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“ “水素と“燃料電池”が次世代の暮らしを支え持続可能な社会を創る!“ “水素と“燃料電池”が次世代の暮らしを支え持続可能な社会を創る! エネルギー研究教育機構 工学府水素エネルギーシステム専攻先進水素システム研究室 教授(Ph.D)林 灯

エネルギー研究教育機構 工学府水素エネルギーシステム専攻先進水素システム研究室 教授(Ph.D)

林 灯

世界的に有効な次世代エネルギーとして注目を浴び、かつ九州大学が大学をあげて研究に取り組む“水素エネルギー”。グローバル志向で、米大学にてPh.Dを取得、世界を股にかけての学びと経験を基に日本での社会貢献を追求していく燃料電池における女性研究者。1児の母でもある。

世界的に有効な次世代エネルギーとして注目を浴び、かつ九州大学が大学をあげて研究に取り組む“水素エネルギー”。グローバル志向で、米大学にてPh.Dを取得、世界を股にかけての学びと経験を基に日本での社会貢献を追求していく燃料電池における女性研究者。1児の母でもある。

プロフィール

大阪府出身。子どもの頃から英語好きで、幼稚園の頃から英語を学び始める。英語を究めたい!と、私立城星学園高校卒業後、単身で米・カリフォルニアへ渡るが、入学後に専攻したのは以前から興味のあった化学。電気化学を主に現象反応を研究。アカデミックな学びを追求する大学の姿勢に感銘を受け、1997年米Sonoma State Universityで学士号(化学)、2001年米カリフォルニア大学デービス校でPh.D.(化学)取得。8年間の学びを経て帰国後、2002年株式会社豊田中央研究所客員研究員、2005年物質・材料研究機構ポスドク研究員、2006年産業技術総合研究所固体高分子形燃料電池先端基盤研究センター研究員にて、水素燃料電池の研究を始める。2010年名古屋工業大学若手研究イノベータ養成センターテニュアトラック助教を経て、2011年九州大学水素エネルギー国際研究センター准教授、2015年より同教授、2017年より現職。水素エネルギーの普及に向けた研究教育や、高校生に向けての模擬講義など、学外への教育分野にも積極的に参画する。

何を研究してるの?

話しやすく気さくな雰囲気で応じてくれた林先生。“距離が近い教授”として学生からも慕われているそうだ。大阪出身だが大阪弁が全く出ないのは「留学時代に自然と標準語に矯正された」からだとか。

水素エネルギー技術を「視て、聴いて、体験する」をコンセプトに作られた「水素社会ショールーム」。各自動車メーカーの燃料電池車やエネファームを見比べられるほか、水素充填の模擬体験ができるディスペンサー、2030年頃の水素エネルギー社会の街のジオラマ模型などを展示。

高校生や一般の方向けに講義を行うことも。写真は高校生に「水素エネルギー」の概要を説明している様子。

話しやすく気さくな雰囲気で応じてくれた林先生。“距離が近い教授”として学生からも慕われているそうだ。大阪出身だが大阪弁が全く出ないのは「留学時代に自然と標準語に矯正された」からだとか。

“燃料電池”は、「二酸化炭素(CO2)を排出しない」「化学エネルギーを直接電気に変換できるために効率が良い」という点で大変注目されています。「燃料電池」とは水素と酸素から電気をつくるデバイスで、このデバイスから生まれたエネルギーを「水素エネルギー」と呼んでいて、日本は世界のカーボンフリー化を目指してこの分野に積極的に取り組んでいます。

水素エネルギー技術を「視て、聴いて、体験する」をコンセプトに作られた「水素社会ショールーム」。各自動車メーカーの燃料電池車やエネファームを見比べられるほか、水素充填の模擬体験ができるディスペンサー、2030年頃の水素エネルギー社会の街のジオラマ模型などを展示。

みなさんにとって、水素エネルギーはあまり身近なものではないかもしれませんね。でも実は国や企業、大学によって、実用化に向けた様々な商品開発が行われています。 例えば燃料電池自動車。座席の下やボンネットに燃料電池と高圧水素タンクを備えた車で、TOYOTAからは2014年12月に“MIRAI”が発表され、現在ではアメリカでも市販されています。ほかにも、HONDAからは燃料電池自動車 “CLARITY”が発売、東京では2017年から都バスで燃料電池バスによる運行が開始され、現在5台のバスが走っており、長崎では燃料電池船の開発も実証試験段階までに至り、水素ステーションは全国で112か所で運用(2019年12月時点)されるなど、水素エネルギーの展開はめざましい状況です。特に福岡市では2015年3月から“水素リーダー都市”を掲示するなど、水素エネルギーの将来性にいち早く注目、今まで以上に水素エネルギーが身近な存在になっていくことでしょう。

高校生や一般の方向けに講義を行うことも。写真は高校生に「水素エネルギー」の概要を説明している様子。

一言で「燃料電池」「水素エネルギー」といっても、様々な分野での研究や沢山の人たちの日々の実験の積み重ねが必要です。九大の水素エネルギー教育研究拠点では、燃料電池の材料を研究するチーム、燃料電池のシステム全体を研究するチーム、エネルギーの効率的な貯蔵法を研究するチームなどで、たくさんの研究メンバーが協力し合って日々研究を進めています。

私の担当分野は燃料電池の性能を決定する電極(電極触媒)です。電極触媒は、燃料電池の水素と酸素の反応を助けるために使われるもので、性能や劣化メカニズムを調べ、研究、実証、実用化に向けた提案をしています。ナノメートル(10億分の1メートル)単位の世界での実験の積み重ねが必要なので、すぐに身の回りで実感できるものではありません。しかし、私の研究は、確実に訪れる水素社会実現の礎を築き、最終的には社会に貢献するものだと信じています。大学と企業と共同体制で研究に邁進していきたいと思っています。

備考:経済産業省HPで水素エネルギーの詳しい説明が掲載されています。
(リンク:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/hydrogen/

研究科目の「魅力」はココ!研究科目の「魅力」はココ!

社会に直結し、活用され、貢献できている実感がある!社会に直結し、活用され、貢献できている実感がある!

私にとって大事なことは“何か意味を持って取り組む”こと。研究テーマに“燃料電池”を選んだのも、心の奥底に「何かの役に立ちたい」という気持ちがあったのだと思います。水素を使った燃料電池は、国をあげて研究がされているため、日本経済を率いる大企業と協業して研究する機会が多くあります。大学は0から1を生み出す場ですが、1から100にしていくのは企業や地域社会です。自分の研究が表にでることは多くありませんが、企業からのさまざまなリクエストに応えていくことが産業の流れを変化させることもあるため、社会への影響力を実感します。また関わる企業も、ガス会社、電力会社などのエネルギー関連のみならず、自動車会社などのメーカー系もあるため、さまざまな分野に展開できる面白さがありますね。

九大での学びについてひとこと!九大での学びについてひとこと!

伊都キャンパスには世界最大規模の施設が完備されているので、学びの環境としては間違いなく世界トップレベルにあります。また数々の企業やマサチューセッツ工科大学(MIT)やスイス連邦工科大学(ETH)など、世界トップの研究者も在籍し、インターナショナルな環境でともにチームを組んでさまざまな研究に取り組んでいます。そこで何を課題として、何をするのかを見つけるかは自分次第。恵まれている環境を自覚して、どう使うかを、自分で考えてください。その考えで大きくキャンパスライフは変わると思います。

DAILY SCHEDULEDAILY SCHEDULE


OFFの1コマ

海が大好きな林先生。子供が生まれる前は世界中のリゾートでスキューバダイビングを楽しむアクティブ派だったそう。お子さんが生まれてからは家族3人で出かけることがほとんどで、お子さんが生まれて3カ月後のGWには沖縄旅行へ行ったんだとか!「同業の主人も理解があって助かっています」とノロケる林先生…。仲睦まじい様子で素敵!

海が大好きな林先生。子供が生まれる前は世界中のリゾートでスキューバダイビングを楽しむアクティブ派だったそう。お子さんが生まれてからは家族3人で出かけることがほとんどで、お子さんが生まれて3カ月後のGWには沖縄旅行へ行ったんだとか!「同業の主人も理解があって助かっています」とノロケる林先生…。仲睦まじい様子で素敵!

先生の必須アイテムはコレ!

フリクションボールの消えるペン(赤・青)

忘れたらすぐに買いに行くほど、毎日使う必須アイテム。学生の論文添削に使用し、赤は校正用、青は文章の推敲のための指示用。

手帳

予定はスマホではなく手帳で管理し、常に持ち歩いている林先生。決まったサイズ、デザインのものではなく、毎年大好きな赤・ピンク色のものをチョイス。最近は持ち歩きやすさ重視でマンスリーのみのA5サイズの薄めな手帳を利用。忘れたら一日のテンションが下がるほど頼りにしているそう。書き込むときのペンはユニボールのシグノ(青)0.38mm。

ピンク色の小物・グッズ

「気分が上がるから大好き!」という林先生の研究室にはピンク色の小物とグッズでいっぱい。クッションやブランケットなど身近なアイテムはもちろん、なんと台車もショッキングピンク!

学生へのメッセージ

学生時代に乗り越えた壁が、
その後の自分を支える柱となる。

私はアメリカのPh.Dコース時代、人生最大の難関に立ち向かいました。Ph.Dコースは日本でいう博士課程で4年制なのですが、2年生の時点で「Qualifying exam(博士課程研究基礎力試験)」という非常に難しいテストを受けます。合格者はPh.Dコースを継続でき学位取得を目指せますが、不合格者は再テストの機会すら与えられず、修士課程に切り替えるか、学校を辞めるかを決断しなければなりません。「自分は受かるのだろうか」と不安の中、リタイアしていく仲間もいて、積み重なるプレッシャーでひどく辛い時代でした。結果的には無事Ph.Dを取得でき、この勝負に勝ったことが今の自分を支えてくれていると感じることが多いのです。

そんな経験から、私はみなさんにはいつも厳しい気持ちをもって、勉強や研究にのぞんでほしいと思っています。仕方のないことかもしれませんが、学生と話すと「就職のための研究」という感覚が強いように感じますね。大学の4年間は社会に出るまでの貴重な期間なので、最初からゴールを決めずに大学の環境を最大限に活用して、学びや研究を楽しんで突きつめてほしい。一方で、学問を楽しめる環境を整えることも私たち教員の使命だと思います。
目の前にある課題に集中して本気で取り組んでください。そして何も恐れずに、経験を積み重ねてください。人生で乗り越えられない壁はきっとありませんから!今何をすべきか、常に課題を持って行動してほしいと思っています。楽しい未来を信じて、振り返らずに前だけを見て、一歩一歩踏み出して!

取材日(2020.1)

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