持つことです。(ビジネススクール一年生 男)

スタンフォード大学を望む スタンフォード大学生とのディスカッション

講師との活発な意見交換

グーグルやアップルのエンジニア(左の3名)とのパネルディスカッション

左から2人目は本プログラムを企画し引率した谷川教授(筆者)。 ロバート・ファン氏(左から3人目)と九大カリフォルニア・オフ ィスの松尾所長(同4人目)を囲んで。(クロージング・レセプションにて)

プログラムの概要(下記は十七年度実績で今後多少変更の可能性があります)
目標:起業家精神(チャレンジ精神等)や国際性涵養、大学で学ぶ意味・意義の理解等
主要カリキュラム
事前講習:(三日間)
現地プログラム:一週間
総括講習:半日
◎日本人留学生とのパネル討議やスタンフォード大の日本ビジネスクラス参加
◎研究経営論講義(大学技術の実用化、共同研究等を手がける研究者や企業関係者、ベンチャーキャピタリスト等との意見交換)
◎現地一流企業エンジニア等のパネル討議(職業観、米国で働く意義、渡米動機等)
◎起業関連基礎講義(資金調達論、法務対策論、知財論、人材調達論、マーケティング論等を現地弁護士、ヘッドハンター、ベンチャーキャピタリスト等から講義)
◎起業手法、起業家精神講義(現地のベンチャー企業創始者、幹部等を訪問し、起業の動機、現在までの困難と課題克服方法、成長の要因等につき意見聴取)
◎Yahoo, Applied Material等シリコンバレー大企業訪問
◎スタンフォード大学訪問(アジア太平洋研究センター、BioXプロジェクト等)
◎シリコンバレーハイテク企業街、移民街等訪問、その他
実施場所
現地プログラム:シリコンバレー
事前講習/総括講習:福岡市内
実施時期:十八年度の日程は近日中に決定します。
受講対象者:全学の学部生、修士課程生、博士課程生対象、募集人数は二十人を限度
選考方法:レポートと面接にて選考します。
単位認定:二単位(予定)
授業での積極性とレポート等にて評価します。
現地サポート体制:本学教職員が同行、共催の九大シリコンバレーオフィスもサポート。
費用:参加者個人負担=総額十五万円/人程度:十七年度実績(渡航費と宿泊費)食事代別


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