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研究成果

公開日:2017.06.12

スピン波の新たな分光法を開発
~スピントロニクスの発展貢献に期待~

研究成果 理学

 東北大学材料科学高等研究所(AIMR)の橋本佑介特任助教、齊藤英治教授(兼 金属材料研究所)の研究グループは九州大学大学院理学研究院の佐藤琢哉准教授らと共同で、静磁波の分散関係を簡便に決定する「新しいスピン波の分光法」を開発しました。従来の原子炉を必要とする中性子線や、複雑な検出系が必要な光学手法と異なり、本手法は実験室レベルで実現可能な測定システムを実現します。このシステムによって、スピントロニクス注1に利用される様々な物質におけるスピン波の性質を簡便に測定することが可能になりました。
 今回新たに開発した分光法では、高速時間分解磁気イメージングの技術を応用してサブナノ秒の波の変化を電気的に検出して分光すること(フーリエ変換法)に成功しました。この測定手法を用いて、典型的な磁性材料であるLu2.3Bi0.7Fe4.2Ga0.8O12のスピン波を観測したところ、理論的に予想されていた静磁波領域の分散関係がはっきりと確認されました。これにより、実験室レベルで実現可能な静磁波の分光が実現されました。今後このシステムは、様々な物質におけるスピン波の性質を簡便に調べることを可能とし、スピントロニクスの発展に貢献すると期待されます。
 本研究成果は、2017年6月12日18時(日本時間)に英国科学誌「Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)」のオンライン版で公開されました。

図1:実験セットアップの模式図

図2:測定されたスピン波の伝搬の様子

図3:測定されたスピン波の分散関係

研究者からひとこと

SWaTの実現により、様々な磁性体材料における静磁波の分散関係を、実験室レベルで測定できるようになりました。静磁波の分散関係には物質固有の材料特性(磁気異方性や飽和磁化)や、試料形状の特性(形状磁気異方性)などが反映されます。この手法を用いた物質探索を通じて、スピントロニクス材料の開発に貢献するものと期待されます。

論文情報

All-optical observation and reconstruction of spin wave dispersion ,Nature Communications,
10.1038/ncomms15859

研究に関するお問い合わせ先

理学研究院 佐藤 琢哉 准教授
図2「測定されたスピン波の伝搬の様子」についての説明動画はこちら(Youtube動画へ移動します。)

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