NEWS

研究成果

公開日:2017.11.10

日本における最近のPM2.5大気汚染の減少傾向を解明
~今後の継続的な大気環境改善に期待~

研究成果 工学

 中国北京周辺での高濃度大気汚染が大々的に報道された2013年1月以降、中国大陸からの越境輸送などによる国境を超えた高濃度汚染の影響が危惧され、なかでもPM2.5による大気汚染は大きな環境問題となっています。わが国では2009年にPM2.5に対する大気環境基準(年平均値15μg m-3以下かつ日平均値35μg m-3以下)が設定され、現在は1000カ所以上でPM2.5の常時監視が実施されるなど、汚染状況の把握が進められています。日本国内では、2014年から2016年にかけて年平均PM2.5濃度は全国的に減少し、環境基準達成率も一般環境測定局で2014年の37.8%から2016年には約88%と大幅に改善されています。この理由を、九州大学応用力学研究所の鵜野伊津志教授らの研究グループは、中国での排出量・濃度の減少と化学輸送モデルによるソース・リセプター解析を使って調べました。中国の地上のPM2.5濃度や衛星計測SO2、NO2濃度は年率約10%で減少し、これは排出量の減少によると考えられます。ソース・リセプター解析の結果は、中国での濃度が20%低下した場合、福岡のPM2.5年平均濃度は約12%減少することを示しており、これは2014–2016年にかけての福岡市で観測された減少量 (約10%) に相当しています。中国でこの排出減少率が継続すると、1−2年の内にPM2.5年平均基準を満たす地点が増加し、日本国内でのPM2.5高濃度越境問題は急速に改善に向かうと考えられます。
 本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業基盤研究(S)(JP25220101))の支援を受けました。本研究成果は、2017年11月10日(金)発行の大気環境学会誌第52巻第6号に掲載されました。

(参考図)
(a) 2013-2016年度の4年間平均のPM2.5濃度分布。
(b)-(e)各年度平均PM2.5濃度から(a)の4年平均値を差し引いた濃度。濃度の減少が2015年度以降に全国的にほぼ同程度の大きさで生じていることが判る。図中の数字は日平均PM2.5濃度が35µg/m3を超過した日数。

研究に関するお問い合わせ先

応用力学研究所 鵜野 伊津志 教授

このページの一番上に戻るこのページの一番上に戻る