Research Results 研究成果

世界初の超高速「モード選択」光源を実現 -AI・ビッグデータ解析のさらなる進展へ期待-

2018.03.12
研究成果Math & DataTechnology

 九州大学大学院総合理工学研究院の浜本貴一教授の研究グループは、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)の「レーザーダイオード及び、光学部材の高精度実装技術開発」の一環として、超高速「モード選択」光源を世界で初めて実現しました。スーパーコンピュータ内の配線速度は近い将来、毎秒1テラビット超級となることが予想されており、半導体レーザー光を用いた光配線技術が注目を浴びています。今回本学が実現したモード選択光源は、テラビット級の高速動作を1素子で実現できる新しい半導体レーザー(従来性能比10倍以上に相当)で、IT機器内の信号伝送速度(配線速度)の飛躍的向上実現が可能となり、スーパーコンピュータ内配線への適用にとどまらず、将来のパソコンやスマートフォンなどの小型IT機器内への波及・適用が期待されます。
 本研究成果は、2018年3月11日(日)~15日(木)にサンディエゴコンベンションセンターにて開催される、光ファイバ通信国際会議(OFC 2018)にて発表されました。

図1:モード選択光源の素子写真。レーザー光の干渉現象が内部(写真中央付近)で生じる新しい半導体レーザー

左 :基本(0次)の空間モードのレーザー光。中央が明るく、同心円状に光が分布。
右 :1次の空間モードのレーザー光。中央付近が暗く、両脇が明るい光分布となっている。選択的にこのモードのみを直接発振できる半導体レーザーを初めて実現。
図2:発振しているレーザー光の各空間モード写真

研究者からひとこと

 異なる空間モードのレーザー発振を初めて見たときは、とても嬉しかったです。この成果が、将来の社会の発展に役立つことを期待しています。
 パソコンやスマートフォンなどの小型IT機器は年々進化していますが、将来の更なる発展のためには配線速度の向上が欠かせません。例えば将来は、8Kテレビなどの高解像度動画の送受信だけでなく、その場の状況や体調に合わせた食事メニューの提案、体調・病気診断、運転中の事故・アクシデント等回避、天気や花粉、黄砂の現地詳細予測など、複雑な事象のその場解析・予測等が実現できるようになると期待されます。

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