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日本産ドジョウ類全35種類の3Dモデルをオンライン公開 -デジタル化により標本の形態を半永久的に劣化なく保存することが可能に-

2018.07.17
研究成果Life & HealthPhysics & Chemistry

 九州大学持続可能な社会のための決断科学センターの鹿野雄一准教授らは、福岡県保健環境研究所、山階鳥類研究所、三重県総合博物館、滋賀県立琵琶湖博物館と共同で調査研究を行い、日本産のドジョウ類全35種類について、各標本をCTスキャンし、その3Dモデルをオンライン公開しました。中には既に絶滅したジンダイドジョウ(三重県総合博物館所蔵)やヨドコガタスジシマドジョウ(大阪市立自然史博物館所蔵)の貴重な標本、また、種を命名する際に登録された模式標本なども含まれます。
 日本においてドジョウの仲間は食用としてよく知られる「ドジョウ」の他に、未記載種や国外外来種を含め35種類が現在までに知られています。これらのドジョウ類は多様な水環境において多様な形態に進化しました。このような進化の仕組みを解明する上では、近年普及した遺伝子研究だけではなく、原点に立ち戻って形態からのアプローチも必須です。本研究がそのドジョウ類の進化の謎を解明する上で役立てられていくことが期待されます。
 一方、日本の水環境は水棲生物にとって悪化の一途をたどっており、ドジョウ類においても例外ではありません。先日公表された環境省レッドリスト2018では、かつて身近な魚であった「ドジョウ」が準絶滅危惧に選定されたことが話題になりました。日本各地で多くのドジョウ類が絶滅に瀕しており、中には既に絶滅した種もいます。生物標本はたとえ標本庫等に丁寧に保存されていても、年々劣化します。デジタル化することでその標本の形態を半永久的に劣化なく保存するとともに、オンラインで広く公開することには学術的にも大きな意味があるでしょう。
 本研究成果は、7月9日付けの国際誌『Biodiversity Data Journal』にオンライン掲載されました。
 3DモデルやオリジナルのCTスキャンデータはhttp://ffish.asia/?qcode=loachesOfJapan3Dから自由に閲覧できます。

《参考図》
(写真上)絶滅したジンダイドジョウ(三重県総合博物館所蔵)の骨格の3Dモデル。
(写真下)天然記念物アユモドキ(琵琶湖博物館所蔵)のCTスキャンデータ。興味のある方はオリジナルCTデータをダウンロードして、より詳細に閲覧することも可能。

研究者からひとこと

多くの生物標本は、誰の目にも触れることなく博物館に眠っています。生物標本の3Dモデルを誰にでも閲覧できるよう公開することで、その価値や意味が広く一般に浸透するとともに生物多様性への関心が高まることを願っています。
ジンダイドジョウやヨドコガタスジシマドジョウは既に絶滅したとされていますが、デジタル化することにより少なくとも形態だけでも後世に半永久的に引き継ぎたいと考えています。

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