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研究成果

公開日:2019.05.13

海洋堆積物コアから解明された最終氷期における短期間の氷床変動

研究成果 理学

 国立極地研究所(所長:中村(なかむら)卓司(たくじ))の石(いし)輪(わ)健樹(たけしげ)特任研究員(研究当時所属:東京大学大学院理学系研究科)、東京大学大気海洋研究所(所長:河村(かわむら)知彦(ともひこ))の横山(よこやま)祐(ゆう)典(すけ)教授らの研究グループは、「白鳳(はくほう)丸(まる)(図1、左上)」の2011年の航海において北西オーストラリアで採取された海洋堆積物コア試料(図1、右)を用いて、最終氷期最盛期(約2万年前)を含む2万9千年前から1万4千年前における海面および氷床の変動を解明しました。その結果、この期間の大陸氷床の拡大は、これまで考えられていたような単調な1段階の拡大ではなく、短期間の急激な拡大が2度にわたり起こることで生じていたことが明らかとなりました。
 研究グループは、海洋堆積物コア試料を用いて約100点もの詳細な年代決定を行うとともに、堆積物の分析を組み合わせて当時の水深を推定し、北西オーストラリアにおける海面変動史を復元しました。さらにその結果を用いて、全球的な海面低下が、段階的な氷床拡大により引き起こされたことを示しました。これは、最終氷期においても大陸氷床が短期間で急激に変動した可能性を示唆します。本研究結果は海面変化の予測をはじめとする将来の気候変動予測のモデル精度向上に対して、大きな貢献が期待されます。
 この成果は、Scientific Reports誌に2019年5月10日付で掲載されました。

図1:(左上)本研究の試料を採取した白鳳丸。撮影:東京大学 横山祐典教授。(左下)東京大学大気海洋研究所のシングルステージ加速器質量分析装置。撮影:東京大学 宮入陽介特任研究員。(右)本研究で利用した海洋堆積物コア試料の一例。

図2: 本研究対象地域である北西オーストラリア・ボナパルト湾の位置。旧氷床域である北米やグリーンランド、南極から離れている。

図3: ボナパルト湾から復元された海洋酸素同位体ステージ2における海面変動史。

研究に関するお問い合わせ先

上原 克人 応用力学研究所  助教

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