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研究成果

公開日:2017.06.02

アスパラガス茎枯病の抵抗性に関与する遺伝子群を特定
日本固有種ハマタマボウキを用いた世界初の茎枯病抵抗性品種育成が期待される

研究成果 農学

東北大学大学院生命科学研究科の菅野明准教授のグループは、農研機構の浦上敦子ユニット長、松尾哲主任研究員、香川県農業試験場の池内隆夫主席研究員、森充隆主席研究員、村上恭子主席研究員、九州大学大学院農学研究院の尾崎行生准教授、九州大学熱帯農学研究センターの松元賢准教授との共同研究により、茎枯病感受性の食用アスパラガスと茎枯病抵抗性を有する近縁野生種ハマタマボウキを用いて、茎枯病菌感染によって遺伝子発現が誘導される遺伝子群を網羅的に解析することにより、茎枯病抵抗性に関わる遺伝子群を特定しました。
本研究成果は、2017年6月1日付で国際科学雑誌Scientific Reports電子版に掲載されました。本研究は、農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業のサポートを受けて行われました。

アスパラガス茎枯病は、西南暖地の露地産地を壊滅状態に追い込んだ難防除病害です。食用アスパラガスには茎枯病抵抗性の品種がなく、現在は薬剤防除に頼っている状況です。一方、食用アスパラガスの近縁種には日本固有種であるハマタマボウキ(図1)があり、近年このハマタマボウキが茎枯病抵抗性を有することがわかりました(図2)。このハマタマボウキは食用アスパラガスと交雑できるため、食用アスパラガスに茎枯病抵抗性を付与する研究が進んでいます。
 本研究では、茎枯病菌感染によって発現が誘導される遺伝子群を食用アスパラガスとハマタマボウキとで網羅的に比較解析することにより、ハマタマボウキが有する茎枯病抵抗性に関与すると考えられる遺伝子群の特定を試みました。その結果、茎枯病菌感染によって発現誘導される遺伝子として1,027個が特定され、そのうち515がハマタマボウキ特異的、352が食用アスパラガス特異的、残りの160が両種で共通に発現が誘導されることが分かりました。ハマタマボウキで顕著に発現誘導が見られた遺伝子には、耐病性に関わるperoxidase 4(ペルオキシダーゼ4)*3遺伝子やchitinase-6(キチナーゼ6)*4遺伝子などがありました(図3)。

図1 ハマタマボウキ

図2 茎枯病菌接種前後の食用アスパラガスとハマタマボウキ

図3 食用アスパラガスとハマタマボウキにおいて茎枯病菌感染24時間後に発現が誘導される遺伝子群のリアルタイムPCR法による遺伝子発現比較解析
AOC:食用アスパラガス茎枯病菌未接種(コントロール)、AOI:食用アスパラガス茎枯病菌接種、AKC:ハマタマボウキ茎枯病菌未接種(コントロール)、AKI:ハマタマボウキ茎枯病菌接種

研究者からひとこと

本研究成果はアスパラガス茎枯病抵抗性の分子機構の解明につながるとともに、茎枯病抵抗性品種作出に用いる抵抗性選抜マーカーの開発につながることが期待されます。アスパラガスで茎枯病抵抗性品種が育成できれば、西南暖地での露地栽培が可能になるだけでなく、現在行われている殺菌剤の散布回数を大幅に減らすことができ、国産アスパラガスの生産コストと生産労力を劇的に削減できます。

研究に関するお問い合わせ先

農学研究院 准教授 尾崎 行生
熱帯農学研究センター 准教授 松元賢
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