Research Results 研究成果

高成形性を有するNi基超耐熱合金の開発(成形荷重を半分以下に低減)に成功!

2016.04.08
研究成果Materials

九州大学工学研究院/カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I²CNER)の堀田善治(ほりた ぜんじ)主幹教授の研究グループは、長野市の長野鍛工株式会社(代表 中村千夏、以下「長野鍛工」)と共同で、航空機や自動車のエンジン部品などに使用されるNi基超耐熱合金の成形性を大きく改善させることに成功しました。Ni基超耐熱合金(Inconel 718)は高温でも強度が高く耐食性に優れていますが、その反面成形性が著しく悪く、いかに所定形状に成型するかが大きな課題となっています。
今回、九州大学発案の高圧スライドプロセス技術(HPS法 : High-Pressure Sliding)を応用してNi基超耐熱合金の結晶粒を超微細化し、これによって発現する超塑性現象(金属を高温域で変形させた際、数百%以上に伸びる現象)を利用することで成形性を大幅に向上できました(参考図)。また、成形荷重を通常の半分以下に低減させることが可能になりました。自動車用エンジン部品の製造と販売を行う長野鍛工では、今後、開発技術の実用化を目指します。
九州大学と長野鍛工との共同開発は、経済産業省戦略的基盤技術高度化支援事業(通称サポイン事業)のもとに平成25~27年度に進められたものです。共同開発では、Ni基超耐熱合金以外にも、高強度アルミニウム合金である超ジュラルミン(A2024)や超々ジュラルミン(A7075)、難加工性のMg合金(AZ61)やTi合金(F1295)でも超塑性が発現できることを確認しており、自動車、航空機、医療機器など幅広い市場で本研究成果の適用が期待できます。

 

(参考図)Ni基超耐熱合金(Inconel718)の種々の状態における試料と、これを高圧スライド加工で結晶粒超微細化した試料の応力-ひずみ曲線(左)、および引張試験結果の比較(右)。引張試験条件は800oCの温度で2x10-2 s-1のひずみ速度で破断まで変形した時の試料形状(最下段は変形前の引張試験片形状)

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