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メンデレビウム同位体を始め6個の超ウラン元素同位体の直接質量測定に初めて成功 -質量測定による新超重元素の質量数、原子番号の決定に道筋-

2018.04.10
研究成果Physics & Chemistry

 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所・和光原子核科学センター(宮武宇也センター長)の和田道治教授、ピーター・シュリー助教、理化学研究所・仁科加速器研究センター(延與秀人センター長)の伊藤由太基礎特別研究員(研究実施当時)、加治大哉仁科センター研究員、九州大学大学院理学研究院・物理学部門を中心とする国際共同研究グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」に於いて、気体充填型反跳分離器(GARIS-II)および多重反射型飛行時間測定式質量分光器(MRTOF-MS)を用いて、原子番号Z=99-101のアインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウムの同位体の6核種の質量直接測定に成功しました。さらにこれらの質量測定値から、ローレンシウム(Z=103)、ドブニウム(Z=105)、ボーリウム(Z=107)、マイトネリウム(Z=109番)の同位体まで7核種の質量を間接的に決定しました。
 この実験は、本研究グループが発明した技法である高周波カーペット式冷凍ガスセル装置を用いる事によって、冷たい融合反応あるいは熱い融合反応によって生成・分離された稀少な超ウラン元素同位体ビームをイオントラップに捕集することが出来たこと、それを数ミリ秒の短時間で高精度・高確度で質量測定可能な多重反射型飛行時間測定式質量分光器MRTOF-MSを用いることによって初めて可能になりました。
 この実験で得られた質量データは、メンデレビウムとローレンシウム同位体において、中性子数152が準魔法数であるという仮説を支持しています。また、幾つかの超重元素領域の理論的質量予測モデルと比較し、この領域の原子核における理論予測モデルの適否を確認できました。

 本研究の成果により、熱い融合反応による超重元素同位体、具体的にはモスコビウム-288及びニホニウム-284の精密質量測定から質量数と原子番号を物理的に決定する実験の可能性及び重要性を示したことになります。
 本研究の成果は、物理学の国際的な専門誌である「Physical Review Letters」に掲載されました(電子版は4月10日)。

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